日向倶楽部世界旅行編第20話「伊勢と小石と深海棲士」

いろいろあったシドニーとも別れの時が来た、日向達は次なる目的地を目指しヒューガリアンに乗り込む。 だがその裏で、彼らを付け狙う者たちが動き出す…
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三隈グループ @Mikuma_company

「だから奴らを倒すの手伝って欲しいの、この石とベルトは、私達姉弟の絆として受け取って?」 伊勢はそう言って石とベルトをザイアンの手に握らせる、彼はその手を握りながら思案した (この女、気味こそ悪いがこういう心もあるんだな…ちょっと意外だぜ。)

2017-10-24 21:53:10
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自分の博打はとても良い方向に転んだのかもしれない、彼はそう思ってほくそ笑んだ。 「…分かった、互いの為に協力し合おう。」 「貴方ならそう言ってくれると思った、よろしくね。」 伊勢は笑って手を取る、その手を見ながら、ザイアンは仮面の下で口角を上げた。 〜〜

2017-10-24 21:54:07
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〜〜 さて、最上が無免許運転をしてから一週間、最上達はシドニーを発つべくヒューガリアンのブリッジへ集まっていた。 「いやぁ結構長くいましたね」 「ああ、これだけいても全部は回れないのだから大都会は恐ろしいな。」 「時間はあっても体力が続かないものね。」

2017-10-24 21:55:07
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最上、日向、初霜はブリッジの椅子に腰掛け、他のメンツを待ちながら駄弁る。 すると鈴谷が入って来た 「ちっす一番乗り…、思ったよりいたわ。」 「お先にな、何か飲むか?」 「あー、コーラ買ったからいいわ。」 日向にペットボトルのコーラを見せ、彼女も椅子に腰掛ける。

2017-10-24 21:56:06
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そして座るなり最上に話しかけた 「そういやモガーミン聞いたよー、スピード違反と無免許運転だって?」 へらへらと尋ねる鈴谷に最上は苦笑いしながら応える 「器物損壊と窃盗もだよ」 「ひゃー、大人しいと思ってたけどやるじゃん」 鈴谷はげらげら笑いながらコーラを飲む。

2017-10-24 21:57:09
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「それで、平気だった?」 「三隈の連れて来た弁護士が無罪放免にしてくれたよ、どんな手品か知らないけどね。」 「へぇっ!?どういうこったよ」 最上の言葉に鈴谷は目を丸くする、あれだけやらかして前科者にならないのだから、彼女が仰天するのも無理はなかった。

2017-10-24 21:58:12
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「まあレンタルショップの人には申し訳なかったから、せめてもと盗んだバイクを買い取ったよ。」 「ああ、格納庫にしまってあったのはそれね。でも事故った割に綺麗だったけど?」 「事情を聞いたらしくってさ、新品同様にメンテしてくれたんだよね。」 却って申し訳ないよと最上は頭をかく。

2017-10-24 21:59:07
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鈴谷も鈴谷で珍しい話だと笑った 「まあ何事もなくて良かったじゃん?」 「うん、旅先で前科者になるなんてレアな経験だけどちょっと勘弁して欲しいしね。」 実は足を捻挫しているしまだ治っていないのだが、艦娘歴の長い最上にとってその程度は事に入らなかった。

2017-10-24 22:00:06
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やがて話がひと段落すると、鈴谷は曇り空を見て呟く 「にしても、出発日だってのに天気は悪いねぇ」 「うん、波も強そうだよね」 そんなやり取りをしてるうち、三隈とあきつ丸が入って来た。 「ごきげんよう皆さん」 「おはようございます日向殿、最上殿、初霜殿。」

2017-10-24 22:01:07
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日向達と挨拶を交わし、二人も椅子に腰掛ける。 ところで、三隈はシドニーにいる間日向達とは別行動をとっていた。 「どこ行ってたんだ?」 日向が訊ねると三隈は笑顔で答える 「ここは三隈の支社がありますから、ヒューガリアンのちょっとしたメンテナンスをね?」 「ほぉ?」

2017-10-24 22:02:08
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三隈によるとヒューガリアンが少し便利になったという 「まあフーさんにしか関係ないのだけれどね。」 「なるほどな…あきつは一緒じゃなかったのか?」 「一人ですわ、丸ちゃんには楽しんで頂きたかったもの。」 微笑む三隈の隣であきつ丸は頷く。

2017-10-24 22:03:06
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「私が回れなかった分は丸ちゃんの写真から分けてもらうの、たくさん撮ったのでしょう?」 「ええ、上手く撮れてれば良いのでありますが…」 「きっと大丈夫ですわ、前に見せてくれたヒューガリアンの写真、とっても綺麗でしたもの。」 そんなこんな話してるうち、遂に扶桑が入って来た。

2017-10-24 22:04:05
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「おはようございます、皆さん揃っていますね?」 一同は椅子でくつろいだまま返事をする、横須賀を出た時に比べると随分緩くなったものだ、扶桑もその方がやりやすいのかゆったりと操縦席に腰掛ける。 「ここに座るのも久々ですね。」 彼女はそう言って船のシステムを起動した。

2017-10-24 22:05:11
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すると三隈が声をかける 「フーさん、ご説明したい事がありますから、ヒューガリアンを沖まで出して停めていただけます?」 「波が少々気になりますが…ええ、分かりました。」 扶桑が承諾するとヒューガリアンはエンジンを唸らせ、大都会シドニーを後にした。 〜〜

2017-10-24 22:06:08
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〜〜 三隈の言う通り、ヒューガリアンはシドニーの沖で一時停泊した。 「三隈さん、この辺りで良いですか?」 「ええ、少しお待ちくださいね。」 そう言って彼女はブリッジの機械に触り始めた…が、その途中で手を止めた。 「どうした三隈」 「…ひゅーちゃん、あれを」

2017-10-24 22:07:08
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三隈は正面を指差す、波立つ海の上に人影が立っていた。 「モニターに映像…艦娘?それにしては変わった格好をしていますね。」 それは仮面を被り黒いスーツを纏った男、右手には砲のようなものを着けている。 「あーっ!こいつ!」 その姿に見覚えのあった日向と鈴谷が声を上げた。

2017-10-24 22:08:07
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「あいつだ!シドニーで私達を襲ったのは!」 その男はザイアン!シドニーで日向と鈴谷を襲い、あっさり返り討ちに遭った敵! 「あの野郎追って来やがったって訳ね…あたしが出るよ、今度はきっちり仕留めてやる。」 鈴谷は義手をギチギチ鳴らしながらブリッジの扉へ向かう。

2017-10-24 22:09:05
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すると日向も後に続いた 「私も行こう、罠かもしれんからな。」 「サンキュー、叩きのめしてやろうじゃん?」 二人は拳を突き合わせ、出撃の為ブリッジを後にする。 その後すぐ、ヒューガリアンの格納庫から艤装をつけた二人が海上へ飛び出した、波をかき分け二人は敵の元へ急行する。

2017-10-24 22:10:08
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「来たな鈴谷、日向ァ!」 挨拶とばかりにザイアンは砲撃!だが地上ですら当たらなかった攻撃は二人にあっさりと避けられる。 「ザイアンだったか?まさか海の上でも動けるとはな」 「オレは深海棲士、エリートだからな!」 「ああ、それについても詳しく聞かせてもらうぞッ!」

2017-10-24 22:11:06
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ザイアンは左手でマシンガンを撃ち、併せるように右腕から砲撃、以前より増した手数で攻勢に出る。 対する日向、鈴谷は瑞雲を射出、航空戦力で大人気なく勝ちに行く。 「クソッ!またこれか!」 「ほとんど丸腰のあたしらに勝てなかったのに、海の上で勝てる訳ないじゃん?」

2017-10-24 22:12:07
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二人が瑞雲と砲撃で一気に攻め立てると、ザイアンは有効弾一つ送り込めずボコボコにされて行く。 だがその時、突如別の艦載機が現れ日向達の瑞雲を横から叩き落とした! 「これ瑞雲じゃん!?」 「新手か!?」 現れた瑞雲はそのまま二人に攻撃をかけ始める。

2017-10-24 22:13:16
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だが!攻撃をかけたのは瑞雲だけではなかった! 「…ッ!鈴谷危ないッ!」 日向は気付いた!鈴谷の後ろから猛然と忍び寄る影に!そしてその間に割って入った! ガキンッ!金属と金属がぶつかる鈍い音が鳴り、日向はその影の攻撃を食い止める。 「にひひ…やるじゃん?」 「お前は…!」

2017-10-24 22:14:08
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忍び寄る影、それは刀身が二つある特徴的な刀を装備し、艤装をほとんど着けていない身軽な…伊勢! 「伊勢…お前も仲間か!?」 「さぁ?」 日向は甲板と刀で防御!抑え合う刀と刀が震える! だがその時!伊勢の刀が二つに分かれ、二本の刀となった! 「ッ!?」 「はーい」

2017-10-24 22:15:11
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伊勢は一連の攻防を破棄!分かれた刀を左手に持つと日向の太腿を突き刺した!強烈な激痛が走り、日向は顔を歪める! 「痛いじゃないか…」 「痛いでしょ?」 睨みながら刀を払う日向、対する伊勢も彼女の太腿から得物を引き抜いて対応、べっとりと血のついた刀が日向の刀を弾いた。

2017-10-24 22:16:08
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伊勢は自分の得物を見てニタニタ笑う 「ねー見て見て、血がこんなに、誰のかなぁ?」 そして二本の刀を振るって日向を攻め立てる、そこは日向の砲が機能しない超至近距離、加えて伊勢は艤装をほとんどつけていない為に非常に身軽、彼女は密着した日向を全く離さずに追い立てる。

2017-10-24 22:17:10