ヒトナラザルモノ

異形設定あり(Kityuのお二方ごめんなさい)
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よつげ @Eight_os

25 「亜衣の『亜』の字ってね、みにくいって意味があるらしいんだ」 「…」 「可愛くないって言われて、嫌われて当然だよね」 「…」 「私、望まれて愛されて産まれてきた訳じゃなかったんだね」 「…」 「…聞いてないか、おやすみなさい。」 #エイトで妄想

2017-09-12 17:58:24
よつげ @Eight_os

26 そうして亜衣は眠りについた。 その声を、 背中を向けていた安田が目を開けて黙って聞いていたとは 知りもしないまま… #エイトで妄想

2017-09-12 17:59:59
よつげ @Eight_os

27 次の日。 安田が目を覚ますと。 約束通り亜衣は既に目を覚まし、 床に正座していた。 隣には折り畳まれた寝袋。 「おはようございますしょたさん」 「ん」 「…」 「…おはよう(怒)」 ただでさえ朝が弱く機嫌の悪い安田、口調にも棘があったが。 #エイトで妄想

2017-09-12 18:04:27
よつげ @Eight_os

28 安田の挨拶を聞くと亜衣は嬉しそうに…笑った。 (笑った顔…初めて) ふにゃっとした、気を許したような笑顔。 (…俺鬼やぞ?) そう言いたいものの言うわけにもいかない安田。 黙って目線を逸らすと、昨夜のようにおにぎりを放って、 「…飯」 #エイトで妄想

2017-09-12 18:06:44
よつげ @Eight_os

29 …昨夜のように『いただきます』『ごちそうさま』付きの朝飯を食べ終わると、 「お世話になりました」 ペコっと頭を下げる亜衣。 その姿に安田は既視感を覚える。 『お世話になります』 『行くとこないもん、だから無理』 「…なぁ、お前これからどうすんの」 #エイトで妄想

2017-09-12 18:13:29
よつげ @Eight_os

30 そう聞いたのは単純な興味。 安田の問いに、亜衣は 「…もっかいあの公園行って、拾ってくれる人探す …しょたさんみたいな」 (…別に、拾ったとかやないし) というか。 亜衣はまだ行き場所がないのか。 そう都合よく拾ってくれる奴がいるとは限らない。 #エイトで妄想

2017-09-12 18:16:50
よつげ @Eight_os

31 もし、このまま彼女が夜は肌寒いあの公園で過ごすことになったら… (俺の縄張りなくなる←) 「…住まいがあればええんやな、とりあえず」 「…落ち着いたら、バイトも」 「なら丁度ええわ」 安田は彼女の手を半ば強引に掴み、『ある場所』へと連れていった。 #エイトで妄想

2017-09-12 18:19:17
よつげ @Eight_os

32 「…事情はわかった。 それで…何で俺なん!?」 安田が向かったのは『コーヒーショップ Black Board』と看板に書かれた店。 「しゃーないやん!俺頼れるのよこちょしかおらんし!昨日夜やったから疲れてるやろなって1日遅らしただけでも感謝しろや!」 #エイトで妄想

2017-09-12 18:23:27
よつげ @Eight_os

33 と、安田が文句紛いの頼みをぶつける相手は、その店のオーナー、横山侯隆。 安田と仲良くしている以上、この男も『いわく付き』である。 「だからってなぁ、ヤス…俺ある意味お前の上司やで?」 横山侯隆。 彼は閻魔神の末裔。 この辺り一帯の鬼を全て従える男。 #エイトで妄想

2017-09-12 18:26:45
よつげ @Eight_os

34 「…んで?話を整理すると、この峰村亜衣ちゃんが可愛くてほっとけないから見張っててくれと」 「ちゃう!見張っててくれは合ってるけど、単に俺の居場所取るから!それだけ!」 言い張る安田。 (ほんまかなぁ…ヤスがこんなに人間に必死になるん、初なんやけどな) #エイトで妄想

2017-09-12 18:40:24
よつげ @Eight_os

35 「せやなぁ… 亜衣ちゃん、やったっけ?」 横山は、二人のやりとりを呆気に取られて見ている亜衣に話しかけた。 「ここにおっても、ヤスんとこにおっても、男と二人きりいう状況に変わりはないけど… ここにおる?」 すると亜衣は、少し考えて、 #エイトで妄想

2017-09-12 18:43:03
よつげ @Eight_os

36 「…しょたさんがここにいろって言うんだったらここにいる」 そう返した。 「やってさ、どうなん、ヤス?」 「…ったく、何でいつも俺やねん」 「お前が拾ったんやからしゃーないやろ笑」 安田は一つ大きな溜息をつくと、 「…ここにしい」 #エイトで妄想

2017-09-12 18:45:04
よつげ @Eight_os

37 その言葉に、亜衣はキラキラと目を輝かせて、 「わかった」 冷静な口調とは裏腹に大きく何度も頷いた。 「ちょっと待っとって、空いてる部屋片付けてくるわ」 そうして横山は自らの住居もある2階へ引っ込む。 店には安田と亜衣の二人が取り残された。 #エイトで妄想

2017-09-12 18:48:02
よつげ @Eight_os

38 安田はスマホを弄りつつ、キョロキョロと店内を見回す亜衣をチラチラと見ていた。 と、亜衣の瞳がおもむろに安田を捉え、 二人の視線がぶつかる。 「…やす」 「へ?」 「さっきの人、そう呼んでた」 「…ああ、よこちょとは昔から仲ええから」 #エイトで妄想

2017-09-13 07:44:17
よつげ @Eight_os

39 すると亜衣は安田の隣の席にちょこんと腰掛け、安田の服の袖を摘んで 「…やす」 ともう1度呼んだ。 「やめい」 「…やーす♪」 「しょたさんって呼ぶんとちゃうんかい」 「…しょたさんて呼ぶ でもたまにやすって呼ぶ」 「何それ笑」 思わず脱力する安田。 #エイトで妄想

2017-09-13 07:48:04
よつげ @Eight_os

40 「しょたさん笑った…♪」 それを尻目に亜衣は楽しそうな表情。 「…ったく笑」 安田はスマホを置くと自分の袖を掴む亜衣の手に自分の手を伸ばして… (…え?) 我に返ってその手を空中に止め、またスマホを手に取る。 (俺…今何しようとしてた?) #エイトで妄想

2017-09-13 07:51:12
よつげ @Eight_os

41 ただ鬱陶しかったから払いのけようとしただけ。 ただそれだけ。 でも… あのまま手を伸ばして。 安田自身は本当にあの手を払うことができていたのだろうか…? 「準備できたでー」 横山が店に戻ってきた。 亜衣は無言でその部屋へと向かう。 #エイトで妄想

2017-09-13 07:53:43
よつげ @Eight_os

42 「あ、じゃあよこちょ 俺、そろそろ帰るわ、めんどいし 其奴のこと、よろしく頼むな?」 「おう、任しとき。 ほんなら、亜衣ちゃんこっちやで」 2階へ行く二人を見送りながら考える安田。 あの時、自分はあの手をどうするつもりだったのか。 (…何やこれ) #エイトで妄想 pic.twitter.com/dwXtzUOCZq

2017-09-13 08:03:35
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よつげ @Eight_os

43 それから。 前からのことだが、ちょくちょく安田は店に行っていた。 「…にしても、最近ヤスよお来るな」 「あかん?暇やねんけど」 「ええけど、無銭飲食すんなよ」 「…ちっ」 そして安田が来ると、 「いらっしゃいま…ん、いらっしゃい」 と嬉しそうな亜衣。 #エイトで妄想

2017-09-13 12:40:39
よつげ @Eight_os

44 この店で住み込みで働くようになってからは、流石に黒のフードはあまり着なくなり、その代わり仕事中は白のシャツに黒いエプロンを身につけている。 仕事内容は主に店内の掃除だが。 「しょたさん、頬っぺ…」 「あ?ああ」 安田にとってはもはや日常のケンカ。 #エイトで妄想

2017-09-13 12:45:01
よつげ @Eight_os

45 今日も因縁をつけられやり返したら、頬に一発喰らったのだ。 もっとも安田が負った怪我はそれ一発で、ことごとく返り討ちにしてやったのだが。 亜衣は暫く黙っていたが。 やがて。 「…大丈夫?」 心配そうに安田の頬に触れた。 「…平気やって、こんくらい」 #エイトで妄想

2017-09-13 12:49:46
よつげ @Eight_os

46 何となく彼女の方を見れず、顔を背けて安田が答えると、 「…よかった」 心底安心したように亜衣は笑った。 …心配してくれていると安田が気づいた時にはもう亜衣は掃除を再開していて。 (ほんま…調子狂うなぁ) 思いつつも、 悪い気はしない安田であった。 #エイトで妄想

2017-09-13 12:54:10
よつげ @Eight_os

47 とそこへ、 カラカラ… 「いらっしゃいまs…」 「章大〜♪」 「うわっ、めんどくさ…」 横山が呟く。 やって来たのは章大の元恋人(という名の元セフレ)の千楓である。 元、というのはつい2週間ほど前安田が一方的にフッたばかりだからだ。 #エイトで妄想

2017-09-13 18:06:25
よつげ @Eight_os

48 章大、という呼び捨てに亜衣の肩がビクッと反応する。 「いたぁー♪もう家行ってもいないから探したんだよ?」 「知らんし、もう無関係なんやから来んな」 「そんなこと言って、満更でもないんでしょ?笑」 全く懲りる様子のない千楓。 横山が亜衣に解説。 #エイトで妄想

2017-09-13 18:09:10
よつげ @Eight_os

49 「出会ったときはもーちょいおしとやかやってんけどな?蓋を開けてみたら猫かぶってただけで、男を食い物にしてるだけのアホや」 「誰がアホだって?オーナーさん?」 「っ…知らん、空耳やないですか?」 横山が誤魔化すと、千楓はまた安田にウザ絡みを始める。 #エイトで妄想

2017-09-13 18:11:32
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