【それとは別の夢】福間健二 #k2fact179
親子丼か、カツ丼か。迷ってるうちに、一七九号、名前のかわりの番号を呼ばれ、影と影のあいだの、じっとりと冷たい事実の一部となった。事実、そうであるために秋風に吹かれる。要求、どうしよう。風邪はひいてもいいから、昼食と音楽と触れあう人は欲しい。(それとは別の夢1)#k2fact179
2017-10-19 11:28:43雨の日がつづき、人と人、いつもより多くの時間、とくにやりたいわけじゃないことをして。濡れた地図の、滲んだ赤いXマークのところ、そこにいるのだ。握手するために。すべりやすい階段をおりる。左膝、よくなってないけど、気にしすぎないようにしている。(それとは別の夢2)#k2fact179
2017-10-21 08:52:29いくら証拠を並べられても、無用になったロープが反省しない蛇になる。どうするか。途中からの「明るい農村」を空っぽにする。たぶんうるさいイビキをかき、追っていた影を知らぬまに追いこして、二日酔いの朝。とても心配だが、行くところがあってよかった。(それとは別の夢3)#k2fact179
2017-10-22 12:45:43最悪の事態は免れた。さっきまでの強風が嘘みたいだ。見えてきた。遠くの山、雲、そして青い空。安堵しながら、乾いたタオルをもらって、しちゃっていいのかな。半世紀前には考えられなかった握手。殺していないというだけだが、それが生きる沼は大事にする。(それとは別の夢4)#k2fact179
2017-10-23 09:30:17曇り日の横街道、太陽の位置がわからない。でも冷たいゴムの感触よりは草たち。心のなかで挨拶して、教室、事務所、そして秘密の部屋。必要なものは段ボールで作り、着るのはユニクロか甥たちのお古。カップルで「この世の貧乏人」。声、もう出してもいいよ。(それとは別の夢5)#k2fact179
2017-10-25 09:42:18壁のむこう側の見えてないことを音で判断して、かれらは大きな誤解をする。ベッドが動いている。だれが寝ていて、動かしているのはだれなのか。まちがえても避難梯子がある。「あなたのこと知ってる」という顔でぼくを見た。ぼくは回想しない自伝を書きたい。(それとは別の夢6)#k2fact179
2017-10-26 08:49:08【訂正】 まちがえても避難梯子がある。「あなたのこと知ってる」という顔でぼくを見た。ぼくは回想しない自伝を書きたい。 ↓ 避難梯子でおりてきて「あなたのこと知ってる」という顔でぼくを見た人よ、ぼくは回想しない自伝を書きたい。 (それとは別の夢6)#k2fact179
2017-10-27 09:39:39体から変わる。お人好しであわて者。プラス、何が必要か。好きな人の仕事を手伝うたびにミスして叱られ、複雑に泣く自転車。プラス、動物として「お腹がすいたよ」。どうなっていくのか。進む方角が決まらなくても動く。ゆっくり動く。で、キリがつくのかな。(それとは別の夢7)#k2fact179
2017-10-28 11:08:15雨の十月。雨のせいにするか。神様がいないせいにするか。交替する仕事の終わりとはじまりの継ぎ目がはっきりしない。なるほど、三人で飲んで。それぞれの肩の濡らし方。元ネタありとわかっても、死ぬと決めた日までの効果。裏庭のキャベツは育ちすぎている。(それとは別の夢8)#k2fact179
2017-10-29 10:54:35何度か停まって、あとは考えながら動いているエレベレーター。だれかの死後の、ちゃんと閉まらないドア。直らないだろう。廊下には外からの風。メッセージだとしても、その殻の部分。生きること。生きなおすこと。大陸から渡ってくるツグミたち、まだかなあ。(それとは別の夢9)#k2fact179
2017-10-31 08:26:07だれも密告してないのに木枯らし。バレる、痛いところ。光る蓋がうごき、きのうはまた左膝、きょうは右肩。一七九号、いそうろう野郎を甘やかしてきた罰だ。奥地を歩くための重たい靴と目でぼくをとらえる人よ、この惑星をひと回りして再会してるんだね。(それとは別の夢10)#k2fact179
2017-11-02 10:15:17