何でもないメモ

何でもない
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洲央@土曜西“は”45a @laurassuoh

大人しいけど本の話になると饒舌になる眼鏡の図書委員長と、彼女が当番の日には必ず図書館で話して、たまに駅まで一緒に帰ったりしたのだけれど、電車の方向が違うから改札を入ったらさよならしてて、ある冬の放課後に用事があって彼女の乗る方向の電車に乗ったら知らない男と楽しそうに腕を組んでいた

2017-11-07 18:27:33
洲央@土曜西“は”45a @laurassuoh

分厚い眼鏡と長い前髪に隠れて分かりづらかったけれど、3年生の彼女は本当は僕のクラスの誰よりも美人だった。肌だって雪みたいに白くて、三つ編みという古い髪形もイメージ通りに可愛くて、実は隠れ巨乳だったりして。年下の僕にも優しかった。そんな彼女が腕を組んでいる男をよく観察すると、

2017-11-07 18:31:34
洲央@土曜西“は”45a @laurassuoh

サッカー部の副キャプテンをやっている3年生だと分かった。医学部を目指している秀才でイケメン。僕はかつて所属していた委員会の仕事で彼と話したことがあるけれど、非の打ちどころがない位善人だった。そうか、僕しか知らないと思っていた図書委員長の秘密を彼も知っていたんだ。

2017-11-07 18:33:49
洲央@土曜西“は”45a @laurassuoh

仲睦まじい二人の姿。こんなに寒い冬なのに、とっても温かそうだった。進路のことを話しているのだろうか。二人とも頭がいいから、同じ大学へ進学して同棲するとか。とても近くに行く気にはなれない。委員長は大学へ行ったらコンタクトにして髪形も変えるのだろう。あかぬけるだろうな。モテるだろうな

2017-11-07 18:36:21
洲央@土曜西“は”45a @laurassuoh

だけど彼氏があれだから、浮気なんてしないはずだ。ただただお似合いと言われるように、彼氏と並んでも釣り合いが取れるように、何より彼氏が喜んでくれるように、彼女は自分の可愛さを最大限に高めるのだ。二人の共通の話題はなんだろう。委員長ってサッカーの試合を見るのかな。本の話しかしたことが

2017-11-07 18:38:49
洲央@土曜西“は”45a @laurassuoh

ないから委員長の趣味や私生活のことが分からない。そうか、僕は彼女と特別親しくなっていた気がしたけれど、本の話をする程度の関係だったのか。そのことに気が付いて泣きたくなった。腕を組む委員長の巨乳が制服越しに彼氏の腕に当たっているのが分かる。二人はもう、ヤッたのだろうか、セックスを。

2017-11-07 18:40:58
洲央@土曜西“は”45a @laurassuoh

夏休みの蔵書整理を手伝った時、何冊も本を重ねて持った委員長の巨乳を思い出す。制服の白いシャツに清楚なブルーの下着が透けていた。ボタンを二つ外して胸元を仰ぐ委員長を盗み見た。汗の粒が落ちていったあの谷間、ほんのりと赤く色づいていた。彼氏はあれに触ったのだろうか。

2017-11-07 18:43:49
洲央@土曜西“は”45a @laurassuoh

早口で古今東西の書物の知識を語る委員長の唇は薄い桜色をしていた。僕はいつも妄想していた。彼女の乳首や乳輪、ピッタリと隠された秘所までがその唇と同じ色をしていると。僕はせめて彼氏に尋ねたい。僕の妄想は正しいのかと。このままでは一生、僕は真実を知ることができない。それはあまりに残酷だ

2017-11-07 18:47:12
洲央@土曜西“は”45a @laurassuoh

電車がやってくる音がする。このまま跳び込んでしまえたらなどと一瞬だけ考える。委員長は僕のために泣いてくれるだろうか。小さなショックくらい受けるかもしれない。それをあの彼氏が癒してくれて、いつもよりいい雰囲気でセックスに突入する。僕の死は彼らの潤滑油になるだけだ。

2017-11-07 18:49:19
洲央@土曜西“は”45a @laurassuoh

結局僕にできることは何もなかった。せめて彼らの幸せを祈りながら、頭の中の委員長の妄想でオナニーをする。いつもと変わらない日常がこれからも続いていくのだ。とは言っても、もう図書館に行くことはないだろう。こんなことなら最初から下心なんて抱くんじゃなかった。来週から放課後はどこへ行こう

2017-11-07 18:53:29
洲央@土曜西“は”45a @laurassuoh

彼女は僕だけに優しかったんじゃない。彼女はちょっと引っ込み思案なだけで、誰にでも優しい善人だったのだ。仲良く話をするだけで彼女の特別になった気がして、彼女の特別になろうと他に努力はしなかった。羞恥心だろうか、それとも男のプライド。あるいはフラれたくないという臆病な心。どれもが

2017-11-07 18:56:09
洲央@土曜西“は”45a @laurassuoh

僕を表していると思う。 委員長と彼氏は電車に乗って隣に座った。僕はホームに残ったまま、電車が去っていくのを見守った。次はあるだろうか。時刻表を検索してみると、なんと次がくるまで1時間近くあるらしい。 用事は明日でいい。僕は反対側のホームへと渡った。帰ってオナニーをしようと思う。

2017-11-07 19:00:05
洲央@土曜西“は”45a @laurassuoh

委員長に似た黒髪でちょっと地味めの巨乳なオカズを見つけよう。 彼氏とセックスをする委員長を思い浮かべる。あの清楚で、優しくて、綺麗で、柔らかそうだった委員長が彼氏に喜んで股を開いて、キスをして、モノを舐めて、あぁ、ダメだ。僕は駅のトイレへ駆け込むと、冷えた便座に腰を下ろした。

2017-11-07 19:02:54
洲央@土曜西“は”45a @laurassuoh

こんなに苦しい勃起は初めてだった。僕の脳内で委員長を抱いているのは彼氏なのか、投影した僕なのか。分からない。悔しい。惨めだ。情けない。寒い。そんな状態なのに、痛いほどに勃起したイチモツをしごく手が止まらない。僕は何に勃起しているのだろう。委員長の裸に? 違う。僕を勃起させるのは

2017-11-07 19:06:24
洲央@土曜西“は”45a @laurassuoh

真実になったかつての可能性だ。委員長の裸、委員長のセックス、そういった非現実的な妄想を、彼氏の存在が現実化したのだ。僕は決して安易な妄想で勃起したのではない。彼氏が発覚したことで、神聖な存在だった委員長の世俗的な面、すなわちセックスの可能性が僕の中で現実化したのだ。

2017-11-07 19:08:32
洲央@土曜西“は”45a @laurassuoh

揺れる委員長の巨乳。その感触がはっきりと分かる。あの制服の下にそんな身体が隠れていた。僕の妄想ではなかった! 委員長は肉を持った生身で、恋をして、幸せに抱かれる! 淡い想いを抱いた放課後、図書室に射し込む夕陽、微笑んだ委員長の顔、眼鏡越しの瞳に僕が映って――そこで、白く迸った。

2017-11-07 19:11:50
洲央@土曜西“は”45a @laurassuoh

肩で息をしながら天井付近に目をやった。カラカラと換気扇が回っている。刺すような空気。透明な窓ガラスの向こう、白くちらつく雪。余韻に浸ると、自分の姿があまりにも惨めで今度こそ涙が出た。出したばかりの精液だけが温かい。無数の遺伝子に、僕は一人でいることを無性に謝りたい気持ちになった。

2017-11-07 19:17:12
洲央@土曜西“は”45a @laurassuoh

神様にこの身を捧げると誓って、私は修道女になりました。配属されたのは私立櫻川女学院。穢れを知らぬ乙女たちが、桜の花舞う祝福の道を、襟を正して歩む聖域。彼女たちを正しき貞淑の道へと導くその使命を、私は全力を以って果たしたいと願っておりました。

2017-11-17 03:31:23
洲央@土曜西“は”45a @laurassuoh

それなのになぜ、私はあの人と出会ってしまったのでしょう。私の手を取って教会の暗がりから市井の賑わいへと強引に連れていったあの人。「君の笑顔が見たかったから」などと、私を誘惑するあの人は悪魔の使いに違いありません。私は毎晩神様にお祈りしました。あの人が私への興味を失くして去っていく

2017-11-17 03:37:44
洲央@土曜西“は”45a @laurassuoh

ことを。あの人はきっと私以外の誰にだって同じような言葉をかけているのでしょう。切れ長の目に高い鼻、流れる髪の煌めきが長躯と合わさって王子様のよう。中性的なふるまいも、女学園では抜群の威力を発揮します。私のような地味な修道女、放っておけばいいのです。あの人には相応しいお姫様がいる。

2017-11-17 03:40:44
洲央@土曜西“は”45a @laurassuoh

私は何度もあの人に説きました。どうして私なのか。私より可愛らしい子はいくらでもいるでしょう。私は神様にこの身を捧げた女。あなたの期待には応えられません。早く私を捨てなさい。あなたにはもっと相応しい人がいる。あの人は聞く耳を持たず、私に会いに来ては強引に私を教会の外へ連れ出すのでし

2017-11-17 03:43:29
洲央@土曜西“は”45a @laurassuoh

た。私が折れるか、あの人が諦めるか。そんな根比べが続いて八か月、積もった雪が白い絨毯となった十二月。あの人はクリスマスの夜に言いました。 「あなたを諦めることにした」 私はどのような表情をしていたのでしょう。分かりません。嬉しいはずです。ようやく解放されるのですから。

2017-11-17 03:46:15
洲央@土曜西“は”45a @laurassuoh

これで神の道をなんの戸惑いもなく進める。俗世から離れ、清貧と祈りの中で生きていくことができる。あの人と会うこともなくなるでしょう。中途半端な状態から抜け出せる。それは僥倖。そうに違いない。違いないのに、どういうわけか、私はあの人の襟を掴んでいました。 「嘘つき」

2017-11-17 03:49:12
洲央@土曜西“は”45a @laurassuoh

あの人を締め上げます。私は腕に力をこめ、十七センチも大きなあの人を持ち上げるほどの勢いで迫ります。止まりません。止まる気もありません。 「私がほしいって言ったのに。嘘つき。臆病者。意気地なし」 あの人は驚いたような顔をしています。ざまあみろ。私がここまで言うとは思わなかったのです。

2017-11-17 03:51:48
洲央@土曜西“は”45a @laurassuoh

「あなたが嫌い。嫌いよ。その態度が嫌い。余裕が嫌い。嫌いよ。嫌い。嫌い。嫌い」 あの人は私の嫌いの連打にすっかり打ちのめされたような顔になりました。ざまぁみろ。いい気味です。私は目を伏せて落ち込むあの人に顔を寄せ、その唇を奪いました。 「――ッ!?」 「――はぁ……」

2017-11-17 03:55:01
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