藤田智一氏( @fujita_JP )による物語の構築技法

「まどか☆マギカ」で使われてる手法を参考にした、物語の構築技法解説です。
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@fujita_JP

まどマギで使われてるいくつかの手法。小説としての表現技法としてはある程度まとめていたんだけど、やっぱりアニメってすげーなぁと思わせられる。暗喩ねじ込みすぎでしょうよ……w あくまで自然に混ぜておきながら、気づいた人だけニヤっとさせるってのはえげつないでぇ

2011-03-29 11:50:38
@fujita_JP

ちなみに小説としての表現技法の方。あんまり明確に書かれてある本はないけど、いい機会なのでちょっと書いておこう。

2011-03-29 11:55:28
@fujita_JP

一つは、『普遍知識の参照』。1から組み上げた設定より、古典からある設定、固有名詞等を母体に少し手を加えてやる方が読み手の理解速度をあげられる。考察好きの人に好まれる作品はこれを巧妙に行なってる。ジャンルとして行ってるのが、歴史小説。

2011-03-29 11:58:48
@fujita_JP

他にもファンタジーにもよくある。エルフなんてのも普遍的な創作された種族で、みんな説明しなくてもエルフというだけで、その外見的特徴が頭に浮かぶ。こういうのを母体にしながら、他の設定と組み合わせて独自のものに見せる。

2011-03-29 12:03:56
@fujita_JP

映画や純文学だと、古典となってる作品のセリフを引用したり、シーンを再現したりするのもそう。ただこれは原典がどの程度の人に知られているかで効果が変わる。コアなネタを引っ張ってくると、マニアがよく喜びます←

2011-03-29 12:06:37
@fujita_JP

普遍的知識を母体に、創作設定を組み合わせ一つの作品を作った後、その世界観を後発の作品でも使用するのは『シェアワールド』とか呼ばれてたりします。型月とかは有名ですね。月姫は吸血鬼やら魔法やらを母体に展開。Fateはシェアワールドの上に神話からさらに参照するという重ね技。バイキルド!

2011-03-29 12:09:49
@fujita_JP

原典がわからないほど初期設定を練りこみまくって、公式二次創作を推奨したのが『クトゥルフ神話』。こうやって紐解いていくと面白いですね。もうちょっと掘り下げてやると『東方』もこれにあたります。

2011-03-29 12:12:13
@fujita_JP

もう一つは、『過去の創作』とでもとりあえず呼称。物語って、起承転結で一つのものなんだけど、こいつにもっと深みや奥行きを持たせてやろうとすると、歴史を作るのが有効。古今東西の作法本でも、『登場人物の履歴書を作りましょう』みたいな指導がされているけど、それの発展形。

2011-03-29 12:15:53
@fujita_JP

具体的に言うと、面白い物語を作るには『物語の上に物語を乗せる』こと。つまり、本編に関わるエピソードが内包されている物語を、もう一つ過去に作ってやれということ。それを逆説的にやってたのがまた名前をだすけど、『Fate/Zero』。

2011-03-29 12:17:51
@fujita_JP

本編に絡むキャラクターが、そこに辿りつくまでに何を考えどのような行動を取ったのか。より深みをだそうとすると、過去の物語で特定のキャラ(主役級)がどういう教訓を得たのかを割り出し、本編の主人公と対に位置に配置してやると葛藤が作り易し、キャラが簡単に立つ。

2011-03-29 12:22:15
@fujita_JP

さらにこれをループ要素を足してやると……わかりますよね? ループ要素がとてつもなく威力が発揮するのは、主観時間・客観時間のどちらか、あるいは両方が伸びるため。絶望をなんども味あわせることが出来るんだねっ! スケール感が出ます。

2011-03-29 12:25:35
@fujita_JP

映画『バタフライ・エフェクト』では主人公がループするので、主観時間が伸びます。希望→絶望がサイクル的に作れるので、創作者が頭を悩ませる葛藤部分がなんと簡単に! 見せる部分や時間量を誤ると冗長で紛れもなく欝になるので、用法用量は守って正しくお使いください。

2011-03-29 12:28:19
@fujita_JP

ループが主観(主人公じゃない。あるいは主人公が無自覚的)でなくとも、暗示的に仕込んでいって、物語の転の部分であかしてやると深みが出ます。これをやってるのが……放送中のネタバレはあれなので(ry

2011-03-29 12:31:38
@fujita_JP

まどマギでは普遍知識である魔法少女を母体に組んである。考察組が喜ぶように、コアな知識参照も暗喩的に詰め込んである。もちろん観客の興味を持続させるためにショッキングなシーンも入れる。そして○○○が過去のストーリーでの主観となりループを体験し、その部分が本編の過去物語となっている。

2011-03-29 12:35:41
@fujita_JP

このあたりが面白さを生み出してる一因ですね。映像ともなれば、キャラデザで引き込んだり、音楽で引き込んだりできますし、まさにてんこ盛り。いや、ほんとすごいなぁ。前半めちゃくちゃダレながら見てたんですけどね……。

2011-03-29 12:37:52
@fujita_JP

面白い作品っていうのは大体『過去の創作』メソッドがきちんと組み込まれているように思います。逆を言えば、面白くない作品はまずここが出来てない。ご都合主義的に感じる部分というのは、このあたりが、もしくはそれ以前の問題でキャラがしっかり作れてなかったりして、設定も行動もポッとでな気が。

2011-03-29 12:51:35
@fujita_JP

キャラというよりは、人物を作らないといけないんですね。僕たちだってみんなママンのお腹から生まれて、成長していく。環境がどうだったかでも考えも、顔つきも変わりますし、幸運あるいは自発的行動の結果で生き方が変化するかもしれない。パラメーター的に決めるとそれはやはりキャラ止まりなのかも

2011-03-29 12:55:16
@fujita_JP

長々と1時間以上も書いてしまった汗 こういうのが作法本か何かでしっかり体系化されていればいいんですけど、そんな本には未だめぐり合ったことがない。あれば間違いなく買うんだけどなぁ。以上、一応僕の自作創作資料から引っ張りだしてきて書いてみますた。

2011-03-29 12:59:57