陥没アヒルチャンのフォロワー百合小説 EP3

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Φ @ahiruchan_phi

バン上部に取り付けられていたボックスが展開し、アダムスキー円盤状の小型機械が出現。プロペラが回転を始め、その円盤は浮上する。「センちゃんドローンMk-2……デザイン案はシアさんです」飛行するドローンはセンの頭上で浮遊。回転羽根が起こした風が、周囲の毒鱗粉を吹き飛ばしてゆく。

2017-11-20 16:57:38
Φ @ahiruchan_phi

アヒルグモとアヒルモス。二者がどのような関係でこの山小屋を共通の巣としていたのかは定かではないが、毒鱗粉を巻き込んだ太く丈夫な糸で多層にコートされた小屋内は、あらゆる音や電波を遮断する空間となっていた。だが一方屋外では。「やはり、この濃度ならチャフもろくに機能しないようですね」

2017-11-20 17:04:56
Φ @ahiruchan_phi

「もっとも今後電波を妨害されようと、このセンちゃんドローンMk-2は自律飛行機能を組み込んだ最新版」BLAM!センの放った銃弾がアヒルモスの胴に撃ち込まれた。「グワーッ!?」アヒルモスが悶える。センは地面に転がっていたマスクを拾う。「久々に駄目センじゃないところを見せましょう」

2017-11-20 17:09:58
Φ @ahiruchan_phi

【YURIZONZ 後半へ続く】

2017-11-20 17:11:13
Φ @ahiruchan_phi

時を同じくして、バン内。「荷物が……多い……!」後部座席を埋め尽くす荷物袋を助手席に放り投げてスペースを確保すると、サバは小柄な体の全力を振り絞ってシアを座席に寝かせた。「救急キット……」確か対百合毒用のアンプルもあったはずと、投げた荷物の中を探る。「……あった!」

2017-11-20 22:32:58
Φ @ahiruchan_phi

新人のサバであっても、一通りの処置方法は教わっている。消毒のためシアの服を脱がせる。無数の古い傷痕の中に新たに生まれた、生々しい傷口が露わになる。「うっ……でもそんなこと言ってる場合じゃない……」傷口に消毒液が沁みるのか、時々シアの小さな嗚咽が漏れる。「我慢して、ください……!」

2017-11-20 22:37:56
スト燃シアver.6.5 @sia_kikyou428

傷が痛んで顔歪めてるシアちゃんに欲情しそう #のじるい島民放送局

2017-11-20 22:39:39
Φ @ahiruchan_phi

次に解毒剤の投与だ。これも教わっている。携帯冷蔵庫を開け、詰め込まれた納豆パックの中から納豆パスタインジェクターを取り出し、その内容物に解毒剤を混ぜる。「これを打ち込めば……」シアの首筋に注射針を近づけてみて、サバは気づいた。「あ、首輪が、邪魔で……!」金属の首には針が通らない!

2017-11-20 22:42:14
駄目仙人 @toobadsennin

ちくしょう昼いなかったからセンちゃんのかっこいいとこ見逃してた #のじるい島民放送局

2017-11-20 22:44:08
駄目仙人 @toobadsennin

納豆パスタ注射ってネタじゃなくてガチなんすね... #のじるい島民放送局

2017-11-20 22:45:01
Φ @ahiruchan_phi

「どうしよう……」このようなイレギュラー事態は想定外だ。サバは注射器を持ったまま困惑する。「口に……」そのとき、シアが微かな言葉を発した。「口に、直接入れて……」「え……ええ……?」サバは状況が状況ゆえにシアの正気を疑った。「大丈夫、初めてじゃ、ないから……」「ええ……」

2017-11-20 22:46:50
チベスナ @apatheiaTBSN

納豆パスタインジェクター これに解毒剤入れてもむしろ具合が悪くなりそう #のじるい島民放送局

2017-11-20 22:48:03
Φ @ahiruchan_phi

サバは恐る恐る、注射器をシアの開いた口に突っ込んだ。「針気をつけてくださいね……?」自分でもよくわからない注意を促す。徐々に口内に流し込まれる毒消し納豆パスタペースト。「何この状況……転職したい……」ずっと言うまいと抑えてきた言葉がここで出た。「ウマーイ」「転職したい……」

2017-11-20 22:50:35
Φ @ahiruchan_phi

バンの外ではセンとアヒルモスとの戦いが続いていた。あれから数発弾丸を撃ち込まれたアヒルモスは、動きが目に見えて遅くなっている。「誰も居ませんが科学者の性として解説すると、この拳銃の弾丸はセンちゃん特製の神経断裂弾です。命中すると体内で連鎖爆発を起こし百合の神経を破壊します」

2017-11-20 22:54:35
Φ @ahiruchan_phi

センちゃんドローンはセンについて飛び回り、散水と風でアヒルモスの毒鱗粉を排除する。いまや空気中に毒鱗粉の輝きは殆ど無い。「作るのに非常にコストが掛かるんですよ神経断裂弾。ウチ、基本装備以外は自腹切らなきゃいけないんですよ。だから出来るだけサボりたいんですよ!」BLAM!「グワーッ!」

2017-11-20 22:59:33
Φ @ahiruchan_phi

神経をズタズタに切り裂かれ、最早ただの死にかけの羽虫と化したアヒルモスに、センはシアの小銃を向ける。「食べた分は返してもらいますからね!報酬寄越せーッ!」センは引き金を引く!フルオートで無数の弾丸が発射され……ない。弾切れだ。「あれー……?シアさん、リロード……」「ヒャアーッ!」

2017-11-20 23:04:32