陥没アヒルチャンのフォロワー百合小説 EP3

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Φ @ahiruchan_phi

◇ヒッヒッヒヒッヒッヒアエー◇

2017-11-20 15:50:45
Φ @ahiruchan_phi

◇ヒアエー◇Yurizon Prime Videoを観るときは、部屋を明るくして離れて観てね◇#のじるい島民放送局

2017-11-20 15:51:23
Φ @ahiruchan_phi

時は少し巻き戻る。山小屋の外に一人残されたシアは、製麺したパスタを直接食べる行為……無限パスタで時間を潰していた。ソース無しのパスタの味にも飽きてきた頃、シアは一度センに通信を試みたが、繋がらなかった。不審に思いつつも、まあ駄目センのことだからと楽観視し、待機を続行した。

2017-11-20 15:56:07
Φ @ahiruchan_phi

「ひまー……」手元の火炎放射器を弄ぶ。「楽だからいいけどねー……」喉元の機械を弄る。だが発されたのは『ERROR』の音声。何度操作しても製麺がされない。「あれ?……あー、そういえば最近センさんにメンテしてもらってないなあ。戻ってきたら頼まないと」

2017-11-20 16:01:15
Φ @ahiruchan_phi

シアは山小屋に近づき、火炎放射器の先端で粘糸の膜をめくり上げてみる。「あ、思ったより分厚い……あれ?」山小屋の中から微かに、銃声と怪生物の鳴き声が聞こえる。「この膜、音を吸収して……」急ぎ加勢に向かうべく、小銃を取りに戻ろうとバンに振り返る。視界の隅、空中で何か煌めいた。

2017-11-20 16:05:05
Φ @ahiruchan_phi

「これって」過去の戦いの記憶が蘇り、シアは空を見上げる。予想した通りの存在がそこにいた。半月状の翅から毒鱗粉を撒き散らす油断ならぬ百合、アヒルモス。シアは片手で火炎放射器を持ち上げ、敵へ向けた。もう一方の手で顔の下半分を覆う。この毒鱗粉に晒され続けるのは危険だ。

2017-11-20 16:10:37
Φ @ahiruchan_phi

アヒルモスの陥没した顔が、此方を嘲笑っているように見える。シアは火炎放射器の引き金を引こうとしたが、思い止まった。理由は第一に、ここが緑生い茂る山の中だということ。第二に、周囲に飛び交う粉塵。可燃性が如何程かは知る由もないが、下手をすれば自分の身を焼くことになりかねない。

2017-11-20 16:14:54
Φ @ahiruchan_phi

牽制するように敵に銃口を向けたまま、じりじりと横歩きで位置を変える。「クロでもいれば……」前回の戦いでは、クロが跳躍し羽根を斬り裂いたため楽に始末できた。だがシアにそこまでの脚力は無い。交戦中のクロたちが戻るのを待つしかない。それまで、果たして生きていられるか。

2017-11-20 16:19:15
Φ @ahiruchan_phi

空中に静止していたアヒルモスが、一瞬にして速度を得てシアの方向へ飛び来たった。「!」シアは横方向へ全力で跳ぶ。高速の体当たりはアーチ形状を描き、シアの真横を通過していく。軌跡に鱗粉の輝き。シアは着地の勢いのままに駆け出す。その向かう先には、駆除班のバン!

2017-11-20 16:24:00
Φ @ahiruchan_phi

「バンの中に、確か防塵マスクが……ンアーッ!」後部座席ドアへ辿り着いたシアの背中に鋭い痛み。それは背を向けたシアに、アヒルモスが放った風の刃だった。防護服が切り裂かれ、皮膚に一文字の切り傷が生じる。「大丈夫、傷は浅い、はず」シアは痛みに耐えながら車のドアを開いた。

2017-11-20 16:27:53
Φ @ahiruchan_phi

後部座席上に乱雑に積み込まれた荷物袋。シアはアヒルモスに向き直り、後ろ手で荷物を引き出す。まずはマスク。アヒルモスの翅が不可視の速度で動き、再び風の刃が放たれた。「あっ」手に衝撃。咄嗟に身体を庇ったことで、引き出したマスクの入った袋が手から離れた。袋は数メートル先に飛ばされる。

2017-11-20 16:32:10
Φ @ahiruchan_phi

「っ……!」刃を受けて破れたグローブを引きちぎって捨て、素早く座席の足元から小銃を引き出した。狙いの精確さよりも速さ。アヒルモスにありったけの銃弾を撃ち込む。「くらえーっ!」「グワーッ!?」予想通り。攻撃直後の隙を狙った咄嗟の反撃は成功した。「どうだ、百合畜生……!」

2017-11-20 16:37:30
Φ @ahiruchan_phi

だが、マガジン内全弾を撃ち尽くせど、アヒルモスは怯みこそしても倒れはしない。残念ながらこれも予想通りだ。百合のタフネスは人間の想像をはるかに超える。駆除班は班であるからこそ百合を殺せるのだ。「あーまっずいなあ……」シアの視界がぼやけてきた。鱗粉の毒が回りはじめている。

2017-11-20 16:41:15
スト燃シアver.6.5 @sia_kikyou428

今なら簡単にシアちゃんにエッチなことできそう!(ああ、逃げて!) #のじるい島民放送局

2017-11-20 16:42:34
Φ @ahiruchan_phi

思ったより速いタイムリミットだ。傷口から毒鱗粉が入り込んだか。もう遅いと知りつつ、地面に転がったマスクの入った袋のもとへ歩く。その足どりも最早覚束ない。数メートルが遠い。銃を取り落とす。腕に新たな切り傷。また風の刃が飛んできたのだと痛みで理解する。袋に辿り着く直前で膝をついた。

2017-11-20 16:45:27
Φ @ahiruchan_phi

乱れた呼吸、胡乱な意識で空を見上げる。ぼやけた視界に輝くものが降り注ぐ。音もなく滞空するアヒルモスが見下している。もう動けないほどに衰弱した私を取って食おうというわけだ。馬鹿め、それならこっちにも考えがあるぞ。この機械喉に仕込まれた自爆装置で諸共に……「シアさん!」声が聞こえた。

2017-11-20 16:49:46
スト燃シアver.6.5 @sia_kikyou428

機械喉に自爆装置!? そんなもの外しなさい! #のじるい島民放送局

2017-11-20 16:51:05
Φ @ahiruchan_phi

視界に新たな影。自分を庇う背中。こんなに大きかっただろうか。目の前に、漂う鱗粉の輝きよりずっと美しく鮮明に煌めく、長い銀の髪が揺れていた。何を言っているのかはもう聞こえなかった。世界の音が消えていき、意識が落ちる。崩れる体は、誰かが受け止めてくれたらしかった。

2017-11-20 16:53:16
Φ @ahiruchan_phi

センは拳銃を構えた。地面に転がっていたシアの小銃も足で蹴って近くに寄せる。アヒルヘッドの歪んだ目がセンを射抜く。「シアさんを一人で戦わせた……私が責任を取ります」拳銃を突きつけたまま片手を防護服のポケットに入れ、中に忍ばせていた小型リモコンのスイッチを押す。

2017-11-20 16:55:08
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