烏賀陽(@hirougaya)さんの「管理されない完全な自由空間」

ジャーナリストの烏賀陽弘道さんがツイッター上での自己責任等について語っています。 ここで話題が変わってますので、続きは「原発事故は国際問題としてどこまで広がるか」として http://togetter.com/li/117411 にまとめています。
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烏賀陽 弘道 @hirougaya

インターネット、あるいはツイッターですら、ネット以前のオールドメディアの感覚が抜けない人が多いのは驚きます。最大多数の誤解は「ネット/ツイッターには新聞/テレビのように限りなく完成に近いファイナルバージョンが掲示されているはずだ」という無意識の前提です。

2011-03-29 15:46:01
烏賀陽 弘道 @hirougaya

またネット上の発言者個人に対して「統一/管理された人格」があるはずだ、という思い込みが多いのは驚きます。それは新聞/テレビのような「企業マスコミ」が行っている「製品の品質管理」の発想です。

2011-03-29 15:48:51
リッチ358 @only39love

@hirougaya 1つ1つが未完成で進化過程と。

2011-03-29 15:47:23
烏賀陽 弘道 @hirougaya

@only39love ワタシなどツイッターは思いついたことのメモ代わりですから、ぜんぶ未完成です 

2011-03-29 15:49:28
烏賀陽 弘道 @hirougaya

「個人全員が発言者である」ことの宣伝文句「誰でも多数に発信できます」ということばかり喜んでいる人が多いのは驚きです。個人が発言者であり、企業や組織が介在しないのですから、多者による品質管理がありません。

2011-03-29 15:53:07
烏賀陽 弘道 @hirougaya

機嫌、好悪、感情、場所、天気、気圧、夫婦ケンカ、などなどによって内容が激しく変動するのが自然です。

2011-03-29 15:53:11
烏賀陽 弘道 @hirougaya

またすべては「無償の範囲」でしか発信されません。「無償の範囲」でどの程度の確度、精度の情報を提供するかは情報の発信者の判断ですので、受信者は確定した、不変の内容を期待することができません。

2011-03-29 15:54:59
烏賀陽 弘道 @hirougaya

よってツイッター、インターネットに情報の受信者が「お前の情報は不正確だ」と文句を言うことはすべて間違いなのです。発信者が「私はそんなつもりで発信していません」と「自己規定」してしまえば、受信者はもう反論する論理がありません。「個人が発信する」=「個人がすべてを決める」からです。

2011-03-29 15:56:52
烏賀陽 弘道 @hirougaya

では、そこでは悪質なものを淘汰し抑止するシステムがないのかというと、それは「生存と淘汰の見えざる手」なのです。「評価の自由市場」と言ってもいいでしょう。(岡田斗司雄さんと似ていますね)

2011-03-29 15:58:07
烏賀陽 弘道 @hirougaya

発信者は多数の受信者によって、Pさんの評価が決まる。そこでの最悪のシナリオは「Pさんのいうことを信用する人がゼロになった」という結果です。しかし、それでもPさんが「信用なんかほしくありません」と自己規定してしまえば、何の問題も起きない。

2011-03-29 15:59:59
烏賀陽 弘道 @hirougaya

逆にいうと、いい加減であろうとうそであろうと、場合によっては扇動者であろうと、多数が信用するならそれで「生存と淘汰の見えざる手」は作動しています。「コスモ石油が炎上して有害物質が降る」もそうでしたね。

2011-03-29 16:01:23
烏賀陽 弘道 @hirougaya

つまり、ネットに発生しているのは、政府の市場介入をゼロにした「フリーマーケット」「完全自由市場」に近い「生存と淘汰のシステム」なのです。これは経済学でいうレッセ・フェールの理想が、バーチャル空間に誕生したというSF的な現象ではないでしょうか。

2011-03-29 16:03:03
烏賀陽 弘道 @hirougaya

日本人はこうした「管理されない完全な自由空間」「個人がすべてを決定し、その責任はすべて個人が負う」という空間に不慣れです。なぜか自然に「この空間には事前にルールがあるはずだ」という「場の設定」を前提にして行動してしまいます。日夜、私のところには、そうしたツイートが届けられます。

2011-03-29 16:05:11
烏賀陽 弘道 @hirougaya

彼らが「個人」という発想にいかに不慣れか、私はツイッターの前で日々実感しています。「誰かがルールを決めているはずなので、それを見て、自分の行動を決める」「他者の行動を評価する」「自分と同じ他者を複数見つけると、安心してそれに従う」という人の何と多いことか。

2011-03-29 16:08:08