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俺達は瑞雲法被を来て欧州へ行った日向師匠のことを忘れてはいけない 2:https://togetter.com/li/1175506
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劉度 @arther456

ハーグ首相官邸地下、緊急対策本部。「なんて数だ……」沿岸部を埋め尽くす深海棲艦の群れに、首相は慄然としていた。オランダ中部から南部まで、およそ100kmの海岸線に、おびただしい数の深海棲艦が展開している。「ドイツ艦隊は?」「まだこちらに向かっている途中です」25

2017-11-24 22:06:01
劉度 @arther456

「何がEU海軍だ。これじゃ、盾にされているだけじゃないか……!」オランダは数週間前から深海棲艦による集中攻撃を受けていた。既に自国の海軍は壊滅し、何度も周辺国に援軍を要請している。だが、どの国も、戦力が足りないと言って、出動しようとしなかった。26

2017-11-24 22:09:01
劉度 @arther456

何の抵抗もできないまま、敵の砲撃が始まった。住民は各所のシェルターに避難しており、無事なはずだ。しかし建物はそうはいかない。見慣れた街が、生まれ育った家が、今この瞬間に崩れているかもしれない。そうした不安が、首相官邸のスタッフの間に広がっていった。27

2017-11-24 22:12:02
劉度 @arther456

その考えは甘かった、ということを、彼らはすぐに思い知ることになる。28

2017-11-24 22:13:02
劉度 @arther456

30分ほど後、不意に砲撃が止んだ。「止まった?」「なんでだ?」スタッフが顔を見合わせた直後、今までにない激しい揺れが官邸を襲った。「……ッ!被害状況を知らせろ!」「はいっ!」砲撃を免れた監視カメラや、内陸の観測施設から、ハーグが受けた被害が伝わってくる。29

2017-11-24 22:15:03
劉度 @arther456

「首相、大変です!」職員の1人が、青ざめた顔で叫んだ。「どうした!」「……こちらへ来てください!」首相は立ち上がり、職員のPCを覗き込む。モニターには、海水が流れ込むハーグの様子が映し出されていた。「奴ら……堤防を破壊したのか?!」30

2017-11-24 22:18:01
劉度 @arther456

オランダの海抜が低いのは、海と干潟を埋め立ててできた国だからだ。堤防が破壊されれば、当然、海に沈む。「なんて、ことを……」オランダが深海棲艦の攻撃を受けるのは、これが初めてではない。しかし、このような国土そのものを消そうとするのはこれが初めてだった。31

2017-11-24 22:21:01
劉度 @arther456

「後方待機中の陸軍に通達!市民を内陸部に緊急避難させる!このままだと地下シェルターが水没する!」「了解!」「敵艦隊の中枢が、南下を始めました!」「ゼーラントを狙う気か!向こうにも急いで内陸部に避難するよう伝えるんだ!」オランダは、文字通りの水没の危機に晒されることになった。32

2017-11-24 22:24:02