陥没アヒルチャンのフォロワー百合小説 EP6

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Φ @ahiruchan_phi

駐車場に停めたバンの中にも、はんちょ〜はいなかった。「どこ行ったんでしょうね」「ピガガー」「待ってましょうか」「ピガー」鍵を開け、二人は後部座席に乗り込む。二人きり。余計な荷物を降ろした車内は、持っていた印象をはるかに超えて広かった。「……遅いですね」「ピガガー」

2017-12-02 19:40:01
Φ @ahiruchan_phi

「……私が、アイツを撃てていたら」センは話し始めた。「撃っていたら、シアさんは無傷だったはずです」「ピガガー」シアがセンの横顔を、そして膝の上で震える包帯の手を見た。「すみません……私は、シアさんを守れなかった。それどころか、傷つけてしまった。私はやっぱり駄目センです」「ピガガ」

2017-12-02 19:42:52
Φ @ahiruchan_phi

「サバちゃん、居なくなったってことは、またアイツになったってことなんでしょうかね」センが少し顔を上げた。「正直、アイツに勝てるとは思えないんです。……すみません、シアさんが喋れないのをいいことに、好き勝手言って」「……」シアは無言で、センの震える手の上に自分の手を柔らかに重ねた。

2017-12-02 19:47:16
Φ @ahiruchan_phi

「すみません……すみません……私は、貴女に甘えています」シアはセンの顔を見ないように、センの手だけを見つめていた。膝の上に落ちる水滴も見ないふりをした。「すみません……私では、貴女を守れない」シアはセンの肩に手を伸ばし、震える身体を抱いた。センは身体を倒し、シアの膝に顔を埋めた。

2017-12-02 19:51:37
Φ @ahiruchan_phi

バンの後ろにもたれかかっていたはんちょ〜は、飲み終えた缶コーヒーを握りつぶした。「……もう一本飲むか」小さく呟き、静かに歩いてバンから離れる。少し歩き、振り返る。センの座っている側のドアが半ドアになっている。「金のために駆除班やってるんじゃなかったのか、お前らは……」

2017-12-02 19:55:38
Φ @ahiruchan_phi

【YURIZONZ 後半へ続く】

2017-12-02 19:56:06
どくどくウール @poisonwool_2

オツカレサマドスエ!センシア描写アーイイ… #のじるい島民放送局

2017-12-02 19:57:34
どくどくウール @poisonwool_2

フフフ…哀れなにょーふやさんとサバちゃんはどうなってしまうんでしょうねェ? #のじるい島民放送局

2017-12-02 20:00:01
Φ @ahiruchan_phi

(今日は迷っていません)

2017-12-03 13:12:26
Φ @ahiruchan_phi

手刀を構えドクに迫るにょーふや。距離は1mを切った。「地獄作りは地獄でなさい!イヤーッ!」「ウアアーッ!」サバはベルトのグリップを引き抜く。ぬるりと、1m近い長さの糸を引く肉組織めいた物質が引き出される。それは外気に触れると直ちに硬質化し、槍の形状で固定化された。

2017-12-03 13:14:18
Φ @ahiruchan_phi

「ウアアーッ!」サバは身体を捻り、これを投擲!一直線に放たれた投槍がにょーふやの背後から迫る!「イヤーッ!」にょーふやは危機察知し姿勢反転、構えた手刀を翻し槍を弾き飛ばす!だが、それはドクに背を向ける行動だ!「イヤーッ!」ドクの手刀が、ドライバーの後方のベルト接合部を破壊!

2017-12-03 13:16:52
Φ @ahiruchan_phi

「しまっ」にょーふやの腰からベルトが引き抜かれる。魔人が人間女性の姿に戻る。「これは返してもらいますよ」ドクが左手でドライバーを持ち上げ、振ってみせる。「そして、失敗作は駆除……それに例外はありません。イヤーッ!」生身となったにょーふやを始末すべく、ドクは槍めいて右腕を突き出す!

2017-12-03 13:20:07
Φ @ahiruchan_phi

「アアーッ!」ドクの腕がにょーふやに到達する寸前、サバがにょーふやの腕を掴み、力任せに引っ張った!「ンアーッ!?」間一髪!ドクの腕は空を貫く。「……おや?」ドクが不思議そうにサバを見た。「この人は百合じゃない。それに、ボクは貴女が好きじゃない」サバはドクに刃物の視線を向けた。

2017-12-03 13:23:16
ムーン @ZevoryuSyon

サバちゃんは良い価値観を持っている子ですね。 ヒーローの素質だ。 #のじるい島民放送局

2017-12-03 13:26:02
Φ @ahiruchan_phi

「行って」サバのその言葉を受け、にょーふやは苦々しい表情で立ち去った。意外にもドクは彼女の姿を見送った。サバはベルトを外し、元の姿に戻る。「……聞かせて、ボクの過去を。ボクが貴女に引き取られるまでのことを」「……いいでしょう」ドクがいつになくシリアスな表情になる。「……ですが」

2017-12-03 13:26:05
Φ @ahiruchan_phi

「……!?」サバは突然立ち眩んだ。全身に力が入らず、膝をつく。「あれだけ百合の力を連続で使ったのですから、そろそろ貴女も限界でしょう?サバちゃん」ドクが見下ろす。その姿にピントが合わない。「続きは私の研究室で、ゆっくりとお話ししましょうね」サバの意識が落ちてゆく。「……ァ」

2017-12-03 13:29:11
チベスナ @apatheiaTBSN

サバちゃんが大変な目に遭いそう 変な毒液に漬けられそう #のじるい島民放送局

2017-12-03 13:30:04
魔ッ茶 @kgkbhm

何処かでみたレーザーめいた槍投擲 #のじるい島民放送局

2017-12-03 13:32:45
ムーン @ZevoryuSyon

Φさんところの、どくどくウールちゃんさんに邪悪さを感じる。 #のじるい島民放送局

2017-12-03 13:32:48
Φ @ahiruchan_phi

「ヒャアーッ!」「何っ」ドクの目の前にあったサバの身体が、突然横からの影に掻っ攫われた。「ヒャアッ!」小柄な人影は駅構内の壁を破壊して逃走した。サバの身体を担いだまま。「……あの声は、クロちゃんですか。変な気を起こさなければいいのですが」ドクは壁に空いた大穴を見て呟いた。

2017-12-03 13:33:09