Affair Story 「また会える日まで」

『冬』に愛着わき過ぎてまた突発に長編したり。最初が長過ぎですなー。もっとちゃんと考えながら書かないと。プロット作れよ。
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Affair Story @affair_story_s

「それ以上に?」「会えなくなるなら、今のうちに、あいつと話しておきたい」「何を?」「……何でもいい。いつもみたいに、バカやって、ののしり合って」……ああ、そうだ。

2011-03-30 21:45:05
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「ではもう一度。貴方は、何で、彼女に会いたいの?」

2011-03-30 21:45:43
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「……あいつの事が、好きだから」

2011-03-30 21:46:12
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楽しかった。一緒に居る事が。とても。充実していた。寒くても、暖かくて。

2011-03-30 21:46:57
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「ふーん?」『君』の悪戯っ子のような細められた目にはっとし、俺は両手を振る。「――あ、い、いや、好きって、そういう意味じゃないぞ! と、友達として、な!?」「顔赤いよ?」「――!」

2011-03-30 21:48:22
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な、何だ、これ、何でこんな事に!? 確かにあいつのことは好きだけど、だけど、それはやっぱり恋とかじゃなくて、友達として。大切な友達への親愛だ。だって、俺が本当に好きなのは――

2011-03-30 21:49:45
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「ん?」無邪気に首を傾げる『君』に、俺は肩を落とす。だいぶアタックしているつもりだけど、分かってないのだろうなぁ。もしくは、俺がヘタレ過ぎるのか。

2011-03-30 21:51:28
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「俺、相当ダメなのかな……」「え、な、なに、急に!?」「あ、いや、うん……」頭を掻き、笑う。その俺の表情を見て、『君』も笑う。「大丈夫?」「うん、大丈夫。ありがとな」「何のことやら。私はただ、話を聞いただけよ」「それで十分さ」おかげで、どうすればいいかは分かった。

2011-03-30 21:54:25
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「あのね」「ん?」声をかけてきた『君』は、さっきまでの笑顔を少し曇らせている。「本当はね、ああは言ったけど、貴方だけの問題でもないの。たぶん、貴方だけじゃなく、彼女も――」「わかってるよ」俺は『君』に笑いかける。「あいつも、俺と一緒なんだ。だから、見つからなかった」

2011-03-30 21:57:41
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会えなくなるのは、俺だけじゃない。向こうもだ。会いたいけど、会ってどうすればいいのか分からない。だから、「俺からちゃんと、会いに行くさ。んで、リードしてやるよ」「……ふふ、男の子だね」「頼りになるだろ?」

2011-03-30 22:01:51
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『君』は笑みを深め、俺の手をとる。「貴方の問題は、もう大丈夫みたい。でも、彼女がどうかは分からないわ。私にも、それはどうする事も出来ない。……でも、貴方が望むなら。私は、それが叶うように祈ってるわ」「ああ、ありがとう。十分だ」

2011-03-30 22:03:44
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『君』と別れた俺は、色々と準備を済ませて土手に行く。斜面を下り、若草の上を歩いて川に近付く。しゃがみ、水に手を入れれば、返ってくるのは冷たさだ。その冷たさは手を介して身体に伝わり、震えを生む。寒い。そう。まだ、寒い。これは、冬の名残だ。

2011-03-30 22:08:20
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「……よぉ」俺は水に視線を落したまま、後ろへ言葉を投げる。

2011-03-30 22:09:30
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「……やぁ」後ろから言葉が返って来て、俺は立って振り返る。

2011-03-30 22:10:50
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「どうした? 元気ないじゃないか、『冬』」「別に……そんな事、ないわよ?」「そうか?」「ええ、そうよ」「それは良かった」「何で貴方が喜ぶのよ」「ん? だって、元気なんだろ? 元気なのはいいことだ」「そういう貴方は、ちゃんと元気なの?」「ああ、元気だよ。最近は暖かくなってきたしね」

2011-03-30 22:14:31
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『冬』の眉が動いた。目が細められ、脇を向き、「そうね。もうすぐ、春だわ……」「なぁ、『冬』」「……何?」「鍋するぞ」「……は?」

2011-03-30 22:16:12
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たっぷり三秒。アホのように口を開けていた『冬』は、やっと状況を理解したのか、「い、いきなり何!?」「あ? お前好きだろ、鍋」「す、好きだけど、もう春よ? さすがに鍋はあつ――」「んなもんクーラーでもつけてりゃ何とかなる。行くぞ」「ちょ、ちょっと!」

2011-03-30 22:19:01
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まだ文句をいう『冬』の手を引っ張り、「もう準備はしてきたんだ。嫌とは言わせないぞ」「強引すぎるわよ!」「いつも強引なお前が何言ってんだ。勝手に上がりこんでこたつ入るはおでん奪うわ。今日は招待してやるってんだから感謝しろよ!」「はぁ!?」

2011-03-30 22:21:38
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「……好きなのしか食べないわよ」「いいよ、それで。ってかいつもそうだろうが」「……白菜いっぱいあるでしょうね」「新香の部分もたっぷり」「マロニーは?」「二袋買ってるよ」「お肉は?」「鶏肉、お団子、お好きにどうぞ」「しいたけ」「まるまる入れてあるよ」

2011-03-30 22:23:09
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しばらく質問ばかりしていた『冬』が急に黙り込む。その手を引いて歩いていたのだが、急に止まり、手が抜け、俺は振り返った。

2011-03-30 22:25:08
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「……え?」不意打ちのお礼に唖然に取られる俺に、『冬』は明るい、いつもの笑顔で、「鍋食べたいけど、今夜は暖かいみたい」視線を追うと、『春』がこちらに近づいてきていた。そんな、と俺は『冬』に向き直る。「まだ冬だ」「もう春よ」「鍋は冬にするものだ」「春の頭にも出来るわ」

2011-03-30 22:30:43
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違う、今は冬だ。まだ、冬だ。「無理よ」俺の認識を否定するように、『冬』は告げる。「頭で冬って思って、少しだけ冬って思えても、やっぱり、もう暖かいもの」思いきれない。今が、冬だと。それを、『冬』は理解しているのだろう。「ごめんね、せっかく誘ってくれたのに鍋食べられなくて」

2011-03-30 22:34:29
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「何言ってんだよ。食べに来いよ」「行きたいわ。でも、私は無理みたい。代わりに『春』と――」「俺はお前と食べようと思って用意したんだよ!」

2011-03-30 22:35:27
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「たぶん、明日からもっと暖かくなる。お前に会えるのも、今日までかもしれない。明日からは、しばらく会えない。だから最後に、盛大に、お前とバカやろうって!」

2011-03-30 22:37:17