百合ゾン変身ヒロイン路線・百合ゾンアルファ始動編【前半】【中盤】

はんちょ〜 @Hantipede

「ぷはぁー！おいしかったぁー！！」白衣を羽織った水着姿で露出した腹をだらしなく膨らませたのを片手で叩き鳴らしながら、ちゃぶ台の前でそのまま寝転ぶくくろ。「もー、くくろちゃんったらぁ。牛になっちゃうよ？」それを見たエプロン姿の少女が苦笑する。ボブカットに半ズボン、中性的な出で立ち。

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「んぇー…だってぇ、へりぶちせんせの料理すっごく美味しんだもーん」「ふふ、そう言ってもらえると私も嬉しいなぁ」彼女の名はへりぶち。この島で暮らす百合ゾンには珍しく、彼女は数少ない『元々女性だった』部類の者である。 そんな二人の微笑ましい会話を傍目に、もう一人の少女が食事を終える。

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「ご馳走様でした、先生」アシンメトリー・ヘアスタイルの少女は手を合わせて食卓に会釈した。懐の紙巻き煙草の残り本数を確認すると、女学生制服を整えて立ち上がる。「……もう帰っちゃうの？」まな板を片付けようと手にもったままへりぶちが問う。「はい。今日も、お世話んなりました」少女は笑う。

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「『例のやつ』、完成したらまたお題箱の方へ投げときますんで、ね？」いがしょうは思い出したようにそう告げ、流し目気味にアイコンタクトを送った。「ﾎｵｵｱｱｱその節は何卒よろしくお願いします……神ィ……」それを受けたへりぶちは片膝をつき、何やら恭しい所作でまな板を高々と捧げるポーズ。

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「んじゃ……」いがしょうは２人に軽く手を振り、ドアを開けて外へ出る。辺りはすっかり暗い。ふと横を見れば……数m先に明かり１つ無い、只ならぬ異様を放つ石造りの建物が見える。モルグ。この島の街の端にある、巨大な遺体安置所。そのすぐ近くに建てられているのが、へりぶちの『本宅』である。

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いがしょうは右肩に手を置き、顔を曇らせた。「……」シュル、と襟紐を緩め、胸元を開けると、肩口に胴にまで渡って巻かれた包帯が露出した。いがしょうは最近、くくろが自分の右肩を見ては浮かない顔をするようになったのを知っている。原因は単純だ。暴走百合ゾン。先日の一件でのことである。

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あの日に暴走した百合ゾンは後日、彼女達の元へ謝りに来た。いがしょうが襲われた時のくくろは激昂していたが、その時にはいがしょうがあっさり許すと、彼女も笑って許していた。だが、傷のこととなると……あの時の怒りに震え涙を流しながら自分を庇うくくろの姿が、どうにも頭に焼きついて離れない。

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もうあんな事が起きて堪るものか。俺が傷ついたことに、くくろが……くくろ『さん』が我を忘れて身をなげうって俺を庇うくらいなら、いっそ―――！！

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「力が、欲しいですか？」 脳に直接焼きついて、理性を奪いに来るような蠱惑的な女性の声。ばっと、いがしょうが振り向いた先には、百足の尻尾を揺らしながらいやらしい笑みを浮かべた人外美女が、『本宅』の屋根の上に腰掛けていた。「なァーんて、一度言ってみたかったんですよねェこのテの台詞♡」

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急いで襟を正して、いがしょうも口角を吊り上げる。「なんであんたが此処に？」「『なんで』ッてェ。私は島民の皆さん全員の主治医のようなものですしィ、いがしょうさんの怪我の具合はどうかなァーと思って来ただけでェ」人外美女はへらへらと並べ立てながら、何でも無さげに星空を見上げる。

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いがしょうは煙草を取り出し、咥え、火を点けた。「おかげさんですっかり塞がったよ。そんで、アンタに頼めばその後ろ手に隠してる『それ』は貸してもらえんのか？」人外美女を見上げる。はんちょ～は一層ニタァ～～……と笑い、左手に持つ有機的なデザインのベルトを垂らして見せた。

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「新作の片割れです。百合ゾンドライバー・『α』。『Ω』の方は貰い手が見つかったので、次はこの子の里親を捜してたところでしてェ」「そいつがあれば、次に暴走百合ゾンが出てきた時に俺だけでも鎮められンだな？」いがしょうは右手を差し出した。放り投げられたそれを、容易く掴み取ってみせる。

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はんちょ～は両手を重ね合わせて握り揉む。「お試しになってみますゥ？」「そうするよ」いがしょうは限界まで短くなった吸殻をプッ、と足元へ吐き捨てる。それを念入りに片足で踏み潰し火を消すと、百合ゾンドライバーを腰に装着！ｷﾞｭｩｫｫﾝ！！待機音！「おﾞォﾞォオッ！」彼女は雄々しく叫ぶ！

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「百合ゾンッ！！」いがしょうは両のグリップを指先で摘み爪弾くように両手で回した！『alpha』認証音声！彼女の全身を、熱波が包む！！『Show me your another face！！She-She-She male！！』彼女を中心に同心円状の熱波が吹き荒れ、木々が揺らぐ！

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「これで……アイツを……」熱波が収まると、いがしょうは自らの身体を顧みる。身体はほとんど黒ずくめの……伸縮性のある素材で作られた動きやすい生地に覆われていた。走りやすいよう足裏が直に地を捉えられるブーツ、両腕には何かの射出口が付いた流線型の黒いガントレット。これは、まるで……。

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「……アンジェのスパイ衣装？」そう、まるでこの格好のまま隠密行動までこなせそうな動きやすく、夜の闇に溶け込むデザインをしているのだ。そして、ヘルムは鶏卵を模したような白くも流れるようなデザイン。完全に外から顔を覆い隠すフルフェイス。「うぶッッッ」自らの姿を想像し、彼女はよろめく。

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彼女は変身形態のまま、慌てて姿勢を立て直す。「あ、あぶねェッ。ヘルムん中で鼻血噴くところだった……アーでも、この姿のアンジェとか見てみたいかも……くそ、またへりぶち先生に描いて貰いたい題材が増えてしまった」グリップを両側から押し込み、変身を解く。『She-you again……』

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「コレ、ありがたく使わせてもらうぜ。何かあった時には呼ん……」いがしょうが振り向いた時には、人外美女の姿は消えていた。辺りを見回しても、いない。「……あー。クソ喫茶行ったかな。店主、またクソリプにやられてたしな。主治医だけにカウンセリングってとこかね」いがしょうは肩を竦めた。

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◇YURIzonZ◇アイキャッチです。続きは明日◇

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【YURIzonZ】

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（これまでのゆりすじ：百合ゾン・Φの暴走を謎の女装メイド服仮面ヒーロー・百合ゾンオメガが食い止めてから数日。暴走したΦの陥没顔面から繰り出された高速啄みは実際脅威であり、襲われたいがしょうに右肩を負傷せしめた）

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（彼女を守りきれなかったと自身に落胆し、いがしょうの手当てした肩を見る度浮かない顔をするくくろ。そんな様を見ていられなくなったいがしょうは、島の主・百足尻尾の人外美女はんちょ～に接触し、残るもう一方の百合ゾン変身ベルトを譲り受け、『百合ゾンアルファ』に変身する権利を手に入れる。）

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（暴走百合ゾンへ対抗する術を手に入れ、身近な者達を守れる力を得たことに息を巻くいがしょう。はたして、そんな彼女の初仕事の相手となるのは誰なのか……）

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◆当作品シリーズは専用タグによる実況行為を推奨しております→ #百合ゾン ◆ 追伸：『仮面ライダーアマゾンズ』劇場版・完結編 公開決定おめでとうございます

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「ッ！」BLAM！BLAM！BLAM！３発分の銃声！流線型の鶏卵型ヘルムで頭を隠す華奢な影が、引き金を引いたのち側転回避！「はぁッ！」直後そのすぐ横を、銀の刃が乱杭歯めいて不規則に生え揃った腕が掠める！腕を振るった主は、男性！女装メイド服を改造したライダースーツに身を包む青年！