togetter凍結中のもろもろの経済学ネタまとめ

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伝左衛門 @yumiharizuki12

この人たち素晴らしいこと言ってる。「イノベーションが低下してるのはもっぱら企業の独占力が強まってるからで、マークアップ率をゼロにすれば生産性が40%上がる」って。

2017-12-15 20:52:38
伝左衛門 @yumiharizuki12

よく読んだら、うーん、難しいこと言ってるなあ。静学的な効率改善と動学的な効率改善は反対方向の帰結をもたらすと。まず、独占力の強い企業がマークアップ率を下げ雇用と生産を増やせば、雇用が独占力の低い企業から移って生産物が増える。これが静学的効率改善。これは実にGDPの40%に相当すると。

2017-12-15 21:13:57
伝左衛門 @yumiharizuki12

これに対して、独占力の強い企業の方がイノベーションや投資に熱心で長期的により成長する。これが動学的効率改善。独占力が下がると投資やイノベーションが減って成長率が下がる。米国経済では、独占力の強化が過去20年で進んで、静学的効率悪化と動学的効率改善が同時進行したので、全体効果は複雑。

2017-12-15 21:17:50
伝左衛門 @yumiharizuki12

元ネタ論文はこれ。実に2017年11月12日という日付で最新!economics.nd.edu/assets/257061/…

2017-12-15 21:24:51
伝左衛門 @yumiharizuki12

上記記事では、1997年にマークアップ率をゼロにするという改革をやってそれを維持したら、生産性水準は今より5~20%高かっただろう、と言っている。総体の生産性改善効果がそれほど大きくないのは、独占排除による静学的効率改善効果の相当大きな割合を、動学的効率悪化が打ち消すからである。

2017-12-15 21:28:01
伝左衛門 @yumiharizuki12

元々、知的財産権という名で独占を保護することには両面効果があり、イノベーションを促すプラス効果と、独占で生産量が減るマイナス効果が打ち消しあうので、功罪の評価は難しかった。この論文はこの問題をある程度定量的に評価したという意味で画期的ではないだろうか。

2017-12-15 21:31:10
伝左衛門 @yumiharizuki12

ロボットによる自動化は雇用を減らすより増やしてるって。「AIによって雇用が失われるからベーシックインカム」への反論にはなりそう。 Benign effects of automation: New evidence | VOX, CEPR’s Policy Portal voxeu.org/article/benign…

2017-12-15 21:42:56
伝左衛門 @yumiharizuki12

これまたストレートな。中国との競争でアメリカのイノベーションが減ってるって。 Competition from China reduced innovation in the US | VOX, CEPR’s Policy Portal voxeu.org/article/compet…

2017-12-15 21:46:26
伝左衛門 @yumiharizuki12

がんばってイノベーションするより、グローバリゼーションを利用して工場を途上国に移す方が、金儲けの手っ取り早い方法だわな。

2017-12-15 21:48:33
たゆ @yutawt

@yumiharizuki12 引用されていますが、Nick BloomらのEUについて研究だとイノベーションは増えています。あまりこの効果は絶対的なものではないのかもしれません。本論をきちんと読めば、なぜ効果が異なるのか分かるのかもしれません。

2017-12-15 21:52:13
伝左衛門 @yumiharizuki12

この鶴光さんの論文は、労働分配率低下を説明するいろいろな理論を紹介している。 nikkei.com/article/DGKKZO…

2017-12-15 22:01:26
伝左衛門 @yumiharizuki12

<スーパースター企業では、なぜ労働分配率が低くなるのか。米企業では自企業の従業員を減らし、請負企業、派遣会社、個人請負、フリーランサーへのアウトソーシングを拡大している。こうした「職場の分断化」は大企業の賃金プレミアム(上乗せ)を低下させるとともに、従業員の交渉力も低下させる。>

2017-12-15 22:07:43
伝左衛門 @yumiharizuki12

独占企業ほどイノベーションに熱心だが生産規模拡大には消極的ということ? <00年代初頭以降、米国の設備投資が過小であるのはこうした市場集中度の高まりが影響しており、多くの投資減退は市場で後れをとっている企業よりも、むしろ市場をリードする企業に原因があることを示した。>

2017-12-15 22:11:05
伝左衛門 @yumiharizuki12

元ネタ: The Fall of the Labor Share and the Rise of Superstar Firms David Autor, MIT and NBER David Dorn, ... economics.mit.edu/files/12979

2017-12-15 22:15:17
伝左衛門 @yumiharizuki12

まあ雇用の多様化(働き方改革w)が労働者や労働組合の交渉力を低下させてることは確かだろうな。労働者内に利害対立が生じるので。こりさん仮説が正しかったということかw

2017-12-15 22:20:49
伝左衛門 @yumiharizuki12

Companies that capture markets but don’t need big staffs help explain American workers’ shrinking sh... bloomberg.com/news/articles/… @businessさんから

2017-12-15 22:33:46
伝左衛門 @yumiharizuki12

思えば昔、新古典派であるBoldrinとLevineが「知的財産保護は知的独占保護だ」と批判して、自らの著書を紙版で有償販売するとともにネットに無料公開した。ネットで無料公開しても紙版を買う人はいる、というデモンストレーションだったのだろう。

2017-12-16 02:57:08
伝左衛門 @yumiharizuki12

BoldrinとLevineの主張は、私をブロックしてるイケノブ先生が要領よく紹介していますw Levineは有名指揮者と同じ名前だが、「レヴァイン」ではなく、普通「レヴィン」と呼ばれてますw ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51294…

2017-12-16 03:03:38
伝左衛門 @yumiharizuki12

しかしこういう名前制限でブランド価値を守るのも知的独占で、いいことばかりではないはず。ハンブルクがハンバーグという名前に商標権を主張したらどうするんだろう?w ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F…

2017-12-16 14:36:44
伝左衛門 @yumiharizuki12

ちょっと検索したら、元同僚の紀要論文が出てきた。ポイントを突いてて面白い。要は中間財に特許が設定されてその利用料が独占価格になると、社会全体の生産量が過少になる非効率が発生する。ある意味当たり前だが、特許権者を批判することがタブーになってる現実はある。

2017-12-16 14:56:21
伝左衛門 @yumiharizuki12

Boldrin-Levine本の詳細なレビューで面白い。例えば「コンテンツはメディアを買ってもらうための広告にすぎない」とかw 〈怒〉 知的独占 / Rage Against Intellectual Monopoly orion.mt.tama.hosei.ac.jp/hideaki/rageag…

2017-12-16 15:14:50
伝左衛門 @yumiharizuki12

背景となってる基盤研究Aとは、これだな。 kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKEN…

2017-12-16 15:19:35
伝左衛門 @yumiharizuki12

例えばコンテンツを提供する著者の手元に入ってくるのは高々1割。残る9割は本というメディアを作る出版社や印刷会社や製紙会社の手元に入る。だからメディアの人たちはいつも必死でコンテンツを提供してくれる人を探してます。だから、 「コンテンツはメディアを買ってもらうための広告にすぎない」

2017-12-16 15:31:30
伝左衛門 @yumiharizuki12

研究成果報告書見ても、論文は大量にあるけれど、ほとんど「査読なし」ですね。一つは日本語ということもあるし、査読を待ってる間に研究期間が終わってしまうというのが大方の文系のリアルですよw kaken.nii.ac.jp/ja/file/KAKENH…

2017-12-16 15:52:15