『本格ミステリー・ワールド』休刊と現代ドイツの本格ミステリ作家

島田荘司先生の監修で南雲堂から毎年12月に刊行されていた『本格ミステリー・ワールド』が、昨年(2016年)12月刊行の『本格ミステリー・ワールド2017』をもって休刊となりました。 私自身は、2014年末刊行のものから最終号(11号)までの3年間、 「日本作家の英米進出の夢と『EQMM』誌」 「日本作家の英米進出の現状と「HONKAKU」」 続きを読む
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『本格ミステリー・ワールド』が掲載していた東アジアの最新ミステリー事情

Dokuta 松川良宏 @Colorless_Ideas

『本格ミステリー・ワールド』、第2号から載っていた「台湾ミステリー事情」(最初の3回はミステリ作家の寵物先生[ミスター・ペッツ]が執筆)、「2014」から4回掲載された「韓国ミステリー事情」、「2010」と「2016」「2017」に掲載された「中国ミステリー事情」も各地からの貴重な情報でした。

2017-11-27 21:28:38
Dokuta 松川良宏 @Colorless_Ideas

それらも読めなくなってしまうわけですが、『本格ミステリー・ワールド』でここ2年間の「中国ミステリー事情」を執筆していたのは、シンジケートでも中国ミステリについての連載をしている阿井幸作さん(@ajing25)なので、中国のミステリ情報がまったく手に入らなくなってしまうわけではない。

2017-11-27 21:32:37
翻訳ミステリー大賞シンジケート @Honyaku_Mystery

読書案内>【毎月更新】中国ミステリの煮込み>第41回:2017年中国ミステリの総括(執筆者:阿井幸作) honyakumystery.jp/5455

2017-12-21 08:00:40
リンク 翻訳ミステリー大賞シンジケート 第41回:2017年中国ミステリの総括(執筆者:阿井幸作) | 翻訳ミステリー大賞シンジケート 今年もあと僅か。日本で『2018本格ミステリ・ベスト10』や『このミステリーがすごい!2018年版』などが出たので、ここで2017年の中国ミステリ事情を簡単にまとめてみようと思います。ちなみに()内の日本語タイトルは全て仮訳です。 ■中国のミステリ賞■ 中国のミステリ専門誌『推理』が主催する、短編ミステリを対象にした第3回華文推理大賞賽(華文推理グランプリ)が、2015年から2016年にかけて作品を募集しそのまま音沙汰がなかったが、今年12月にとうとう受賞作品を発表しました。 その結果、三等賞に燕返の『南 7
Dokuta 松川良宏 @Colorless_Ideas

『本格ミステリー・ワールド』「韓国ミステリー事情」の執筆者は韓国の出版社・時空社(シゴンサ)の編集者、パク・ユニ氏でした。その現地からのレポートは貴重でしたが、ここ2年間の同記事の翻訳を手掛けていた藤原友代さんが最近「韓国ジャンル小説」の不定期連載をシンジケートで始められている。

2017-11-27 21:38:45
翻訳ミステリー大賞シンジケート @Honyaku_Mystery

新連載:K文学をあなたに~韓国ジャンル小説ノススメ~>第1回 韓国ジャンル小説ワールドへようこそ(執筆者・藤原友代) honyakumystery.jp/4616

2017-11-01 08:00:46
リンク 翻訳ミステリー大賞シンジケート 新連載第1回 韓国ジャンル小説ワールドへようこそ(執筆者・藤原友代) | 翻訳ミステリー大賞シンジケート みなさま、お初にお目にかかります。この度、ひょんなことからお声がけいただきノコノコやってまいりました、北海道在住、「韓国(ジャンル)小説愛好家ときどき翻訳者」の藤原(フジハラ)と申します。これから韓国のミステリー書籍、ミステリー事情、ジャンル小説情報など、いろいろご紹介できればと思っています。 いきなり宣伝じみてしまいますが、先日、韓国発ゾンビ映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』(以下『新感染』)のノベライズ版の翻訳を担当させていただきました。手短に内容を紹介いたしますと、ゾンビ映画に分類される『新 13
Dokuta 松川良宏 @Colorless_Ideas

そういった意味では、中国と韓国のミステリー事情については今後も翻訳ミステリー大賞シンジケートを見ていれば分かるわけですが、『本格ミステリー・ワールド』の休刊で、一番情報が得にくくなってしまうのが「台湾ミステリー事情」ということになるかな……。

2017-11-27 21:42:11
  • ↓ その後、『本格ミステリー・ワールド』で「台湾ミステリー事情」の翻訳を担当していた稲村さんが、「台湾ミステリー事情」に相当するような記事を書いてくださいました。
稲村文吾 @inmrbng

台湾ミステリの一年・2017|稲村文吾|note(ノート) note.mu/inmrbng/n/n9b5…

2018-01-15 01:22:28
リンク note(ノート) 台湾ミステリの一年・2017|稲村文吾|note ( 題名は「台湾」としたが、香港をはじめとする他の繁体字圏の作家・作品についても触れる。取り上げた情報は、台湾推理作家協会のFacebookページと、同協会公式サイトで提供されている「行事暦」を大きく参考にした)https://www.facebook.com/taiwanmystery/ http://taiwanmystery.org/ 海外への作品紹介 「台湾ミステリ」を冠した記事の冒頭で扱うのが(台湾の出版社の刊行作品とはいえ)香港在住の作家、しかも現地外での話題というのは気が引けるが、やはりこの
Dokuta 松川良宏 @Colorless_Ideas

私がずいぶん前から『本格ミステリー・ワールド』が好きだった理由は明確に2つあって、1つ目は「東アジアのミステリ情報が載っているから」、2つ目は「詠坂雄二の近況が年1回読める唯一のムックだから」。そうか、詠坂先生の、ほぼゲームのことしか書いていなかったりする近況ももう読めないのか……。

2017-11-27 21:49:08
Dokuta 松川良宏 @Colorless_Ideas

というわけで、今年は『本格ミステリ・ベスト10』か『このミステリーがすごい!』が詠坂先生に「近況・予定」の執筆を依頼していないかなあと密かに期待していますが、今年は仮になくても、来年以降はぜひお願いいたします。

2017-11-27 21:52:28
  • 残念ながら、詠坂雄二先生の「近況・予定」は2017年12月刊の『本格ミステリ・ベスト10』にも『このミステリーがすごい!』にも載らず。来年以降に期待しております。
Dokuta 松川良宏 @Colorless_Ideas

長々と書いてしまいましたが、私が一番書きたかったのは、先に言及した『奇想天外 21世紀版 アンソロジー』の山口雅也先生の記事は仮に『本格ミステリー・ワールド』が存続していたらそちらに載っていそうな記事なので『本格ミステリー・ワールド』ファンは買ってね読んでね!ということです。

2017-11-27 22:14:19
Dokuta 松川良宏 @Colorless_Ideas

フランスではポール・アルテが一人気を吐いていると思っていたら、今度はドイツでもRob Reefというカーの影響を受けたミステリ作家が登場し(2010年デビュー)、さらにはアイルランド人作家のエイドリアン・マッキンティがカーやアルテ、島田荘司の作品について語る。面白い時代になったものだ。

2017-11-27 22:43:28

その1年後のツイート

Dokuta 松川良宏 @Colorless_Ideas

アルテも復活、華文ミステリも活況、『占星術殺人事件』の影響を公言するアイルランド人作家の邦訳もついに始まったし、我孫子先生の『8の殺人』英訳本も好評。今、 ・アルテの近況 ・台湾、中国、韓国の最新ミステリ事情 ・英語圏のHONKAKU事情 を知ることが出来るムック本があれば売れるのでは?

2018-12-01 19:40:01
Dokuta 松川良宏 @Colorless_Ideas

……そう、2年前まではあったんです。『本格ミステリー・ワールド』。

2018-12-01 19:40:41
まとめ 我孫子武丸『8の殺人』が米国『パブリッシャーズ・ウィークリー』誌で2018年ベスト・ミステリ12選の1冊に選出される 我孫子武丸先生の『8の殺人』英訳版(2018年5月刊)が、米国『パブリッシャーズ・ウィークリー』誌が毎年選出している「Best Books of 2018」のミステリ部門に選出されました。毎年10冊前後が選定されていて、今年は12冊が選ばれています。 ほかに選出されているのは、アンソニー・ホロヴィッツやフレデリック・フォーサイス、デレク・B・ミラー、ジョージ・ペレケーノス、リアーン・モリアーティ、リー・カーペンター、エリオット・パティスン、スジャータ・マッシーらの作品。 なお、3年前(2015年)には綾辻行人先生の『十角館の殺人』英訳版も選出されています。そのことについては「翻訳ミステリー大賞シンジケート」に寄稿したこちらの記事 http://honyakumystery.jp/1474414745 で.. 6252 pv 18 1 user 18

【2018年12月3日追記】
『本格ミステリー・ワールド』がずっと以前から種をまいてきたような事柄が、あるいは扱ってきた事柄が、2018年現在の日本や世界のミステリーシーンで、まさに花開きつつある。
それは華文ミステリの活況であり、アルテの復活であり、また、英訳された日本の新本格作品が好評をもって受けいられれていることもそれに当たるだろう。「アメリカ生まれの「HONKAKU」ミステリー」が売り文句の、ジョン・ヴァードン『数字を一つ思い浮かべろ』(文春文庫、2018年9月)の刊行も、関連する事項の1つに数えても良いかもしれない。仮に『本格ミステリー・ワールド』の刊行が続いていたら、ジョン・ヴァードンへのメールインタビューなどの企画もありえたのではないだろうか。

それを考えると、『本格ミステリー・ワールド』の休刊が2017年の春ごろ?というタイミングで決まってしまったことは本当に残念なことである。仮にもう少し辛抱していただき、2017年も刊行されていたら、先見の明を持ったムック本として、その後も刊行が続いていたのではないだろうか。あるいは来年(2019年)からでもいいので、復活を期待したいものである。