稲川淳二のつぶやき怪談　2017年11月30日投稿分

稲川淳二 @Junji_Inagawa

そこから、この家の敷地なんでしょう。 大きな木がちょうど建物の両脇に一つずつ、並んで生えている。 と、現地クルーの人が、言ったんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

「稲川さん、この木は、沖縄では珍しい木なんだ」 って。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

「たぶん、この家の人がね、趣味で植えたんじゃないか」 と、言うんだけれども、それは違う、と私は思ったんだ----。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

どう違うのかというと、その木、えらく大きいんだ----。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

何十年どころじゃない。 たぶん、百年やそこらいってるでしょうねえ----。 大きな、木なんだ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

だから、最初っからあったんですよ、絶対に。 そこに----。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

石垣を登って、１階へ行ってみた。 ドアがないんで、入れますから。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

と、窓は海側だけで、２階に上がる階段が、ないんですよ。 で、一度外へ出て、建物の左手へ回ってみた。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

急な坂を登ると目の前が、--------広ーい、庭なんだ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

もっとも夜のことで、 それに中がうっそうと雑草におおわれて、やたらと暗い。 夜はＵの字型に、土手で、三方を囲まれているんですよ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

完全に、外界から遮断されてるというのか。 見えないんですよ、鬱蒼と木があるし。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

「ここ、すごいなあ---」 と、思った。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

もう、その頃には、 「ああ、やっぱり、 あのお兄ちゃんが話してくれたとこと、同じとこだな」 と、確信したんですけどね----。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

庭の端に、手押しポンプの井戸あって、すぐそばに、石段がある。 幅がせいぜい、１メートルちょっとぐらい。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

それが途中でもって、もうないんです。 それ以上は、登っていけない。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

はて、これは、どこに続くんだろう-----。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

で、廃屋の方は、というと-----、 窓が意外に、モダンなつくりなんですよね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

建物そのものは、山側からだと平屋なんです。 廊下を突っ切って、入ったら、広い居間になっていて----------。 ここに、沖縄には珍しい---、大きな暖炉があるんですよ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

その時、ふっ-----と、 「ここ、絶対、病人がいたな」 と、思ったんですよね-----。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

つくりが、そんな感じなんですよ。 バリアフリーになってて、暖炉があってって、感じなんですよ----。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

大きな窓から、日光をたくさん入れたんだろうなって、 感じがするんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

でも、その窓は、 今はうっそうと伸びた木の枝で、ほとんど、日は差し込まない。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

そして、夜になれば、太い枝の間から月明かりで、 きらきら、きらきら、光る海面が見える。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

ちゃんと、しゃれた洗面台もありましたよ----。 浴槽も、ありましたね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

人が、生活していたことはわかるんですが、 でもなんとなく、妙な感じが、したんです。