稲川淳二のつぶやき怪談　2013年11月27日投稿分

稲川淳二 @Junji_Inagawa

北国の雪の便りも聞えて、冬が確実にやって来ましたね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

先週、遅～い夏休みをとらせていただいて、タイ国へ心霊探訪に、出掛けましてね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

心身ともにリフレッシュ、といきたいところが、３７℃の陽射しのもとで、歩き回って、躰中汗塗れで、へとへと。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

でも活気に溢れたこの国で、元気とやる気をもらいましたよ。 そんな訳で、冬のライブも、パワー全開で臨めそうです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

さて、お待たせしました。　それでは「つぶやき怪談」始めましょうか。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

冬の夜、暖かくして怖ーい噺で楽しんで下さい。どうぞ、お時間がありましたら、遊びに来て下さいね。ゆったりと、くつろいで、お付き合いいただければと思います。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

そえれでは、そろそろ始めましょうか。 稲川淳二の「つぶやき怪談」、怖・楽しい時間を、共有しましょう。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

何が起こっても、責任はとれませんけど。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

千葉県の南房総の海岸沿いに、コンクリートがむき出しになった四階建の廃屋があって。潮風にさらされて不気味なたたずまいを見せているんですがね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

恐らく、以前はリゾートホテルかなにかだったんでしょうが、いつごろ営業していたものか、定かではないんですよ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

この海岸は、最近は来る人も少ないんです。 そんな海に、たまたまやってきた五人の男子学生達が、この廃墟を見付けた。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

「何だ、随分気味が悪いな」 「でもなんだか、おもしろそうだよな」 「なあ、夜来てみようか」って話になった。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

その晩、食事も済んで、かれこれいい時刻になってきたので、五人が手に手に懐中電灯を持って浜にやってきた。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

遠くにポツンポツンと人家の明かりが見えるだけで、あたりには外灯も少ないもんですから、海岸はだいぶ暗いんですよね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

ザーッ、ザザー。・・ザザーッ、ザザー

稲川淳二 @Junji_Inagawa

昼間は、さほどに感じない潮騒が夜の静けさの中では、ことさらに大きく聞こえる。闇の中で、五人が砂を踏んで歩く音がしている。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

と、やがて深い藍色の夜空を背景にして、廃墟の黒い輪郭が迫って来た。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

近くに行くと、ガラスの抜け落ちた窓から、真っ暗な屋内が見えて、さすがに気味が悪い。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

廃墟は柵で囲まれていて、立入り禁止のパネルが貼られているんですが、あちこち壊れて、用をなしていない。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

どこからでもいいんですが、正面玄関にまわると、誰かが、

稲川淳二 @Junji_Inagawa

「こっから入れるぞ」って言ったんで、五人がそこから、入っていったわけだ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

懐中電灯で辺りを照らしながら、ロビーを、ずーっと奥の方へ行って、海に面した場所へ来ると。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

仮に彼らを、Ａ君、Ｂ君、Ｃ君、Ｄ君、Ｅ君としましょうか。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

どこもガラスは抜けていますから、海から風がすーっと入ってくる、 座るとだれかが、「なあ、明かり消してみようか」と言ったんで、

稲川淳二 @Junji_Inagawa

「面白そうだな」と皆が懐中電灯を消すと、とたんに真っ暗闇になった。隣の顔も見えない。何だかゾクゾクしてきた。