さて、すると例えば、今度は4つの射 f: a→b, g: b→c, h: c→d , k: d→e が与えられたときに、例えば「 ((k・h)・g)・f ~ k・(h・(g・f)) なのか?」という疑問が生まれますが、この同型は成り立ちます。
2018-01-01 02:24:15何故かというと、まず(k・h), g, fの3つ組だと思ってまず「結合律」を使えば((k・h)・g)・f ~ (k・h)・(g・f) となって、こいつにk, h, (g・f)の3つ組だと思って「結合律」を使えば (k・h)・(g・f) ~ k・(h・(g・f)) となるからです
2018-01-01 02:26:18ところが実は、別の示し方もあります。最初にk, h, gの3つ組に「結合律」を使って ((k・h)・g)・f ~ (k・(h・g))・f ~ k・((h・g)・f) ~ k・(h・(g・f)) とする方法です。
2018-01-01 02:28:14つまり、今、((k・h)・g)・f と k・(h・(g・f)) の間の同型を具体的に作って証明しましたが、そのような同型は複数あるという事です。
2018-01-01 02:29:14図式にするとこんな感じで、右回りと左回り、二つの「同型」があることが分かりました。 pic.twitter.com/KsBfwJodB6
2018-01-01 02:31:08これが可換であれば、二つの同型は最初から同じだったという事なので何も問題ないのですが、今まで述べてきたbicategoryの条件からはこの可換性は示せません。そこで、この可換性をbicategoryに入れます。(これが最初の方で言った「+α」の条件)
2018-01-01 02:32:35付け加えるのはいいんですが、こういう状況はいくらでも起きえます。(例えば射を5個合成する場合、6個合成する場合、……)そこで、こういう図式の場合は常に可換性が成り立つ、という条件を入れたいです。
2018-01-01 02:35:29ただ、実は、「2つ」の条件を仮定すれば、残りの場合は全て証明できるという事が知られていて、通常のbicategoryの定義ではその「2つ」が仮定されます。
2018-01-01 02:37:16その2つは次の二つの(自然変換の)等号で書かれます。(ここでスペースの都合からHom(b, c)×Hom(a, b) を Hom^2 などのように書きました) pic.twitter.com/kgdQI4I7cY
2018-01-01 02:44:47以上がstrict 2-categoryとbicategoryの定義です。(正確な定義は2_category.pdfを読むと書いてあります)
2018-01-01 02:46:38ですが、実は次の定理が成り立ちます。 【定理】任意のbicategory Bに対して,strict 2-category Cが存在して、B~Cである(ここで~で「biequivalence」を表した。「biequivalence」は「圏同値」のbicategoryバージョンです。strict 2-categoryは明らかにbicategoryであることに注意)
2018-01-01 02:48:23なので、「biequivalenceなものは同じ」と考える立場をとるのであれば、bicategoryは最初からstrict 2-categoryだと思ってよいという事です。
2018-01-01 02:49:19さて、今、圏(=1-category)から2-category(とそれを弱くしたbicategory)へと行きましたが、更に進むと3-category(とそれを弱くしたtricategory)になります。(さらに進むと4-categoryとtetracategoryになります)
2018-01-01 02:51:53strict 3-categoryというのはHomがstrict 2-categoryになっていて更に他の条件も適切な修正が入っているものです。
2018-01-01 02:53:32tricategory (weak 3-category)はHomがbicategoryになっていて、bicategoryと同じように「同型を除いた可換性」が成り立つものですが、特に先程の↓が等号から同型に弱まっています pic.twitter.com/Ie0icrfw4J
2018-01-01 02:55:22