五月九日、喫茶Black boardにて《ふぇいぎみ＆否人＆こくばんタイアップ》

よつげ @Eight_os

１ その日、『喫茶Black board』には貸切の札がかかっていた。 何故かというと 日付、五月九日。 そう。 「てんちょー！ お誕生日おめでとうございます！」 「…おめでとうです」 「ほんまお前ら調子ええな笑」 横山店長の誕生日である。 #エイトで妄想

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２ 『葉瑠ちゃんが来てから初めての誕生日！盛大にお祝いしたいねん！』ということで 章大と亜衣が《横山店長お祝い大作戦》と称して店を貸し切ったのである。 もちろん貸し切りにはそれなりに金もかかる。 横山の『身内でも金は取るで』発言があり、作戦は無理かと思われたが…。 #エイトで妄想

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３ 思わぬ救世主が現れたのだ。 ｶﾗﾝｶﾗﾝ 「…お誕生日おめでとうございまーす」 「亜衣！ケーキ買ってきたよ！」 「琴姉ありがと」 そう。亜衣の従姉妹、琴葉。 …正確にはその彼氏の忠義である。 彼の資金援助と美味しいケーキの調達でこの作戦は晴れて決行出来たのだ。 #エイトで妄想

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４ 「えーと、誰か知らんけどありがとうございますー」 「よこちょ、亜衣の従姉妹さん」 「と、彼氏」 ええとこの社長を捕まえた従姉妹のことは密かに亜衣の自慢である。← 「ええ店ですねぇ 資金援助するし、もっと展開しません？」 「そんな抱えられませんわ笑」 #エイトで妄想

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５ 横山と大倉が仕事の話を始める中、一人黙ってもぞもぞとする人影。 やがてその人物は思い切ったように。 「侯隆くん…おめでと」 と、会話の隙間に声を掛けた。 「お…ありがと」 そう言って顔を赤らめ照れ笑いの横山。 同じく赤くなる彼女。 無論、葉瑠である。 #エイトで妄想

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６ 章大と亜衣、それに琴葉と忠義は二人をを優しい笑み（ニヤけともちう）で見た後 「ほんならー、乾杯しよ！」 「ちょ、何で大倉さんが言うんすか笑」 忠義と章大の会話を合図にしてテーブルに集う。 「それでは、よこちょがまた一つ大人になったということでー、乾杯！」 #エイトで妄想

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７ 『かんぱーい！』 ━━さて、ここで一つ補足しておこう。 実はこの作戦にはもう一つ、秘密裏の作戦を含んでいる。 『葉瑠ちゃんとよこちょを恋人に作戦』だ。 この店を貸し切りにしたのは他の客に迷惑をかけるからというのもあるが その作戦の為でもある。 #エイトで妄想

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８ 誕生会が恙無く進む中、４人は目を見合わせ小さく頷く。 ━━作戦、決行セヨ。 「横山さーん」 まず切り出したのは大倉。 琴葉の肩を抱き、席を立つ。 「俺この後仕事あんねん、やから戻りますー」 「え、それでどうして私も一緒なわけ？」 「琴葉ここに置いてけへんやん」 #エイトで妄想

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９ そして大倉は最後の圧をかけた。 「横山さん、今フリーっぽいし」 ちらっと横山を見る。 横山はその言葉に反応してこちらもちらっと葉瑠を見たところだった。 葉瑠も横山を見ている。 二人の目線が交錯している。 （４人:熱いなぁ……） 「ほんなら、あと楽しんでー」 #エイトで妄想

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１０ 《ふぇいぎみタイアップ》 店を出た後。 「…やるじゃん忠義笑」 「やるやろ笑」 私たちは顔を見合わせて悪ーく笑っていた。 というのも、章大くんのオーダーは 『何か理由つけて先に店出てください』 のみ。 圧はこいつ、忠義が勝手にかけた。 あー、スカッとした。 #エイトで妄想

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１１ 「忠義あんなのよく思いついたね」 彼と付き合うようになって一番変わったことは 素直に彼を褒めるようになったことだ。 どうやったって色んな意味で彼には敵わないから。← 「……あー、まあ」 「え、何」 前言撤回。 せっかく褒めてやったのに。 #エイトで妄想

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１２ 「……ほんま鈍いわ」 そう言って私に向き直り頬を両手でぎゅーっと押し潰す忠義（※歩道のど真ん中）。 「ひょ、なにふんの！」 言えないし 恥ずかしいし でもちょっと嬉しくて 顔たぶん真っ赤だし（焦）。 「本心ちゃうかったらそんなこと言わへんよ？」 #エイトで妄想

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１３ ……え。 あ ああ…なるほど… え？ 「本心なの？」 「俺そんな気利く嘘つけへん」 …ほんとかよ、気の利かない嘘ならめちゃくちゃついてるくせに。← でも 私はその嘘つき野郎に ━━思いっ切り抱きつく。 「ここ道のど真ん中やって笑」 「今更か！笑」 #エイトで妄想

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１４ こいつの言葉が本当かどうかなんて知ったこっちゃない。知らなくていい。 私は、私の信じたいものを信じる。 そして、私が信じたいのは この人だから。 「…さーて、そろそろ離れてくれへんかな？」 え いい感じに浸ってたんだけど。← 「この後予定あるし」 #エイトで妄想

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１５ はて。 予定…？ 仕事っていうのは嘘だったし 今日は特に何しようとか言われてない気が… 「指輪買い行きたいから」 あ、指輪…指輪？ 「私と？」 「他誰がおんの笑」 そして 私の顔は真っ赤になった。 「は！？や、え、それって、プロポーズ…的な？」 「ちゃうよ」 は？ #エイトで妄想

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１６ 一気に気分冷やされたんですけど。 「プロポーズはまた、ちゃんとしたいから 今日は琴葉の指のサイズと、デザインの好み知るために…な？」 …あぁもう。 この人は本当に私の扱いが上手い。 あっという間に手の平ころころ。 「……今言うことちゃうけど、」 #エイトで妄想

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１７ 「俺は琴葉のこと幸せにしたい…というか。 一緒に幸せになりたいって思ってるよ ずっと。」 忠義がこうして真っ直ぐに思いを伝えてくれるなんて珍しい。 …何だろ、無性に彼に触れたい。 その思いが通じたのかなんなのか、彼が私の手を握る。 #エイトで妄想

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１８ 「じゃ、行こか 指輪選び。 …からの、デート」 あ。 してやられた……！！ 最近インドアだったから。 嬉しい後悔に身悶えつつ、私は彼の手を握り返す。 ━━今夜の覚悟をしながら。 pic.twitter.com/ZkmVKzrEyV

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１９ 《喫茶Black boardにて》 あの後 『しゃーなし、４人でやってよ』という横山の一言で４人はその後も盛り上がっていた。 イベント事は意外に好きな横山である。 「さてと…俺ビール飲みたい…」 流石に皆（亜衣を除く）、ジュースに飽きる頃だと踏んだ章大は冷蔵庫へ向かう。 #エイトで妄想

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２０ 「……あれ、ないやん」 冷蔵庫の中にビールが一本もない。 それもそのはず。 全て、大倉宅に預けてしまったのだ。 「よこちょー、俺ビール買ってくるー」 「おん」 もちろん亜衣も同時に席を立ち、章大の服の裾を掴んだ。 それを見て微笑んだ章大。 「一緒に行こか」 #エイトで妄想

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２１ 《否人タイアップ》 と、いう訳で、俺らはよこちょの店を後にした。 店を出た瞬間 「…緊張した」 亜衣がぼそっと呟く。 頭を軽く抱き寄せれば嬉しそうに笑った。 「んじゃ、そろそろ行こか！」 そう促すと亜衣はコクンと頷いた。 俺たちはもう夜まで店には戻らない。 #エイトで妄想

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２２ 亜衣のお家に何度か遊びに行くうちにすっかり亜衣のオカンと仲良くなった俺は 『はい、これで亜衣のこと喜ばせてあげてね♪』 と日帰り温泉旅行のペアチケットをくれたのだ。 （デートで温泉旅行とか…） 大人の階段上った気分や。← #エイトで妄想

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２３ 温泉までは電車で小１時間。 なので… 「…ふふ」 亜衣はうとうとして俺の肩に頭を乗っけている。 「ん…んあ、ごめんね」 一旦起きてそう言って背筋をしゃんとさせた亜衣やけど ……すぐにその頭はまた俺の肩に戻ってきた。 （ほんま、可愛いやっちゃなぁ笑） #エイトで妄想

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２４ まだうとうとしている亜衣を引っ張って電車を降りる。 景色めっちゃ綺麗。 と思ったら 「きれー…」 亜衣が同じことを言っていた。 「目ぇ覚めた？」 「さめた笑」 よしよし。← せっかくなのでそのまま旅館に直行。 ご飯と温泉のセットやから、 #エイトで妄想

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２５ こんなこともあろうかと二人とも誕生会では食べるの控えとってん。 そりゃあやって、 美味しいケーキも捨て難いけど それよりも 「来たー！しゃぶしゃぶー！」 「…しょたさん声大きい笑」 肉ー！！ しかも高いやつ！！ これは絶対美味い。 #エイトで妄想