『現代思想』2018年1月号と『ゲンロン7』のあいだをつなぐ

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仲山ひふみ Hifumi NAKAYAMA @sensualempire

自身のSR理解を擁護するための反論というかたちではなく、むしろSR/OOOの可能性の中心を剔抉するための新たなアーギュメントを提示するためにこそ行いたいと考えているわけだ。『有限性の後で』以降の理論的地平を真に切り開くような思想的視点を見つけだすこと。今年はこの課題に全精力を投入する。

2018-01-07 16:38:15
仲山ひふみ Hifumi NAKAYAMA @sensualempire

いずれにせよ『現代思想』2018年1月号はSR/OOOに「再入門」し、その先へと向かうための最良の出発点となるようなテクストがよく揃っている。概論としては千葉雅也「ラディカルな有限性」があり、グレアム・ハーマン「オブジェクトへの道」(飯盛元章訳)でOOOの概要を知ることができる。→

2018-01-07 16:47:52
仲山ひふみ Hifumi NAKAYAMA @sensualempire

→他にも星野太「暗い生――メイヤスー、ブラシエ、サッカー」ではSRの「ダークな」側面を、サッカーの「生」の議論の内実を明らかにする文脈において論者ごとに整理しており有益。ブラシエにおいて、「事後性(絶滅)」の論理の非クロノロジカルな構造こそが重要であることを指摘している点など特に。→

2018-01-07 16:58:15
仲山ひふみ Hifumi NAKAYAMA @sensualempire

→マルクス・ガブリエルの翻訳はまだ読めていないが、SRとドイツ観念論の関係について絡め手から問うたり、分析哲学や自然科学との関わりにおける実在論のステータスを知るうえで好適のようだから、SR/OOO「再入門」の文脈で読まれてしかるべきテクストだと推測される。

2018-01-07 17:06:57


---------------【関連して少し前のログ】---------------

仲山ひふみ Hifumi NAKAYAMA @sensualempire

エアリプ。構造主義再評価の必要性は僕も感じている。20世紀前半の自然科学における相対性理論や量子力学の登場、数学におけるブルバキ主義につながる流れなど、実体主義から関係主義へという知の大転換が人文学では構造主義として現れた。今日、関係主義の徹底から新しい展望が開かれる可能性はある。

2017-12-29 02:03:30
仲山ひふみ Hifumi NAKAYAMA @sensualempire

関係主義の徹底によって私たちが慣れ親しんでいる通常の関係概念に包摂されない個体やオブジェクトの新しいクラスや、新しい存在論的核(存在者の存在、出来事の特異性、等々)のようなものがファシズム的ないしロマン主義的暴力の布置から切り離されて扱われる可能性も出てくるかもしれない。

2017-12-29 02:07:20
仲山ひふみ Hifumi NAKAYAMA @sensualempire

多少アドホックな例であることを承知で言えば、バディウによる公理論的集合論や圏論への注目はそういうことへの目配せが働いているものと思われるし、デューリングがアインシュタインにまで遡るのもそういうことだろう。カント的ア・プリオリ性(メイヤスー風に言えば「不変項」)への攻撃。しかし。

2017-12-29 02:11:01
仲山ひふみ Hifumi NAKAYAMA @sensualempire

現状では構造主義的思考のアップデート(それすなわちハイパー関係主義の「創設」(このように言うのは歴史的に前例がないほどに関係主義的とならなければこの種の試みには意味がないからだが)である)は明確な成功を収めていないように見える。結局、理系/文系分断がボトルネックでは、と疑われる。

2017-12-29 02:20:22
仲山ひふみ Hifumi NAKAYAMA @sensualempire

ところでゼロ年代思想前半の仕事には構造主義の発想が多分にあったし、アーキテクチャ論も身体論であり生権力論であると同時に構造主義的分析特有の実存面でのデタッチメント(反サルトル的立場の遠い反響?)を含意するものであった。そういう知性のあり方も、いまとなっては懐かしく…

2017-12-29 02:25:09
仲山ひふみ Hifumi NAKAYAMA @sensualempire

千葉さんの「もう一度否定神学を」の企図に絡めて言うならば、思うにハイパー関係主義の成功の試金石となりうるのは、「東アジアにおいて否定神学は可能か」という問いに対しありがちな歴史主義的答えとは異なる思弁的答えを与える方向性ではないか。フランソワ・ジュリアンやホイ・ユクの路線。

2017-12-29 02:32:40
仲山ひふみ Hifumi NAKAYAMA @sensualempire

『ラディカル無神論』でヘグルンドはデリダの差延や代補(に代表される諸々の概念/語)に生の運動を、さらにその生の運動のなかに死の胚種を読み込んだと僕は理解しているのだが、この論点はブラシエ『ニヒル・アンバウンド』の啓蒙(死の擬態)論やトラウマ(絶滅の真理)論にも深く通ずると思う。

2017-12-29 02:37:56
仲山ひふみ Hifumi NAKAYAMA @sensualempire

話を戻すと、ホイ・ユク(許煜)はシモンドンやルロワ=グーランだけでなく、デスコラやヴィヴェイロス・デ・カストロなどの人類学系もフォローしつつ理論構築を進めようとしており(これは僕には時間と意欲の都合上できないことだが)、ある種の非ヨーロッパ的超越論性の議論への飛躍も期待させる。

2017-12-29 02:46:30
仲山ひふみ Hifumi NAKAYAMA @sensualempire

非ヨーロッパ的超越論性、あるいは可能世界において展開される他なる奇妙な哲学の歴史、おそらくは準‐哲学素と呼ばれるべきものによって表現される諸問題のシステムをどうやって捉え記述するか、潜在的ですらないものを――というのは文化人類学の課題でもあるだろう。だから一周してつながりはする。

2017-12-29 02:56:44