『現代思想』2018年1月号と『ゲンロン7』のあいだをつなぐ

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---------------『ゲンロン7』での寄稿---------------

仲山ひふみ Hifumi NAKAYAMA @sensualempire

そろそろ情報が出てき始めていますが、新刊『ゲンロン7』に僕が翻訳させていただいた許煜(ホイ・ユク、Yuk Hui)『中国における技術への問い』序論が掲載されます。分割掲載のため次号と次々号に続きます。ユクのこの論考、本当に刺激的かつ本格的なので、みなさんぜひ買って読んでみてください。 twitter.com/genroninfo/sta…

2017-12-15 23:26:28
ゲンロン【友の会総会 アーカイブ配信中!】 @genroninfo

『ゲンロン7』の見本誌が届きました! 特集「ロシア現代思想II」、小特集「哲学の再起動」。長大なポストソ連思想史年表つき! 友の会会員の皆様、直販サイトからご購入いただいた方には、12/20に発送いたします! 東浩紀サイン本ご予約受付中です!genron.co.jp/shop/products/… pic.twitter.com/rMGVkMNTNd

2017-12-15 16:24:36


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仲山ひふみ Hifumi NAKAYAMA @sensualempire

そろそろ書店にも並び始めている『ゲンロン7』の小特集「哲学の再起動」に許煜『中国における技術への問い』序論(1/3)の拙訳が掲載されています。そのなかで批判的に取り上げられている「プロメテウス主義」(加速主義)は、同じく現在発売中の『現代思想』2018年1月号に翻訳が載っている→

2018-01-07 14:15:48
仲山ひふみ Hifumi NAKAYAMA @sensualempire

N・スルニチェク+A・ウィリアムズ「加速葉政治宣言」(渡邊雄介、水島一憲訳)を嚆矢とする哲学的政治運動のことを指しています。他にもD・ゴリンコーヴォルフソン「閉ざされたアクセスのポエジー」(乗松亨平訳)はオブジェクト指向存在論のロシア現代思想における受容を扱っていたりして→

2018-01-07 14:21:27
仲山ひふみ Hifumi NAKAYAMA @sensualempire

ロシア現代思想を特集した『ゲンロン6』『ゲンロン7』と並べて読むとより面白く読めるのではないかと思います。拙訳となる許煜(ホイ・ユク)の論考でも、「技術」が自然科学などと同様に、時期と場所を問わず普遍的に生成してくるものと考えられがちなことに対し、特異的で複数的な「技芸」の歴史を

2018-01-07 14:26:54
仲山ひふみ Hifumi NAKAYAMA @sensualempire

特異的で複数的な「技芸」の歴史を開こうとしており、ハイデガーによる「ゲシュテル(としての技術)=存在忘却の歴史としての西洋形而上学の完成」という定式化への批判的応答という側面ももっています。これは思弁的実在論における存在論(超越論性)の複数化の戦略とも重なる部分があり→

2018-01-07 14:33:39
仲山ひふみ Hifumi NAKAYAMA @sensualempire

たとえば千葉雅也「ラディカルな有限性」(前出『現代思想』新年号掲載)で取り上げられたSR的外部のさまざまな言い換え、特にメイヤスー自身に由来する「レトロ超越論的」なものというアイデアとの関連性も強いと言えるでしょう。そしてこの種のSR以降の問題設定は、『ゲンロン7』巻頭に掲載された→

2018-01-07 14:39:34
仲山ひふみ Hifumi NAKAYAMA @sensualempire

→『ゲンロン7』巻頭に掲載された國分功一郎+千葉雅也+東浩紀「接続、切断、誤配」(鼎談)にも「ポストモダン以後における政治の概念の再定義の失敗」というかたちでこだまを響かせていると読めます。そのあたりの問題意識から『ゲンロン6』のアレクサンドル・ドゥーギンの論考を再読し、今度は→

2018-01-07 14:46:28
仲山ひふみ Hifumi NAKAYAMA @sensualempire

→今度はまた「加速派政治宣言」や、同じく『現代思想』新年号掲載のラボリア・クーボニクス「ゼノフェミズム」(藤原あゆみ訳)を読むのもいいでしょう。ゼノフェミニズム(以下、XF)はプロメテウス主義(加速主義)と並ぶSR以降の政治思想形態ということで比較的マイナーながらも重要な存在です。

2018-01-07 14:50:45
仲山ひふみ Hifumi NAKAYAMA @sensualempire

XFであれ加速主義であれその背後には非常にSF的で、テック系の議論とも親和性の高い新しい政治的想像力があり、それは『ゲンロン7』小特集「哲学の再起動」に一見哲学と無関係な「サイバーパンク」座談会が載っている理由とも潜在的に浅からぬ関わりをもつことでしょう。

2018-01-07 14:58:20
仲山ひふみ Hifumi NAKAYAMA @sensualempire

ゼノフェミニズム(XF)や加速主義/プロメテウス主義(Acc/Pr)が「合理主義」や「抽象化の力」という旗印のもとで、ローカルなものの固有性にもとづく戦略を批判しているのは、まさに思弁的実在論(SR)/ポストモダン(PM)の切断という大きな問題に関わるポイントで、その意味では『現代思想』→

2018-01-07 15:02:05
仲山ひふみ Hifumi NAKAYAMA @sensualempire

→その意味では『現代思想』2018年1月号に載った諸論考の立場(おおむねSRおよびSR以降の立場)と、『ゲンロン』の直近数巻が示す立場を同一視することには慎重であらねばならないとはいえ、リンクさせつつ読むためのフックは軽く挙げてみただけでもこれぐらいはあるわけです。なので要するに僕が→

2018-01-07 15:04:42
仲山ひふみ Hifumi NAKAYAMA @sensualempire

要するに僕が言いたいのは『ゲンロン7』と『現代思想』2018年1月号は〈両方〉買って、〈両方〉読みましょうということです。具体的で現実的な政治と抽象的で思弁的な哲学の関係を考えるうえでも、グローバル/ローカルや、普遍/特異などの対立について考えるうえでもヒントはたくさんあるはず。

2018-01-07 15:10:56
仲山ひふみ Hifumi NAKAYAMA @sensualempire

以上の連ツイを思い立った背景には『現代思想』での乗松亨平の訳者解題からアルテミー・マグーン(彼の論考は『ゲンロン6』に訳出されている)が主宰する思想誌『スタシス』にレイ・ブラシエの論考(stasisjournal.net/all-volumes/vo…およびhttps://t.co/0PQxbIAN2w)が掲載されているのを知ったことがある。

2018-01-07 15:20:18
仲山ひふみ Hifumi NAKAYAMA @sensualempire

ブラシエの論考の存在自体は知っていたけれど、それが掲載されていた『スタシス Stasis』の主催者がマグーンだとは知らなかった。どちらもバディウ以降の哲学的左派政治学を考えているという意味でつながるのは当然といえば当然なのだが、こういうことに気づくと一気に思想解釈の視界が広がる。

2018-01-07 15:26:30
仲山ひふみ Hifumi NAKAYAMA @sensualempire

それから忘れてはならないのが、またしても拙訳の許煜『中国における技術への問い』の内容に絡むことですが、京都学派の思想をどう評価するかとかフィリップ・デスコラやエドゥアルド・ヴィヴェイロス・デ・カストロなど人類学の存在論的転回への応答の仕方とかですね。中沢新一や清水高志の系譜。→

2018-01-07 15:40:28
仲山ひふみ Hifumi NAKAYAMA @sensualempire

さんざっぱら、「僕は時間の都合上そちらには深くコミットしない」と言ってきた人類学の存在論的転回(the Ontological Turn in Anthropology: OTA)ですが、「未生の思想のフロンティアを探るためリンクさせつつ読む」という態度を徹底させるならこちらもフォローしていかねばならぬのは当然。→

2018-01-07 15:43:31
仲山ひふみ Hifumi NAKAYAMA @sensualempire

→というわけで『現代思想』が最近行った二つの人類学特集(2016年3月増刊号および2017年3月増刊号)、さらに「特集:人新世」の2017年12月号さらに岩波書店『思想』2017年12月号のヴィヴェイロス(EdC)特集などもバックナンバーで集めるのがベストでしょう。

2018-01-07 15:47:53


-----------もうちょっとだけ続くんじゃ-------------------

仲山ひふみ Hifumi NAKAYAMA @sensualempire

「リンクさせつつ読む」という観点から挙げなきゃいけないトピックとして他には何があるだろうか。SR(OOO)と自然科学、それから分析哲学的方法論との関係といったあたりだろうか。ブラシエの訳者としては特に考えていかなければならないポイントだ。うむ、宿題が多い。多すぎるほどだ。

2018-01-07 16:10:59
仲山ひふみ Hifumi NAKAYAMA @sensualempire

なお先に言及した千葉雅也「ラディカルな有限性」では僕がかつてあるブログ記事で示したホラー主義的なSR解釈――「外部の外部の無限性」を鍵としたSR解釈――への批判的言及がなされています。この点に関しては、いずれきちんとした応答を試みたいと思います。ただし反論というかたちではなく、です。→

2018-01-07 16:23:54
仲山ひふみ Hifumi NAKAYAMA @sensualempire

→というのも、ホラーとSR/OOOの関係性について僕自身考えが変わってきていることもあるが、視野を広げてみた場合、議論の賭金、焦点はすでにSR/OOOの「正しい理解、正しい解釈」ではなくなってきているように思われるからだ。英語圏の論文その他を追っていても、メイヤスーが『有限性の後で』で→

2018-01-07 16:27:30
仲山ひふみ Hifumi NAKAYAMA @sensualempire

『有限性の後で』で提示したアーギュメントを完全にノックダウンするようなものは出てきていないし(マラブー『明日の前で』におけるメイヤスー批判も前出千葉論文で「ポイントを外している」と評されている)、その意味では理論的な面での進展はこの12年間ほとんどなかったのではと思われるほどだ。→

2018-01-07 16:29:54
仲山ひふみ Hifumi NAKAYAMA @sensualempire

→『有限性の後で』以降さまざまな理論的プロジェクトが提案されペーパーが発表されレクチャーが行われたが、「明示的な更新」らしきものはなかった、というのは、幻滅すべき事実というより、むしろチャンスであると僕は捉える。ゆえに千葉論文への応答も、自身のSR理解を擁護するための反論という→

2018-01-07 16:32:41