MMTと主流派経済学の違いは「掛け算の順序問題」に近似できるか?

近似できないと思います。(単刀直入)
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Masataka Eguchi @maseguchi

MMTの議論などを見てて、世の中にはモデルをモデルのまま、数学を数学のまま受け入れられる人とそうでない人がいて、それが小学校における掛け算の順序問題に繋がっているのではないかと思った。「主流派経済学者は8×6と言っているが、これは非現実的で、実際は6×8である」みたいな批判が多い。

2018-01-08 06:14:05
Masataka Eguchi @maseguchi

主流派経済学者はなんだかんだで数学に強い人達なので、解が変わらなければ8×6でも6×8でもどっちでもいいじゃんと考えがちなのだが、式の意味について現実的・具体的なイメージが湧かないと先に進めない人はそうした順序が気になってしまい拒否反応を起こしてしまうのではないだろうか。

2018-01-08 06:15:58
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

実際にMMTと修正NKの悪魔合体を試みてる当方としても、この江口先生の批判はどうもしっくり来ない。 「主流派の枠組みが現実から乖離していても、同じ結果が得られれば問題ない」という趣旨なのだろうが、現実には提案内容や分析内容は著しく異なっているように見える。 pic.twitter.com/eaQsPk47kQ

2018-01-08 06:45:46
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望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

第一、モデリングと掛け算順序の話は本質的に違う話な気がしてならない。 モデリングは、それなりのメカニズム想定があって組まれるわけで、単純な算術(の順序)とは次元の異なるもののはずだ。

2018-01-08 06:49:27
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

もちろん、分析の簡易化のためにモデリングを『工夫』することもあり得るが、それが分析を歪める危険性については謙虚でなければならないはずではないか。

2018-01-08 06:49:31
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

例えば『少なくない経済学者たちが、総需要危機に際して中央銀行に一斉に視点を集中してしまった』という失敗の大きな原因は、「中央銀行がマネーをコントロールしている」という主流派経済学の誤った前提が、経済学者たちに広まっていたからだ、というところも見逃せないはず。

2018-01-08 07:15:06
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

他にも、「中央銀行の恒久的買いオペ」(いわゆるヘリコプターマネーの一部分)という大した追加的意味のない政策が注目を集めてしまうのは、国債の性質(金融調節手段に過ぎない)と準備預金の役割への正常な理解が出来ない主流派の枠組みが原因ではないだろうか。

2018-01-08 07:30:32
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

あと、「国債残高が個人金融資産残高を上回ったら破綻」という噴飯ものの論説を噛ましていた経済学者たちも居ましたね。しかも財政学者でさえも便乗していた。こういうのも、主流派経済学全般における現実の金融財政システムへの無理解が原因だと言って良いはずです。

2018-01-08 12:36:49
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

そういえば、齊藤誠なども「貨幣は純資産なのかどうか…」などという無意味な議論に頭を悩ませてましたね。 MMTから言えば、「貨幣に限らず、いかなる金融資産も、マクロでは純資産にならないということが明らかだ(Stock-Flow Consistent)」という具合に、瞬く間に蹴りのつく話なんですね。

2018-01-08 16:51:26
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

togetter.com/li/1134565でも解説したことになりますが、貨幣を外生的に扱うことそれ自体、マクロ経済学内部で、モデリングを歪めたり、誤った立論を助長したりしてますよね。 例えば皆必死こいて「マネーサプライの追加がなぜ効かないか」のモデリングをしてますが、そもそもMSは増えてないわけで、

2018-01-15 10:53:40
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

そのことがわかっていないから「貨幣の限界効用が0にならないモデル」なんかを作らなきゃいけなくなったりしている。まあ、togetter.com/li/1134565でも述べたように、金融政策影響を完全に金利に還元するようなオールドなタイプのケインジアン仕草は、そうした罠を回避できるんですが。

2018-01-15 10:53:57
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

だから、金融政策を金利に還元するのを回避するような思索を始めると、途端に立論が斜めに逸れていってしまう。典型的なのはマーケット・マネタリズムで、「通貨量をコントロールできるのに中央銀行が通貨価値=物価に影響を与えられないわけがない」と考えるわけですが、

2018-01-15 10:54:12
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

そもそも中央銀行がMSにアクセスできないという現実に向き合えていないわけで、立論が初っ端から躓いてしまっているのです。これは、中央銀行が将来のマネーサプライを設定してインフレ誘導できると考えていた初期クルーグマンetcも同罪。

2018-01-15 10:54:20
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

togetter.com/li/1187850にまとめたように、主流派マクロ経済学の貨幣観(金融観)パラダイムは、ここまで多岐にわたる数多くの誤謬・失敗を生み出し続けてきたわけで、そうであるなら、「貨幣外生説滅ぶべし、慈悲は無い」と喧伝することの価値は、極めて大きいと言わざるを得ないはずです。

2018-01-15 10:56:18