フォビドゥンフォレスト6話「フォビドゥンフレイム」#3「ウォーロック」

カクヨム版:https://kakuyomu.jp/works/1177354054884869599 実況・感想タグ: #禁森感想 全話+まとめのまとめ http://togetter.com/li/1059871 続きを読む
0
フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

「フォビドゥンフォレスト6話「フォビドゥンフレイム」#2 「墜落する奇跡」」をトゥギャりました。 togetter.com/li/1186792

2018-01-05 00:48:41
フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

フォビドゥンフォレスト - カクヨム kakuyomu.jp/works/11773540… リライト版の投稿を開始しました。ストーリーの大きな流れはツイッター版と同じですが、誤字の修正や描写の変更などがあります。

2018-01-07 22:37:49
フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

(前回のあらすじ:ついに瑠梨が「鳥姫の巫女」としての力を使っちまった。その圧倒的な力で妖怪たちを蹴散らした瑠梨だったが、最後の敵を倒すと同時に力を失って上空から墜落してきた。俺は久浦の協力を得て瑠梨を受け止めることに成功したが、瑠梨は……!)

2018-01-07 23:44:17
フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

フォビドゥンフォレスト6話「フォビドゥンフレイム」 #3「ウォーロック」

2018-01-07 23:46:06
フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

「それは……本当なんすか?先輩……」 「はい。今朝の……いえ、一連の事件の黒幕はウォーロックの犯行です」 佐祐里先輩がはっきりと告げた。ウォーロックってのは魔法犯罪者のことだ。表の世界で言うテロリストみてぇなもんだ。つまりそれは……。 「敵は、人間ということです」 1

2018-01-07 23:51:32
フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

―俺の火傷は夕方までには回復した。瑠梨を受け止める瞬間、体の表面に残った全魔力を集中させたお陰で表面が焦げた程度で済んだらしい。医療班には怒られちまったけどな。今は夜。僚勇会で夕食を取った後、ラッタや恵里たち隊の仲間と一緒に訓練室の一つを借りて今回の件の説明を受けていた。 2

2018-01-07 23:54:31
フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

砦敷設のほうは予定通りに行われた。瑠梨が大岩を取り除いた上に、久浦や佐祐里先輩たちの活躍で資材と基礎の両方がほぼ無傷だったお陰だ。コレを無駄にする手はねぇ。何より……瑠梨があんなになってまで戦ったんだ。せめて砦くらい建てなきゃ割に合わねぇ。これでも足らねぇくらいだ。 3

2018-01-07 23:58:32
フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

作業人員も何とか足りたらしい。砲撃を警戒して隊員の半数近くを屋内に待機させておいたお陰だ。瑠梨の祓いで屋外の瘴気濃度が下がっていたのも良かったそうだ。これはつまり動きにくい防護服を着ずに済むメンツが増えたってことだからな。今はもう砦の護衛として十数名を残して、他は撤収済みだ。 4

2018-01-08 00:07:07
フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

万一、昨夜と同規模の襲撃が来やがっても今度は砦がある。防御結界も迎撃システムも山小屋や櫓とは比べ物にならねぇ。流石にオトロシクラスを倒し切るのは難しいだろうが、本部の援軍が来るまで持ち堪えられる程度は余裕だ。逆にその程度が出来なきゃ砦とはとても呼べねぇ。 5

2018-01-08 00:15:38
フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

それと被害状況だ。まず負傷者が二十人ほど出ちまった。特に磐兄の怪我は命に関わるところを何とか朝までには持ち直した。全治一ヶ月は掛かるって話だ。魔術抜きならその数倍は掛かった筈だ。助かったのは良かったが、ここまでやられたのはあの時以来だな。滅多にあることじゃねぇ。 6

2018-01-08 00:23:37
フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

朝に雪原を撮った写真を見せて貰ったが、クレーターだらけの惨状を見ると死人が出なかったのが奇跡としか思えねぇ程だ。実際は軌道を予測した本部や岩を撃ち落とした迎撃班…ともかく俺も含めた全員の奮闘で掴み取った奇跡な訳だが、とても素直には誇れねぇ。瑠梨を戦わせちまったら意味がねぇ……! 7

2018-01-08 00:35:21
フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

そのほかにも山小屋や乗り物、武器のダメージや薬品と弾薬の消耗も馬鹿にならねぇが、それより今はウォーロック共の話だ。笹田の兄ちゃんたちと藤宮先輩が九人捕まえたらしいが…。 「残念ながら拘束直後に全員死んでしまいました」 佐祐里先輩が目を伏せた。 「殺しちまったんですか!?」 8

2018-01-08 00:41:50
フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

思わず藤宮先輩を見るが、先輩は首を横に振った。 「いや。俺のほうは北里が……鳥姫の巫女が気絶させたのを拘束している間に……苦しみだして死んだ」 「まさか自殺ですか!?」 恵里の問いには、佐祐里先輩が苦々しい表情で答えた。 「いいえ。呪殺、でしょうね」 「じゅさつ?」 9

2018-01-08 00:46:02
フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

恵里が首を捻った。俺も同じ気持ちだ。言葉の意味が分からない訳じゃねぇ。呪いってものは実在するが、一度に何人も殺すのには向かねぇ。殺傷手段として魔力効率が悪過ぎるって話だ。10の魔力で遠くの相手を呪うくらいなら、1の魔力で直接殴ったほうが確実だ。 9

2018-01-08 00:50:37
フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

魔力も電気とかの他のエネルギーと同じで距離で減衰する。しかも遠距離攻撃だから反撃を受けない……って訳でもない色々条件を整えないと呪詛返しってやつで逆に呪い返される。同じ遠距離攻撃なら魔力弾を撃ちながら移動したほうがまだ安全だ。 10

2018-01-08 00:58:31
フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

「予め、呪具を持たせとくんだよ。そこに呪いを仕込んでおいて、離れたところからの魔力の指示か一定条件で呪いが起動するんだよ」 ラッタが解説してくれた。コイツも家が古くからの討ち手だからこういう人が関わるのにも詳しい。 「まだ分析中だが、恐らく後者のほうだな」 11

2018-01-08 01:05:34
フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

藤宮先輩が顔を少し顰めながら言った。 「森の中で遠隔操作は現実的ではない」 「じゃあ、連中はあらかじめ『捕まったら死ぬ』設定の呪具を持って俺達に仕掛けてきたってことかよ!?」 俺が敵の覚悟に驚いていると久浦が口を開いた。 「いや、もしかして違うんじゃないか?」 「何がだよ?」 12

2018-01-08 01:10:33
フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

「『持たされた』んじゃないか?そのほうが自然だろ」 「自然ってお前な……」 それだと敵は下っ端を騙して自爆装置を持たせたことになっちまう。そんなことがあってたまるかよ。 「俺もそう思う」 「先輩!?」 「あれは死を覚悟した者の表情では無かった」 13

2018-01-08 01:13:24
フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

「奴らの顔は何が起こったかさえ分かっていないように見える者もいた」 「……」 「突然の苦しみを俺たちのせいと思って恨みがましい目を向ける者や、騙されたことに気付いたのか死への恐怖以外で泣いている者もいた」 「……」 「笹田さんたちの方もそうだったようだ」 14

2018-01-08 01:19:01
フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

「片桐。なんでそんなに志願説を取りたがるんだ?俺たちの……表の世界の、というのも変だが、下っ端を騙して利用するなんて普通のテロリストだってやることだろう?自爆テロの場合は爆弾を持たせることを承知させるまでに洗脳とかしてるんじゃないか」 15

2018-01-08 01:25:09
フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

そう言った久浦の顔は、まるで俺を哀れんでるみてぇだった。 「かも知れねぇけどよ。そんなことあって良い訳がねぇだろうが……!」 確かに敵が人間と分かったところでぶっ飛ばしてやりてぇ気持ちには変わりねぇが…。 「なんか違うだろ…!」 16

2018-01-08 01:29:49
フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

「先輩……」 「ですが、利用されていようと敵は敵です。もし襲われた時は相手への情けよりも自分と周りの命を優先してください。殺せなんてことは言いません。捕獲にしても専門家に任せて下さい。ただ身を守る手は絶対に止めないで下さい。そこは妖怪相手と同じです」 17

2018-01-08 01:33:36
フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

そこで先輩は俺を見て、周りの恵里たちをも見た。俺たちはゆっくりと頷いた。 「実際のウォーロックへの対処は、この後の会議で決定されますが、専門のチームを編成してことに当たることになる筈です」 「お前たちが奴らと戦うことはない。その前提で編成される筈だ」 18

2018-01-08 01:36:27
フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

隊長・副隊長である先輩二人はこの後、分析班の報告を聞くために会議に出る。もう7時過ぎだ。普段なら僚勇会の会議は事前に論点を整理して早めに終わるが、今回ばかりは長引きそうだ。会議が終わる頃には日付が変わってるかも知れねぇ。それなのに今こうして話してくれている。 19

2018-01-08 01:42:30
フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

それは敵が人であることを全員に説明するためだ。この前みたいに全員を一箇所に集める余裕はねぇから隊ごとの個別説明だ。だから訓練所まで使ってるんだ。敵が人である可能性は前もって分かっていたらしく副隊長以上にだけ知らされていたそうだ。混乱を避けるための処置だ。 20

2018-01-08 01:46:07