アイデンティティポリティクスの日本における困難
アイデンティティポリティクスの弊害を乗り越えようという主張。間違っているとは思わないけど、それはアイデンティティポリティクスが承認された段階でいうべきことだと思いますよ。/あえて人種で皆が大笑いできた時、世界は少し融和する huffingtonpost.jp/shota-maeda/ra…
2018-01-12 11:16:19世界ないし多人種社会では、人種に特有の(ステレオティピカルな)身体的特徴から逃れることはできないのだ。
一般的な表現においては、何系かわからない人に与えられる役柄はないのである。
笑いの表現の場合は、歴史的経緯や被差別意識や時代性が、実に深遠な影響をもって人の知覚を左右する。だからこそ、それをつくる側には、高度な知性が求められる。
黒人以外が顔を黒く塗って黒人を演じてはいけない。アジア人以外が目をつり上げてアジア人を演じてはいけない。インド人以外がターバンしてカレーを食ってはいけない。
この共通認識が逆行する潮流は今後もありえないと思うのだが、我々は(毒を含んだ)笑いを失うことなく、「よりよい世界」の実現にどのように進んでいくべきなのか。
「私の苦痛が、誰かが笑うきっかけになるかもしれない。
しかし、私の笑いが誰かの苦痛のきっかけになることだけは、絶対にあってはならない」
チャップリンの言葉の中に、その答えがある。
アイデンティティポリティクスというのは、何らかの差異を共有するとみなされる集団を単位としてさまざまな社会的資源の獲得を目指そうとする運動のこと。「女性としての運動」「在日としての運動」「黒人としての運動」等々。
2018-01-12 11:25:00アイデンティティポリティクスには、マイノリティ当事者に固有の要求を争点化しやすいといった利点がある反面、マイノリティ集団の「差違」を本質化するような圧力を個々のマイノリティに与える危険性があることや、集団内部における差異が結果として不可視化されることなど、いくつかの弊害がある。
2018-01-12 11:25:00多文化主義の理念を取り入れた国々では、社会全体としてそうした弊害に対処するための法的、社会的な装置を開発してきたが、同化主義の根強い日本においては、マイノリティ集団がアイデンティティポリティクスと、アイデンティティポリティクスの弊害との闘争を二重に背負わされてきた。
2018-01-12 11:25:01この記事で言う「痛み」というのは、まさにマイノリティ当事者がアイデンティティポリティクスを克服する際に伴う心理的苦痛のこと。世界のどこでもあることなんだけど、日本ではとりわけマイノリティ当事者がその苦痛を背負わされてきたということ。
2018-01-12 11:25:02多文化主義の理念すらない段階で、マイノリティにそれを背負えというのは、ちょっと要求が過剰なんじゃないかな。
2018-01-12 11:25:02ことは心理的苦痛だけでなく、運動全体の問題でもある。というのも、日本のマイノリティ集団は、上述したように非常に困難な二正面作戦に自力で対処しなければならないということであり、それが、運動の路線をめぐってしばしば激しい対立が生じる遠因の一つとなっている。
2018-01-12 11:25:02心理的苦痛に加えて、そんなリスクまで背負えというのは、少なくとも今の段階では、適切な主張だとぼくは思えないんだよね。
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