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帽子男 @alkali_acid
異世界召喚・転生をはじめたのはウチラだから、とエルフ起源説をやたら主張される話
帽子男 @alkali_acid
実はあまり知られてないことだが、エルフは、うざい。 みんなあのかわいい外見にだまされすぎ。 人間が科学とか魔法でイキっているとすぐに「実はそれ最初に始めたのは私達なんですよ」などとエルフ起源説を主張してくる。
帽子男 @alkali_acid
「え、蒸気機関ですか?確か1000年ぐらい前に通過しましたね」 「シンギュラリティ?まだやてしてなかったんですか?私小5のとき体験しちゃいました」 「天空の城?インドラの矢?あー原型作ったの私んとこですね」 そういうこと平気で言ってくる。
帽子男 @alkali_acid
エルフはなにげに寿命長いし歴史も古いから、本当なのかな?って思うときもあるけど、ぶっちゃけすぐ死すべきさだめの人の子には適当こいてもばれやしねーだろwみたいな雑なマウンティングも疑わざるを得ない。
帽子男 @alkali_acid
エルフ起源説をどこまで信じるかかはあなた次第だが、とりあえず長命種族と話すときは、なんか若者にやたら偉そうにする老人に接するときの一万倍ぐらいのイラつきを覚悟した方がいい。
帽子男 @alkali_acid
「冒険者の皆さんがぁ、財宝を探しにやってくるこの迷宮とか、ぶっちゃけ全部作ったのは、私達のご先祖様なんですよぉ」 妖精族の村に住み、客を心からもてなしてくれる優しく麗しき姫君なども、いちど起源説を唱え始めるともう止まらない。
帽子男 @alkali_acid
「そもそも、異世界からこの場所にやってきて、便利な道具とか作ったり、あと皆さんが苦労して戦ってる魔物なんかも、ご先祖様が全部連れてきて、便利だったり可愛いかったりするから飼ってた?みたいな感じなんです」
帽子男 @alkali_acid
「だから迷宮の財宝にどんな種類があって、どんな効能があるかとかも、だいたい全部分かるんですよねえ。私達妖精は。まあ当たり前のことでしかないんですけど」
帽子男 @alkali_acid
聞いている人間の冒険者達は、顔を見合わせている。 急に先祖を誇られてもどうしたらよいやら、というところ。一行の中にはかなり遠いところから来て、言葉が通じにくいものもいて、感心するより戸惑いが大きい。 期待した反応が得られず、とがった耳をした娘はつんと鼻を上向ける。 「ふーんだ」
帽子男 @alkali_acid
「あ、わりわり。びっくりしちまってよ」 あわてて小柄な青年が言葉を返す。嗅鼻氏と呼ぶ。まだ若いが、白銀紋章という位階の、熟練の冒険者である。世に名を馳せた“地獄の猟犬団”の一員で、定命の人間としては、かなりできる方に入る。 「妖精ってのはすごいな。ちょっと…げほっ…」
帽子男 @alkali_acid
粉っぽい。 そう粉っぽいのだ。なぜか、妖精のたおやな姿態からは、きらきらした燐だか埃だか塵だかが出ており、うっかりすると咳き込む。 妖精はすべてそうなのか、たまたま嗅鼻氏が会ったのがそういう体質の一族なのかはよく分からない。
帽子男 @alkali_acid
「この粉もぉ、ご先祖様が私達を作るときに、魔物とかに見つからないようにって、出るようにしてくれたんですよぉ?」 「作る?…」 嗅鼻氏はかすかに首をかしげたが、不老の娘はかまわず続ける。 「もう話がそれちゃいました!大事なのは私達が迷宮の財宝に詳しいってとこ」
帽子男 @alkali_acid
「皆さんは、蘇生液って知ってますか?」 試すような問いかけに、ぴんときたようすなのは人間の冒険者達のうち、嗅鼻氏だけだった。 「ああ。死んだ人間も生き返らせるっていう…そいつがあれば、俺達の仲間、ヒロも蘇るんだな」 「はい!正解です!」
帽子男 @alkali_acid
乙女がほがらかに応じると、遠巻きにしていた同族が、そろって楽しげに拍手をする。そろって金髪碧眼白膚。ほっそりとしていながら丸みを帯びた輪郭を、肩と背の出た、えりぐりの深いゆったりした衣装に包んでいる。可憐なおもざしは皆、うれいの影一つなく、にこやかだ。
帽子男 @alkali_acid
妖精の姫は豊かな胸をそらせて続ける。 「もちろん蘇生液も万能じゃないんですけど、ヒロさんはまず大丈夫です。どうってことありません」 「どうってことない?迷宮の一番強い魔物、龍と戦ったんだぜ。しかも、あいつの使う魔法ってやつで塩の柱にされちまったのに?」 「はい💛」
帽子男 @alkali_acid
不老の娘は流れるような動きで、布で仕切られた祭殿の中を進み、一画にうずくまる鋼の鎧に歩み寄った。ごつい鉄の腕に抱かれ、なかば白い結晶と化した女にむかって、ほっそりした指をのばす。 「ヒロさんはかなり良い状態です」
帽子男 @alkali_acid
ヒロ。嗅鼻氏が属する、地獄の猟犬団のまとめ役で、白金紋章という位階に達した、最強の冒険者。佐藤ひろみ。 異世界から召喚されてきた人物で、卓越した才気を持ち、一度は迷宮の主(ヌシ)である龍さえだしぬき、ねぐらから魔法の王冠を盗み取った。だが二度目に龍とまみえた際は、敗北した。
帽子男 @alkali_acid
「まずヒロさんは強力な護符で身を守っていました。これです」 妖精の姫が、ヒロの胸から何かを引きはがす。かすかに破片がこぼれおちた。 「おい気をつけろよ!」 あわてて人間がたしなめるのに、とがり耳の乙女は余裕だ。 「だいじょうぶですよ…上手にとれ…あ、なんかくっついてる」 「おい」
帽子男 @alkali_acid
「この、白金紋章。これが強力な護符なんです。もともとご先祖様が身分の証と魔法への備えとして作った品ですから」 「そいつは、冒険者の印として酒場でもらうもんだぞ」 「でも、もとは迷宮の財宝ですよ全部…中でも白金紋章は一番身分の高い、妖精の王様とか王子様とかお姫様用でした」
帽子男 @alkali_acid
あんぐりと口を開ける嗅鼻氏のうしろ、妖精の姫等とそっくり同じ装いをした華奢な少年と、たわわな肢体の女は、話についていけてないようだ。 「うーんと。それでこの、白金紋章にくっついてるの、魔法の王冠ですね」
帽子男 @alkali_acid
随所に宝石を埋め込み、金の糸を細かに分かれた根のように象嵌した豪華な額輪だが、よくよく見れば突起などはなく、ほっそりして、ふところにしまっておけるような形状でもある。
帽子男 @alkali_acid
「魔法の王冠…私も初めて見ます。これはすごい効果があって、ちょっと実演しますね。あれ?うーん…壊れてはいないんだけどなあ、ただちょっと…調整します…うわ、なにこれ…あ、ひっど…え、まって、まって…できました…うそできてない」
帽子男 @alkali_acid
妖精の姫が苦戦していると、肌も露ないでたちの姉妹が四方八方から、きらめく粉をまき散らしつつ集まってきて、ああでもないこうでもないと話し合ったあと、指で王冠をあちこちなぞった。 やがて全員が奇妙な言葉をつぶやき、双眸をうつろにして同時に肩を左右に揺すり始める。
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