異世界小話~異世界召喚・転生をはじめたのはウチラだから、とエルフ起源説をやたら主張される話~

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帽子男 @alkali_acid

塩におおわれていた肌が柔らかみをとりもどし、薔薇色に染まる。 こわばっていた面立ちがゆるみ、破れた胴着のあいだから覗くつつましやかな胸が上下する。咳き込むような音。

2018-01-19 01:35:23
帽子男 @alkali_acid

「げほっ…え、なに…粉っぽ…ちょっ、かゆい!なんかかゆい!」 佐藤ひろみ、白金紋章の冒険者、地獄の猟犬団のまとめ役は跳ね起きた。まるで死など訪れなかったかのように。 「あ、ちょっと虫の毒液を分離しきれなかったみたいな?」 「でも思ったより深刻な副作用なくてよかったですー💛」

2018-01-19 01:37:19
帽子男 @alkali_acid

「ふ、副作用?」 聞き返す山田さんに、佐藤さんが飛びつく。 「山田さん!!」 「ひゃっ!ひゃああ!」 「龍にやられなかったんだ!よかった!ごめん!あたし、調子に乗りすぎて…あれ…?」

2018-01-19 01:39:13
帽子男 @alkali_acid

佐藤さんは初めて周囲のようすに気づき、鋭く眺めわたす。 「ここは、どこなのかな?」 声にこもる剣呑な響きだけで、並の魔物は金縛りに遭いそうな迫力がある。 だが妖精達は一斉に額づき、燃える髪をした乙女だけが手にした武器、茜の剣、紅蓮刃を捧げて進み出る。

2018-01-19 01:41:31
帽子男 @alkali_acid

「お目覚めをお待ちしていました勇者様。どうぞこの剣をとり、世界をお救い下さい」

2018-01-19 01:42:30
帽子男 @alkali_acid

「あ、ちなみに、勇者という称号も妖精が最初に考えたものなんですよ💛」

2018-01-19 01:43:40
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