フォビドゥンフォレスト6話「フォビドゥンフレイム」#4「森に潜む悪意」

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新しく公開しました #11 「隊」~3つの大隊 - フォビドゥンフォレスト - カクヨム kakuyomu.jp/works/11773540…

2018-01-26 00:43:28
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新しく公開しました #12 「儀」~出陣の儀式と巫女の予言 - フォビドゥンフォレスト - カクヨム kakuyomu.jp/works/11773540…

2018-01-27 02:50:39
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(前回のあらすじ:妖怪たちを操っていたのはウォーロック、魔術師の犯罪者だった。自らの尖兵を使い捨てにする敵の非道に片桐は憤る。そして夜、隊長たちを集めて対策会議が行われようとしていた)

2018-01-28 23:16:25
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フォビドゥンフォレスト6話「フォビドゥンフレイム」 #4「森に潜む悪意」

2018-01-28 23:20:50
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―風科地下。僚勇会第一会議室。 隊長・副隊長が集められた室内では照明が落とされ、正面のスクリーンにスライドの映像が映し出されていた。 「家……?」 「古民家って感じだな」 映像を見た隊長たちが呟く。 「これ、森の中で撮影されたやつですよね……?」 「はい」 1

2018-01-28 23:24:12
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映写機の横でオペレーターの紹子が答える。最初に映し出されたのは民家。映像は暗視カメラに補正を掛けたもので、今ひとつ鮮明ではないが、それでも素人目にも築数十年は経っているのが見て取れる。茅葺屋根で木造らしい。問題なのは今指摘された通り、これが森の中にあったということだ。 2

2018-01-28 23:30:54
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映像が切り替わる。更に補正を掛けて鮮明にした複数アングルからの写真だ。どの角度から見ても普通の古民家である。ただし、撮影場所と何故か三軒の家が不自然にぴったりと密着している点を除けばだが。一つの大きな家のようにも見えなくもないが、玄関も屋根の起伏も明らかに複数存在する。 3

2018-01-28 23:35:57
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隣り合っているどころの話ではない。妙な構造だ。 「これが発見されたのは……森の奥のエリアS、つまりオトロシが最後に潜んでいた場所よりも更に北東に一キロの地点です」 それは瘴気レベルでいえば4の辺りでもある。むしろ5に近い。常人はおろか平均的な魔術師すら一時間と保たない。 4

2018-01-28 23:40:20
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そのような危険な位置に民家を建てたなどという記録は残っていないし、建てるはずもない。僚勇会やその前身組織が建てた砦などの拠点でもない。普通の民家の形状では森の奥の妖怪に対しても防備に過ぎる。結界などの魔術で強化するにしろ、元々の建物から強いに越したことはないのだ。 5

2018-01-28 23:45:17
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「続けて同じアングルからの写真を連続させたものです」 スライドが数秒おきに切り替わっていく。皆、敵が出入りしてくるものかと注視していた。話の流れからしてもここが敵の拠点に違いないからだ。だが、民家に変化はないように見えた。画面左上の撮影時刻表示が1分づつ進んでいくだけだ。 6

2018-01-28 23:48:55
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「続けて同じアングルからの写真を連続させたものです」 スライドが数秒おきに切り替わっていく。皆、敵が出入りしてくるものかと注視していた。話の流れからしてもここが敵の拠点に違いないからだ。だが、民家に変化はないように見えた。画面左上の撮影時刻表示が1分づつ進んでいくだけだ。 7

2018-01-28 23:53:02
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「あれ?」 幸川が眉を上げた。 「おい、まさか……動いてねぇか?」 同じタイミングで桐葉も気付いた。 紹子が頷く。 「はい。その通りです。動画でもご覧下さい。十倍に早回ししています」 8

2018-01-28 23:58:26
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映し出された動画では、民家の位置が少しづつ動いていた。カメラのほうが動いているのではとも思ったが、よく見れば雪の積もった地面に跡が残っている。家が移動しているのだ。あまりに遅いとはいえ、静止画の時点で気が付かなかったことに驚くほどだ。皆、注意が出入り口に向いていたのだ。 9

2018-01-29 00:06:42
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「そうか、迷い家だな……!」 宗像がポン、と手を打つ。その言葉を聞いて、ピンときたものもいれば首を傾げたものもいた。いずれにせよ意外に思ったのは同じだ。風科ではまず聞かない名前だからである。 「迷い家は、古民家が瘴気を浴びて妖怪化したものです」 10

2018-01-29 00:12:32
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たが前述の通り、瘴気の掛かる場所に民家など建てない。 「迷い家の出現記録は風科の千年の中で、僅かに数回だけです。最後に確認されたのは百五十年ほど前のことです。当時は、立入禁止エリアが今より遥かに狭かったために、瘴気の影響を受ける位置にも民家があったようですね」 11

2018-01-29 00:20:26
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「まさか、その頃の……禁足地を拡大する以前の頃の家なんでしょうか?」 佐祐里が手を挙げて問うが、紹子は首を横に振る。 「専門家によれば、建築様式はこの辺りのものではないようです。江戸から明治にかけて東北地方で多く見られた形式のようです」 12

2018-01-29 00:28:04
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一見すると風科にもいくらか残る古民家のように、豪雪と夏の暑さの両方に備えた雪国用の作りにも見えるが、紹子はそれを否定した。専門家の鑑定と言っても外注する暇もなかったため、たまたま僚勇会にいた年配の大工と、建築マニアの若者の二人だが情報としては間違いない筈だ。 13

2018-01-29 00:34:48
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「民家を、他所から運んできて妖怪化させたってことか?」 立森が推測を述べる。 「或いは、迷い家をですね。敵にとってどちらが楽だったかは分かりませんが」 家一軒を輸送し、それを僚勇会に気付かれずに森に入れるとなると極めて難しいだろう。 14

2018-01-29 00:43:38
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「そもそも、連中は迷い家の中に入ってて平気なのか?要は腹の中だぜ、アレ」 宗像の疑問は尤もなものだ。迷い家は普通の家のふりをして屋内に人を誘い、その生命を吸い取る妖怪だ。他所へ出向して実物とも戦ったことのある宗像はよく知っている。魔術師と言えど、わざわざ中に入るべきではない。 15

2018-01-29 00:48:23
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内側で結界を張って耐えることもできようが、それでは魔力を消耗し続けることになる。とても拠点には出来ない。 「それに関しては、敵の持つ妖怪制御の手段によるものと思われまず。操ることさえ出来れば迷い家に森の瘴気だけを吸わせることで、移動拠点として使うことが出来ると思われまず」 16

2018-01-29 00:51:53
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「その手段というのが、先日桐くんが捕獲した例の虫……魔獣ですね?」 幸川の問いに紹子は無言で頷くと着席し、代わりにスクリーンの横に僚勇会副会長の衛守が歩み出た。彼が座っていた横には会長の篠森と、見慣れない金髪の少女がいる。 17

2018-01-29 00:57:32
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「ここからは私がお話致しましょう。仰る通り例の虫型魔獣が敵の妖怪制御の手段でしょう」 「バケグモはともかく、迷い家まで操れるんですか?」 「ええ、迷い家のような無機物妖怪も操れるのはエーテル部分に寄生しているためと思われます」 18

2018-01-29 01:05:09
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人も妖怪もマテリアル体と呼ばれる物質の体と、魔力で出来たアストラル体、その間の薄い膜のようなエーテル体の3つで構成されている点は同じだ。ただし、人はマテリアルが本体でアストラルを失っても生きられるのに対し妖怪は真逆だ。アストラルが本体で、肉の体を失っても死にはしない。 19

2018-01-29 01:11:58
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「例の魔獣……セフィロトでは仮にパラサイトN1型と名をつけていたそうですが、これは妖怪が肉体を得た場合に、その肉体に潜み、そこからエーテル体に向かって食らいついて寄生し、行動を操るようです。敵はパラサイトに指示を送ることで間接的に妖怪を操る訳です」 20

2018-01-29 01:20:28