池内恵氏の1本目の公刊論文における武勇伝

SHIRATORI Junichiro @jshiratori

#相互フォローのTwitter政治学者の1本目の公刊論文読んでみた というタグを思いついた。

Satoshi Ikeuchi 池内恵 @chutoislam

どうぞ。池内恵「イスラーム世界における政‐教関係の二つの次元」酒井啓子編『民族主義とイスラーム──宗教とナショナリズムの相克と調和──』（研究双書514）アジア経済研究所、2001年、69－112頁 twitter.com/jshiratori/sta…

Satoshi Ikeuchi 池内恵 @chutoislam

少し後に刊行されたがこっちも最初の論文と言っていい。裏専攻。そのまま『現代アラブの社会思想』の後半になりました。池内恵「前兆・陰謀・オカルト──現代エジプト終末論文献の三要素」末木文美士・中島隆博編『非・西欧の視座』（宝積比較宗教・文化叢書８）大明堂、2001年、96－120頁

Satoshi Ikeuchi 池内恵 @chutoislam

この論文で、イスラーム研究業界が総出で主張して大規模予算を取る根拠となった「イスラーム復興」論は、論理のすり替えで成り立っているから分析概念として成り立たないよね、と書いたところ、元締め教授から公衆の面前でバンバン机叩いて恫喝され、列席の東大教授みなさん押し黙り、大学院生・助手は twitter.com/chutoislam/sta…

Satoshi Ikeuchi 池内恵 @chutoislam

・・・私と口をきかなくなり、科研費プロジェクトの論文集から私の名前が消えたんですね。まあその後の世界史の展開で、どっちが正しかったかはイスラーム主義者たちが有言実行してくれて「実証」してしまったので私はぼーっとしているだけでよかったんですが。

Satoshi Ikeuchi 池内恵 @chutoislam

あの頃に先の先の先まで論理的に全部詰めて考えたおかげで、その後は取り崩しながら論文書けば食えています。論理的に詰めて考えた結果、「どんなに業界内で流行っていようが「イスラーム復興論」は成り立たない」と結論が出たので、バカと言われようが言い続けただけです。

Satoshi Ikeuchi 池内恵 @chutoislam

当時「イスラーム復興！」って論文書いて職を得た人たちがちゃっかり寝返っているのもよく見ますね。

Satoshi Ikeuchi 池内恵 @chutoislam

だいたい「本来のイスラームは単なる宗教ではなく、政治・社会・経済を含む包括的なシステムである」と皆で口々に主張して膨大な予算取っておいて、テロが起きると「ただしイスラームはテロと戦争は含まない、それは欧米が持ち込んだものだ」って言うのは、いくらなんでもひどいんじゃないか。

Satoshi Ikeuchi 池内恵 @chutoislam

この論文の刊行期日は2001年3月31日。翌日にアジ研に入所して65歳（だっけ）までの終身雇用を確保した上での決行でした。最低限、身の安全は確保してから本当のことを言うというのも知恵ですね。しかしいつもやっているように人事で威嚇・封殺できない、と感じたから先方教授も逆上したようですが。 twitter.com/chutoislam/sta…

Satoshi Ikeuchi 池内恵 @chutoislam

学者は間違ったら訂正すればいい。嘘をついたら一生祟る。嘘を不法なやり方で糊塗しようとすれば末代まで祟ります。事実は変えられないからね。そういう人に引き上げてもらった弟子は一生かけて負の利子みたいのを払い続ける。だからほどほどにしときなさいよ、と同世代には忠告したんですがね…

Satoshi Ikeuchi 池内恵 @chutoislam

西の一代年寄教授（大陸浪人型）の科研費プロジェクト集会での「机バンバン恫喝」事件の翌日、列席していた東大教授（調整型）がアジ研の私のデスクに電話かけて来て「昨日の件は、池内くんの将来を考えた教育的指導だったということにしてくれないか」と言われたが断った。

Satoshi Ikeuchi 池内恵 @chutoislam

「許すことも忘れることもありません」というのが、当時も今も一貫した私の答え。感情の問題ではなく、客観的にそうだから。電話して来た東大教授（当時）は「それじゃ今後のプロジェクトの活動に差し支えるね」と電話を切った。「差し支え」たのは短期的には私だったが、長期的にはどうだろう。

Satoshi Ikeuchi 池内恵 @chutoislam

一般論ですが、こういった大学横断型大型予算を取って恒常化し、特任教授のポストを作り、そこに自分が定年後に収まる、というのは、良くないのではないでしょうか。若い人のポストを作れるから、というのが文系の大型プロジェクトのほぼ唯一の利点であって、若い人からそれを奪うなら大義はない。