エンゲル係数に関する雑なまとめ
すべての所得階層で,可処分所得が減少しており,これに対応して消費支出全体も減少している。所得階層別の増減額(中欄)をみると,高所得層→中所得層→低所得層の順に,可処分所得が,▲154.9万円→▲78.6万円→▲58.6万円,
2017-12-14 23:36:39消費支出全体が,▲99.8万円→▲51.9万円→▲33.1万円と,両者はほぼパラレルに減少している。他方,食料消費支出については,▲12.4万円→▲16.8万円→▲15.2万円と,高所得層の方が減少幅を抑制している。
2017-12-14 23:36:39変化率(右欄)をみると,食料消費支出と消費支出全体の対照的な傾向が顕著にみてとれ,所得階層が高くなるほど,消費支出全体の減少率が高まる反面,食料消費支出の減少率は抑えられる。他方,所得階層が低くなるほど,消費支出全体の減少率より食料消費支出の減少率が大きくなる。
2017-12-14 23:36:40貯蓄率をみると,低所得層では低下しており,高所得層では上昇している。つまり,低所得層では,貯蓄率を低下させながら(平均消費性向を上昇させながら),とりわけ食料消費支出を抑制しつつ食料以外の消費支出を賄っており,
2017-12-14 23:36:40他方,高所得層では,食料消費支出については出来るだけ維持しながら-つまり履歴効果が作用しつつ-食料以外の消費支出を抑制する結果,平均消費性向を低下(貯蓄率を上昇)させていることが示唆される。こうして,低所得層ほどエンゲル係数が下落し,他方,高所得層ほどそれが上昇するのである
2017-12-14 23:36:40(ヽ’ω`) 価格上昇の影響を最も深刻に受けやすい低所得層において,食料品でも,非食料品でも,エンゲル係数の変化に数量要因がほとんど効いていないことは,裏を返せば,いずれも数量調整の余地が乏しくなっていることが示唆される
2017-12-14 23:36:41(。・ω・))フムフム エンゲル係数の上昇幅だけをみれば,高所得層のほうが低所得層よりも大きい。しかし,高所得層では,非食料品の消費性向は低下しても,食料品にはほぼ一定水準で支出しようとする履歴効果が作用した結果として,エンゲル係数が大幅に上昇したのであり,
2017-12-14 23:36:41他方,低所得層では,食料品も非食料品も数量調整が限定的であった結果として,エンゲル係数の上昇幅が抑制されたのである。したがって,先行研究(第2節)で示唆された所得階層と食の階層性やフード・インセキュリティの関連は,すでにアクチュアルな問題となりつつあり,
2017-12-14 23:36:42とりわけ食料価格が上昇局面を迎えたとき,低所得層に深刻な影響を与えうることになる。これは,たんに,食料価格上昇時の対処療法的な対策だけではなく,所得再分配のあり方をめぐる政策課題につながる問題であろう
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