明治大正昭和の官報行旅死亡人からわかること

昔の人権感覚・生命観と、交通インフラや産業が近代化された時代のギャップ
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すんすけ @tyuusyo

明治大正期の芸人とかでも記録に残っている人は成功者なので、それ以外にドサ回りの結果行旅死亡人扱いだった人は相当な数いると思います。 「わろてんか」の広瀬アリスさん演じる秦野リリコも相当成功してますし(史実でこのクラスの人だと竹本八重子こと北野うしさんぐらいしか思いつかない)

2018-02-10 23:29:54
すんすけ @tyuusyo

@8sk_kotetsu お遍路さんの研究書を読んだことがあるのですが、ある時期までは露骨に「人減らしのための死に場所」だったようですね。徳島藩の行き倒れのお触れは知りませんでしたが、そういえば宮本常一が調査している巡礼の墓も徳島ですね。

2018-02-11 08:47:13
すんすけ @tyuusyo

この「巡礼=難病で人生アウトな人」という認識があると高群逸枝『娘巡礼記』の衝撃が分かるな。どうも彼女も当初は「難病に侵されたかわいそうなお嬢さん」と勘違いされてたが、健康でかつ物凄い教養を持つ人であることがわかると観音様扱いになるんだよ。勝手に「じいや」がつくんだぞ。マジで。

2018-02-11 10:46:33
すんすけ @tyuusyo

若い頃の高群逸枝、今で言えば指原莉乃みたいな感じだしね。 行旅死亡人で巡礼だとほとんどろくな着物着てないんですよ。ほとんど無学な人が多いと思う。 そんな中でかなりいい着物を着た健康そうな指原莉乃がウロウロしていたら 「この人は間違いなく何かの化身」 勘違いされて当然ですね。

2018-02-11 10:49:58
すんすけ @tyuusyo

恐ろしいですよ『娘巡礼記』。高群逸枝に「じいや」がつく(単なるファンの老人)わ、ストーカーは出るわ(「さっしー愛してる」的な血書(!)を送られる)、本当に世界観がおかしい。 多分彼女だけ近代人で周りの遍路とか庶民が江戸時代的なんですよ。 これ、チート異世界転生ものだよ。

2018-02-11 10:53:19
すんすけ @tyuusyo

『娘巡礼記』、頭脳は呉座勇一クラスの指原莉乃が突然大正時代の四国に転生してひまなので巡礼を始めたら「観音様」と崇められた、と思うとどうみても「なろう系チート異世界転生もの」でしかないからね。 高群逸枝は「20世紀の歴史家」という選集に1人だけ女子で入るというチートなので。

2018-02-11 10:59:04
すんすけ @tyuusyo

『娘巡礼記』は「実録・高学歴ギャルが異世界転生して四国巡礼したらマジで観音様にされた」だと思うと、色々強烈である。 でも、なろう系でもチート能力者にストーカーが血書を送ってきたり、突然「じいや」が付いたりしないので、やはり現実はすごい。 そして一人称が「わらわ」。

2018-02-11 11:04:42
すんすけ @tyuusyo

なお、「じいや」はお嬢様が宿に泊まると塩で足を清めてくれます(!) ただ、彼女が書いている遍路の現実は恐ろしいよ。 遍路たちが全身紫色に腫れたハンセン病患者をいじめるんですよ。そしていじめられた人がトボトボ宿から出ていく。弱いものが弱いものをいじめる地獄。

2018-02-11 11:10:04
すんすけ @tyuusyo

まあ、当時のストーカーは一日三回血書を送りつけてくるらしいのですね。 血書?一日三回? 本当にわけがわからないんですよね。それで彼女が自分に惚れてくれると思うんだろうか。 というよりそんなに血を抜いて大丈夫か?

2018-02-11 12:03:12
すんすけ @tyuusyo

私の一連のツイートはまじめな女性史研究家が見たら「あの高群先生をこんな風にサブカルにするなんて」と言われそうだなあと思いますけど、 やっぱりこれ「なろう系チート異世界転生」ですよ。 考えてみれば現代人が異世界に転生したら「神仏の化身」と言われるのはそりゃそうだよな。

2018-02-11 12:05:10
すんすけ @tyuusyo

「異世界に転生したら観音様にされてストーカーが一日三回血書を送りつけてくるんだが」 だれか「なろう」で書こうよ(無茶振り

2018-02-11 12:06:09
すんすけ @tyuusyo

江戸末期の四国に文系和装好き高齢ポスドク・高牟礼逸子が美少女として転生して「観音様じゃ…」「観音様が転生された…」「なんという美しさじゃ」「触ると病気が治るらしい」とかいうなろう系小説、ちょっと読みたい気がする。

2018-02-11 12:13:11
すんすけ @tyuusyo

あれだな、研究会の帰りに突然倒れる系ですね。 そして目が覚めたら江戸末期の伊予宇和島あたりに転生していると。 じいや「おおっ!善根宿にむさぐるしい遍路を泊めたら、夜が明けたら、このような観音様に化身されていたとは…ありがたや…ありがたや…なんという美しさじゃ」

2018-02-11 12:16:55
すんすけ @tyuusyo

リケジョのほうがよりそれらしいのかな。 江戸末期の伊予宇和島に現代の女医が転生したらスゴイことになると思う。

2018-02-11 12:19:58
すんすけ @tyuusyo

この方のことは知らなかったのですが、ちょっと壮絶な生涯ですね。なんで突然富と名声を捨ててしまったんでしょうね。 twitter.com/YosidaMitsuo/s…

2018-02-11 12:41:43
M・Yoshida @YosidaMitsuo

明治時代の行旅死亡人といえばサッポロビールの創業者である村橋久成を思い出す。 twitter.com/tyuusyo/status…

2018-02-10 23:42:49
すんすけ @tyuusyo

@yamamori041 もちろん高齢の叩き出され例も複数ありますね。 というより高齢者のほうがより悲惨ですね。 名前すらわからない白布で顔をぐるぐる巻きにした行旅死亡人とかいますし。

2018-02-11 12:45:53
すんすけ @tyuusyo

@tokyosuehk @mikunitmr そう、恐ろしい時代です。 従者もいやだったろうなあ。

2018-02-11 12:46:19
すんすけ @tyuusyo

@yamamori041 例えば明治三十五年三月七日の官報には「本籍住所不詳 乞食体」の80歳ぐらいの男性の行旅死亡人が出てきます。名前はわかっていたようですが、名前すらわからない人(同じ日の35歳の男性は「顏癩病ノタメ崩壞」で名前不明)もいますね

2018-02-11 12:50:13
すんすけ @tyuusyo

ちょっと補足。当時の官報には20代以外の死者も多く載っています。 旅行中の41歳の男性が肺病で急死したが「本人生前ノ申立ニ依リ、假埋葬後肩書ノ地ハ勿論、其他處々取調ヘタルモ、本籍住所等、不明ナリ」で行旅死亡人扱いというケースが有る。(句読点は私が補いました)

2018-02-11 12:56:26
すんすけ @tyuusyo

普通に旅好きの人とかが明治時代に客死した場合、一人旅だったら行旅死亡人にされてしまうケースが相当多いんじゃないかと思えてきた。 というより、役場とか戸籍とか相当いい加減なんですよねこの頃。 この頃の戸籍は誤字が多いという話を家系図調査の専門家の本で読んだことがある。

2018-02-11 13:00:14
すんすけ @tyuusyo

明治三十五年十二月二十日「著衣、黑八丈ニ、下リ藤縫ノ、三ツ紋附。羽織外五點、所持品、醫術機械一包、外十五點」という立派な身なりの35歳のお医者様が旅館で自殺しただけで行旅死亡人にされている。名刺と宿帳の名前が住所といい名前といいぜんぜん違うのでワケアリの人だとは思うけどね。

2018-02-11 13:03:28
すんすけ @tyuusyo

黑八丈というのは辞書をひくと「黒色無地の絹布。略して黒八ともいう。東京都あきる野市五日市付近を中心に産し,泥染と称した」というのですが、画像検索すると立派な着物でねえ。おまけに下がり藤の紋付きですよ。今で言えばベルサーチのスーツみたいなものかなあ。相当押し出しはいいよね。

2018-02-11 13:06:54
すんすけ @tyuusyo

大正十四年十月十四日付の「北海道常呂郡訓子府村役場」の行旅死亡人広告では、現在の秋田県八峰町から来た50歳の労働者の人(他に持ち物もないので出稼ぎ?)が2月1日に旅人宿で客死したので埋葬したから公告する、と実に8ヶ月前の死者の広告が出ている。これが誠に良くわからない。

2018-02-12 18:21:25
すんすけ @tyuusyo

まずこの訓子府村は昭和10年8月の村勢要覧で見ても人口わずか7000人の寒村であり、内陸部なので漁業もあまりなく、農業と酪農以外の産業があまりない。そんなところに出稼ぎに来る用事がまず謎である。しかも冬である。

2018-02-12 18:25:32