部族化シリーズ 3話~キモオタの家に裸族の双子美少女がいそうろうに来た話~
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「それが…シメが例の力を…」 ナギとナタがにじり寄って来る。 「待て!そいつを置いてけ!」 「私達のものだ!」 親方はパイプを咥えながらうめく。 「じゃあ君等が先生のいってたいそうろか…先生はあっちで横になってる…家まで送ってやれ」
2018-02-15 00:42:46双子がとまどったようにパンダにかつがれたヒゲ男を見つめ、やがてよろめきつつ走っていった。 「素直だな…」 「親方…あの先生だが…」 「ん?」 「いや…今はそれどころじゃないな」 「なんだ気になるな…」 頭上を光輪つきロボが通り過ぎる。寒気。
2018-02-15 00:44:45「…だめだ…頭が割れそう…」 というかスペシメ光線を浴びた旧人が意識を保ってるだけで相当無理がある。 「親方。今は逃げよう」 「だめだ…防衛団の…駐屯所へ…あそこなら…薬がある」 「親方。その状態ではむりだ」 「薬キメれば…しゃきっとする…」
2018-02-15 00:46:33ヒゲ男はへなへなした表情で若者を見やる。 「それと…先生に…何かあるなら…ちゃんと教えろ」 「俺の思い過ごしかもしれない。親方が回復したら話す」 「いや…ちゃんと」 対空放火にロボが応戦。ビームである。やばい。地上の防衛設備が爆発炎上。轟音が響く。 「えらいことに…なってきたな」
2018-02-15 00:48:15◆◆◆◆ 「夜鳥(ぬえ)がなぜ居住区を襲っている」 「わかりません」 「分からないではない!あれは我々の希望だぞ…それがなぜ」 「防衛団が飛行獣と誤認し砲撃を…」 「獣とロボを一緒にするな!」 「割と見分けづらい感じで…」 「く…」
2018-02-15 00:49:44行政委員にして科学委員会副委員長は頭を抱える。 「どうして…どうしてこうなる…私の計画は完璧だったのに…あいつのせいか…あの疫病神のせいで」 「行政委員。防衛団がロボ出撃の許可を求めています」 「許可する。ただし破壊は許さん。あくまで鹵獲せよ」 「はあ…」
2018-02-15 00:51:33鹵獲とかいうレベルじゃない。ビームである。空からロボビーム。しかもエネルギー切れするよすうがない。熱線がすぱーっと地上を走ったかと思うと遅れてボボボボボっと爆発が起きる。もうあかん。街めちゃくちゃ。 とうとう東四居住区もおしまいか。かなしい。 「炒鋼はなにをしている!」
2018-02-15 00:52:51「それが…」 がんばってはいた。でも飛べないからね。飛べないから。 ブースターでぴょんてジャンプはできるし。ミサイルとかビームをフル装備してれば一応射程範囲だが、まあそうそう飛び回る敵を捕えられない。 「くそ…夜鳥はなぜ暴走する…何か意味があるのか…」
2018-02-15 00:54:26「は、防衛団の報告では、何か地上の攻撃目標を探しているようだとか」 「目標…それは…?」 「さあ」 「さあではない!」 「あ、行政委員。ご家族の方が面会です」 「家族?妻がどうか…まさか疫病神か…」 よれよれのがらくた屋達がいてる。 弟苦虫かみつぶした顔。 「今は忙しい!」
2018-02-15 00:56:17「クスリくれよ」 最悪の挨拶。 「クスリとはなんだ」 「しゃきっとするやつ…あるよね。何周期前だか…僕がまだ防衛団にいて大型獣と戦った時結構キメちゃったけど」 「ああ…あなたが死ぬのはかまわんが、あのクスリは貴重だ。ただの民間人に」 「お助け料の一部だと思ってさ」
2018-02-15 00:58:41イケメンは愕然としてヒゲ男を見る。 「まさか、この状況で報酬を要求するのか?」 「うちは貧乏所帯でさ…お願い。な、兄弟だしさ…」 「…ついでにロボにも乗せろというつもりじゃないだろうな」 「えへへ。手持ちのを置いてきちゃって」 「…勝手にしろ」
2018-02-15 01:00:13プシュっと首に注射をキメる親方。 助手は止めはしないが嫌な顔。 「親方…その薬は」 「あーようやくしゃきっとしてきた…うんうん内臓に悪いの知ってるよ。まあでも今更いたわってもね。なんだっけ。先生の話」 「親方!」 「分かったよ。集中集中。ライライ。狙撃点は?」
2018-02-15 01:01:36パンダが居住区で一番高い建物。通信塔を示す。 「ひゅー。行政委員会が一番嫌がりそうなとこだ。よし、スンシンはポインターね。今回は二人でいって」 「親方!」 「とりあえず僕が時間稼いでるあいだに狙撃準備してねっと…子供達は…」 カイはまだぐろっきー。シメちゃん起きてご飯食べてる。
2018-02-15 01:03:53「親方!シメちゃんも乗せて!」 「だめー。危ないから」 「あの怖いの!シメちゃん追いかけてるの!」 「そうなの?じゃあますますだめー」 「シメちゃんがおとりになってあげる!」 「だめー」 「むー…だってカイを守ってあげなきゃ…シメちゃんのことは親方が守って?」 考え込むヒゲ男。
2018-02-15 01:05:32「そだな。僕が守るよ。じゃあ一緒に乗ろう。なんかチャイルドシート的なものあります?」 防衛団の技師達あんぐり。 「ありません」 「工夫してもらえます?」 「やってみます」
2018-02-15 01:06:35そのあいだにもガンガンやられていく炒鋼。まさに炒鋼さんから奪う。パイロットのバイタルと機体寿命を奪うという感じだ。準備急ぐがらくた屋。 「よっし…いけそー」 「せまいよー」 「がまんがまん」 「うん。ねえ親方」 「なに?」 「ヒゲそったらかっこよくなると思う」 「えー」
2018-02-15 01:08:18最強ロボ炒鋼改、高機動型が出撃。ブースターでしゅごーっとジャンプしつつ廃棄地区へ移動。対空砲火の支援は薄くなるが、敵を誘い出せれば生活圏からは遠ざけられる。 「親方、ふるえてる?」 「ちょっとびびってるんだ」 「シメちゃん守ってね?」 「守る守る」 「ま、ビビビしてあげるけど」
2018-02-15 01:10:03シメちゃんのビビビが親方にあたる。くらくらするんじゃなくしっかりする。 クスリの力とは違い、やば味がない。 「すごいねこれ」 「えへへー。でもお腹減っちゃう」 「実はサンドイッチ持ってきたんだな。そこに入ってる」 「親方!好き!」
2018-02-15 01:11:17夜鳥が狙いを、一匹狼の炒鋼にしぼる。ビームビーム。 ブースターを使ってぎりぎりで交わす。 親方は地上から応戦のミサイル。同時にビーム。なんと命中。どんな名手だ。ぞシメちゃんのスペシメ光線バフのおかげか。 しかし夜鳥の光輪のようなエネルギーフィールドがはじいてしまう。
2018-02-15 01:12:57「おー…あれってもしかして…シメちゃんが乗ってきた船のパワーかな」 「えー…やだ…」 「こいつはライライの狙撃でもどうにもならないか…」 考え込む親方。でもあんまり余裕なし。 「あのね親方」 「なに」 「サンドイッチおいしかった」 「やったね」 「シメちゃんのビビビで弱らせるね」
2018-02-15 01:14:26「そこをライライの狙撃か。いいね」 通信塔にむかって投光器を明滅させる。届いていることを疑いもしない。 絶対にスンシンは見ている。親方は目が悪くて返事を見れないけどね。 「…よーし。じゃちょっと無茶しちゃうぞー」
2018-02-15 01:15:49また空からそそぐロボビームをひらりとかわす。 ヒゲ男はにまにま。クスリとスペシメ光線バフがまじりあい頭がハッピー。 常に全身をむしばむ痛みもちょっと忘れられる。 「シメちゃんしっかり捕まっててね」 「うん!」 ブースターを全開。急上昇。一個切り離し。さらにもう一回そこで急上昇。
2018-02-15 01:17:31「ヒャッハー!!!」 謎のテンション。子供がいるのに急に大きな声出すのはよくないね。 まあクスリキマるとしょうがない。夜鳥より上に出て、ビームをぶつける。 エネルギーフィールドがはじく。そのまま炒鋼は降下しながらロボナイフで斬りかかる。 それもエネルギーフィールドがはじく。 「今」
2018-02-15 01:19:08ビビビビ。スペシメ光線。まあ目には見えないんだけど。 夜鳥がたじろぐ。獣から部族から謎ロボまでなんにでもきく便利な光線。 エネルギーフィールドが不安定になったところで、親方がロボ銃の全弾を叩きこむ。跳弾とか気にしない。いやしてるのか。まあとにかくがががががが…と。
2018-02-15 01:20:28「よっし逃げよ」 シメちゃん抱きかかえたままハッチを開いて脱出。 なぞのパラシュート展開。これは防衛団の装備ではなくがらくた屋の商品です。広告つき。 「すごーい!お空だ!」 「あーいい風だー」
2018-02-15 01:21:44