部族化シリーズ 最終話?~空からやってきた王子様が最強ロボに乗っていろんなものを壊す話~

2月のハットマンズショーもいよいよ最終幕……かもしれない
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帽子男 @alkali_acid

「スンシンの部族の女も抱いてみたい」 夫がにやりとする。 「キョウマ…あなたって人は…」 「ほかにも世界には色んな女や男がいるだろう。強く賢いものは部族に加えよう。根無し草になるつもりはない。俺の帰る場所はこの森だ。だが森だけでは狭い」

2018-02-17 12:57:21
帽子男 @alkali_acid

「共有妻を連れ出すのは氏の皆が困るのではない」 「いや、カオルコがいる。それに必要なら新たな氏長になったシメが共有妻をまた選ぶ。旧人の巣は近々またひとつ潰れるだろう。そうすれば女はさらに増える。お前が言っていた男と共有妻が同数とか、あるいは女の方が多い氏もできるかもしれん」

2018-02-17 12:59:16
帽子男 @alkali_acid

「そんなこと…そんなつもりで私は」 「男だけの氏、女だけの氏。そういうものもできるやもしれん。俺は構わん。シメとつがって気持ちが晴れた。強いものが最もうまく生きられるようにすればよいのだ…それにそうしたら、お前は俺だけの妻にするぞユミ」 「なっ…」

2018-02-17 13:00:58
帽子男 @alkali_acid

「たまにお前がほかの男に抱かれるのは悪くもないが。しかしやはり俺はお前を独り占めしていたい」 「…キョウマ…でもあなたはほかの男や、女を抱くでしょう」 「当たり前だ」 「ずるい人なんだから」 口づけ。産後だというのにすでに盛りたくなっている。 「…こら。シメにあれだけされたのに」

2018-02-17 13:02:41
帽子男 @alkali_acid

「あれもなかなか悪くない。お前やスンシンの気持ちが少しわかった気がするぞ」 「まったくもう…」 だが赤ん坊が目覚めて泣き始めたので、キョウマは乳酒かむつきかを確かめ、むつきと分かるとそさくさととりかえにかかる。なかなかうまい。

2018-02-17 13:04:06
帽子男 @alkali_acid

◆◆◆◆ 「ほんとにシメかよ…」 カイは超絶でかくなった友達を見上げた。部族の男の誰よりも大きく、そして暴力的なまでに張りのあるおっぱい、整った縹緻。ほっそりと長い四肢。しかし筋肉もしっかりついている。腰布の下にはものすごい凶器があるっぽい。 スペースシーメールのシメちゃん。

2018-02-17 13:05:57
帽子男 @alkali_acid

「カイ、シメが小さい方がよかった?」 声もちょっとハスキーになってる。短髪の少女はもじもじする。 「んなことねえけどよぉ…きれいすぎて…かっこよすぎて落ち着かねえよ…」 「えへへ。嬉しい!」

2018-02-17 13:06:55
帽子男 @alkali_acid

遠巻きにしている双子も目がハートだ。 「すごいぞシメ」 「なんて強そうなんだ」 「父上よりすごい」 「シメの子が産みたい」 飛行獣使いのヒコもおっぱいガン見。 「うわ…でかい…カオルコよりでかい…でも男なのか…いや…何考えてんだ俺…」

2018-02-17 13:08:22
帽子男 @alkali_acid

パンダがのしのし歩いて来る。投光器かちゃかちゃで挨拶。 みんなその喋り方をだいたい覚えてきた。 「あ、ライライ」 「けむくじゃらか。今日は何の勉強だ。この前の天文学は面白かったぞ」 「私は幾何が面白かった」

2018-02-17 13:09:54
帽子男 @alkali_acid

部族は機械が嫌いだが、学問はそうでもない。面白いパズルだと思っている。 飲み込みも速い。生活に応用するつもりもなく、発展させる気もないが遊びにするのはよいようだ。大人もよく講義を聞きにくる。 パンダは今日は自習ですと伝えてから、 "シメ。部族化したんだね" 言わずもがなの台詞を。

2018-02-17 13:11:55
帽子男 @alkali_acid

「うん!した!どう?」 "すばらしい。スンシンもこの部族に定着した。我々マオパンダにとっては話の通じる、有力な同盟者が誕生しそうだ" 「分かんない」 “今はまだ分からなくていい。いつか空から敵が来たとき、シメやシメの子孫が我々の子孫と手を取り合えることを望む” 「んー?」

2018-02-17 13:13:48
帽子男 @alkali_acid

ライライはさらにかちゃかちゃ。 “ただ、獣のことが気になる” 「けもの?」 “中型獣や大型獣、いずれ我々と共存できるようになると思うが、まだ時間がかかる。そのずれが、予期せぬ被害をもたらさないか心配だ。あの人工知能の警告は正しかったかもしれない”

2018-02-17 13:15:52
帽子男 @alkali_acid

「コンプータ君?シメあの子きらーい」 “新人類や異人類の判断に、パンダが干渉すべき問題ではない。そう思ったのだが、やはり間違いだったかと悔やんでいる。保険はあるが” 「難しいよライライ」 まわりも全然ついていけてない。 “まだ君は十分に強くはない。シメ。子孫もいない”

2018-02-17 13:17:49
帽子男 @alkali_acid

「うーん…だってシメ、カイとはもっとゆっくり…」 “もし旧人類の機械文明を滅ぼした獣の生き残りが襲ってきたら、ためらわず逃げるんだ。シメの力ではまだ勝てない” 「分かった…でも…シメ、カイは守るし…」 “すべてを守ろうとしてはだめだよ。大切なものだけにしなさい”

2018-02-17 13:20:51
帽子男 @alkali_acid

ライライはそのままのそのそと移動。スンシンのもとへ。乳酒を飲んでいる。 「…どうしたもふもふ野郎」 “やあつるつる野郎。ところで不思議なのだが、その乳酒にいわゆるアルコールは入っていないが、酩酊効果はあるのか” 「酔える」 “恐らく軽微な転生が似た作用をするのだな”

2018-02-17 13:22:40
帽子男 @alkali_acid

「転生か…転生とはなんだ」 かつてがらくた屋で交わしていたようなとりとめのない会話。 “かつての大東亜連邦皇国の一部で、初めて観測した現象、異世界転生は、すぐに旧人類の各国による研究対象になった” 「ふん」 "色々付随するものはあったが、突き詰めて言えば、情報の伝播だ"

2018-02-17 13:24:54
帽子男 @alkali_acid

「情報の…伝播。分からんな」 "例えばある人間が、思考だけを別の世界に移動させる。このとき物質は伴わない。単に人格という情報だけが渡る訳だ" 「…それで」 "だが、その情報が別の世界に激変を起こす。つまり情報というのはそれ自体がすさまじいエネルギーを持っているのではないか"

2018-02-17 13:27:18
帽子男 @alkali_acid

「なるほどな」 "合衆国ではこの情報のエネルギーを軍事に応用できないかを考え、転生弾という大量破壊兵器を生んだ。人民共和国では情報によって生物を書き換えられるのではないかと考えた…大東亜連邦皇国は宇宙のかなたに…だが異世界転生をもてあそぶことは危険だった"

2018-02-17 13:30:43
帽子男 @alkali_acid

「どう危険なんだ」 "情報の伝播は一方通行ではない。別の世界からもこちらの世界に何かが渡ってくる可能性がある。一度情報を遮る壁をなくしてしまうと…まじりあいが起きる" 「それが…俺達の世界に起きたことか」 "そうだ。我々や君達、新人類は恩恵を受けた" 「どうだかな…」

2018-02-17 13:32:46
帽子男 @alkali_acid

パンダはごろんと転がる。 "そうだな。まだ分からない。すべてが不安定だ。空のかなたには未知の敵がいて、転生後生態系の大型生物、獣達は制御不能だ…旧人類の兵器も危険だが" 「ライライ、お前はモトキ…親方が心配じゃないのか」 "ああ、彼は…必要になればむこうから来る" 「どういう意味だ!」

2018-02-17 13:35:11
帽子男 @alkali_acid

"旧人類には、旧人類の最後のつとめがある。時間を稼ぐのだ。新人類や異人類が新たな環境に適応するまでの時間を" 「ライライ、お前は本当に親方を」 "スンシン。旧人類の寿命は短い。パンダがバイオ虎を伴侶としても、いつうかは先に失う" 「やめろ!そんな言い方は」

2018-02-17 13:37:01
帽子男 @alkali_acid

"そんなバイオ虎を親代わりにし、ずっと依存する子パンダは不幸だ。虎を失ったら立ち直れないかもしれない" 「…ライライっ、いくらお前でも許さないぞ…」 "親離れをしろ。大人になれスンシン。どんなに虎が愛しくても、どこかで同じパンダ同士と付き合わねばならない" 「俺は!!」

2018-02-17 13:39:11
帽子男 @alkali_acid

頭上をあわただしく飛行獣がよぎっていく。見張りに出ていた部族が戻ってきたのだろう。 "何かあったな" 「…待て、まだ話は」 "親方を想うなら、親方が拾ったシメを守るんだ。スンシン。あの子が我々の希望だ" 「守る…何から…」 "分からないが、例の人工知能の警告は当たっていたようだ"

2018-02-17 13:41:02
帽子男 @alkali_acid

◆◆◆◆ 大型獣。多すぎる。あまりにも多すぎる。 防衛団は勇敢だった。ロボもドローンコマンダーも、タンクも強力だった。 だが東四居住区は複数の大型獣を一度に相手どった経験はなかった。 モトキ総隊長の時代でさえ。一度に一匹だった。

2018-02-17 13:42:37
帽子男 @alkali_acid

「第五隊から連絡がありません」 「呼びかけ続けろ」 「第七隊は持ち場をもう維持できないと」 通信機は解禁。今更封鎖しても意味がない。 だが聞こえてくるのは悲しいお知らせばかり。 「夜鳥…夜鳥さえあれば…」 行政委員長代理カズヨシ君はアンガーマネジメント連打。

2018-02-17 13:44:54
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