部族化シリーズ 最終話?~空からやってきた王子様が最強ロボに乗っていろんなものを壊す話~

2月のハットマンズショーもいよいよ最終幕……かもしれない
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帽子男 @alkali_acid

なかなか手強い超大型獣。ビームもエネルギーフィールドで防ぎきれない。 衝撃ががんがん来てしんどい。 「はー痛覚いっそ全部なくなってほしい」 「脳直結するかー?」 「だめー」 「転生弾を撃ち込めばがカタがつく」 「そいつはせめて海上でやりたかったな…ここはだめだ」

2018-02-17 15:35:55
帽子男 @alkali_acid

「ではどうする旧人類。策はあるのか」 「見ろよ。だんだん肉片がはがれて、やつの中心部が出てきた」 「何もなしの力おしか」 「ロボビームは利くからそれでいいんじゃない」 シンプルに削って倒す。まあそれまで機体が持てば。

2018-02-17 15:37:36
帽子男 @alkali_acid

「いやーカズヨシ君には一生恨まれるな。大事な夜鳥をおしゃかにしそう」 「転生弾を使え」 「だめだめ…あっくそビームが」 ロボビームが出ない。発射装置がいったみたい。 「えーん…」 「転生弾を使え」 「やだ」 「死ぬぞ」 「どっちにしろ死ぬんでね」

2018-02-17 15:39:19
帽子男 @alkali_acid

ペン型の装備を両手に、あと榴弾と反作用弾。PPAP攻撃。 「ピコタロー君どう!あいつのビーム袋みたいのむき出しになったぜ」 「だがもう武装がないだろ」 「ナイフじゃだめかなあ」 随伴の野生飛行獣が上がって来る。よけて特攻は無理っぽい。 「あー…かっこよくできないな…あとは」

2018-02-17 15:41:00
帽子男 @alkali_acid

エネルギーフィールド。もともとはシメちゃんの乗ってきた船がパラシュート代わりに使ってたやつ。ビームを跳ね返すのに役立つ。でも攻撃力はあんまり。 「うーんうーん…ちょっとピコタロー君のすけべ。脳直結はだめだって言ったじゃん」 「もうお前は死ぬ。この機体に無茶はさせられん」

2018-02-17 15:42:30
帽子男 @alkali_acid

「まあ防衛団のころ部下もいっぱい死なせてきたし、獣もたっぷり殺してきたし…因果応報か…でもピコタロー君のそれはだめ。だめでーす」 クスリきれたのでパイプを噛む。ハッパに火は入ってない。 「…あとビーム一発でいいんだけどな」 ロボ銃が弾切れ。視界のすみにちかちか発光器。

2018-02-17 15:44:12
帽子男 @alkali_acid

「おほほ、あのパンダ…おいしいとことってくねえ」 信号を返す。 しばらく長めのやりとり。 「転生弾を」 「ブブー。別のやりかたでいくよ」 スナイパンダが撃つロボビームが下の森から放たれる。しかし超大型獣ではなく夜鳥改に。エネルギーフィールドを一点に集約して偏向。

2018-02-17 15:45:54
帽子男 @alkali_acid

弾いたビームが、超大型獣のむきだしのビーム袋っぽいもんに命中。大爆発が起きる。 エネルギーフィールドが焼き切れそう。 吹き飛ぶ最凶ロボ。 「とったどー!!!!パンダが」 「パンダが」

2018-02-17 15:47:18
帽子男 @alkali_acid

次の瞬間、槍がコックピットハッチを貫いて親方の胸に刺さる。 「うげ…」 落下。蚊とんぼが落ちるがごとく。

2018-02-17 15:48:22
帽子男 @alkali_acid

◆◆◆◆ ユミもカオルコもナギもナタもヒメもヒコもスンシンも部族の男や女はまだ残りの中型獣や小型獣と戦い続けていた。だがもはや趨勢は決した。 キョウマは最悪の敵を打ち落とし、ほかの誰もまだ気づかぬうちにそばへ接近した。 「虫けら」 「ひでえ…」 「俺の森に入った貴様が悪い」

2018-02-17 15:50:35
帽子男 @alkali_acid

キョウマは告げる。 「ユミは渡さん。シメも、スンシンも。貴様のような機械に穢れた旧人にはな」 コックピットの奥から答えがある。 「考えは変わる」 「なんだと」 「機械についての考えもいつか変わるさ。それと、居住区に住んでる連中はもう旧人じゃない。都市部族だ」

2018-02-17 15:52:15
帽子男 @alkali_acid

「ほざけ」 「対等に扱え。カズヨシという男がいる。話の分かるやつだ。都市部族がいることに、いつか君達密林部族も感謝するだろう」 「くだらん」 「ところで折角だから、このロボもぶっ壊してってくれない?」 「…」

2018-02-17 15:53:53
帽子男 @alkali_acid

キョウマはさがった。 「いや…それに触るつもりはない。貴様はそこで、不適応で死んでゆけ。時間をかけてな」 「おいおい…そりゃ僕と君のあいだに色々あったし、昔は僕もかみついたが…お互い大人だし、そこまで嫌わなくてもいいだろ…」 「これまで犯した過ちを悔いて死ね」 部族の氏長は去った。

2018-02-17 15:55:53
帽子男 @alkali_acid

「え、せめて槍ぐらい抜くよな…性格悪…」 モトキだったものはつぶやく。 「転生弾を使え」 コンプータ/ピコタローが告げる。 「吹き飛ばせ。この森一帯を」 「は?」 「今ならシメも殺せる。そうすれば空からの敵に抗えず新人の世界は滅ぶ」

2018-02-17 15:57:33
帽子男 @alkali_acid

「…世界は滅ぶ…」 「どちらにせよ旧人は生き残れない。お前が言うように居住区の連中が都市部族になったとして、それは旧人ではもはやない」 「世界を…」 「このロボにはそれだけの力がある。世界を滅ぼす力が」 「ピコタロー君も死ぬが」 「かまわない。おいらの任務はシメの抹殺だ」

2018-02-17 15:59:16
帽子男 @alkali_acid

「分かるだろうモトキ。お前とおいらはもはや一つだ」 「ああ分かる分かる。体がほぼ死んだからね。同化が進んでる」 「その割に元気なのが妙だな」 「まあね」 「奴等を皆殺しにしろ。旧人を拒んだ世界を。その世界で栄える新人どもを」

2018-02-17 16:01:14
帽子男 @alkali_acid

モトキだったものは笑った。 「なるほどなあ」 「なにをためらう」 「いやもっともだ」 「ではやれ」 「パンダはどうする」 「なに?」 「ほかの超大型獣はどうする?」 「何の話だ」 「南極にある名状しがたき存在は」 「そんなデータはない」

2018-02-17 16:02:45
帽子男 @alkali_acid

「新人なんてこの世界のほんのちっぽけな一部だ。あのキョウマだって、ただ部族を生き延びさせようとあがいてるだけだ。宇宙のはてにも敵がいるなら、そこも世界が続いてる。ロボの爆弾一発で滅ぼせやしないよ」 「だが復讐にはなる」 「まあね」

2018-02-17 16:04:18
帽子男 @alkali_acid

夜鳥改は再び飛び立つ。不完全な光輪で。 眼下で驚愕している氏長に両手で中指を立てて通り過ぎる。 もう操縦士は死んでいるので速度に制限がない。 「なぜ死体になったお前の制御を奪えないのだ」 「不適応だからさ。君からの情報の伝播がうまくいかない」 「なるほどな」

2018-02-17 16:06:08
帽子男 @alkali_acid

東四居住区の通信塔の先端をエネルギーフィールドの刃で断ち切る。 「そんなことができるのか」 「脳直結したから分かったんだ。この技使えばもっと楽だったね」 「だからやろうと言ったんだ」 通信塔を取り込む。強力な信号を発する。海へ向かう。

2018-02-17 16:07:32
帽子男 @alkali_acid

「何をするつもりだポックリ王子」 「せめてアンデッドプリンスとかにしてくれ」 「かっこわるいぞ」 引き寄せる超大型獣を、まだこんなにいたのかって数だ。 「多いねえ…」 「無意味な虐殺だ」 「それはそう思う。だけど新人…部族には時間が必要だ…彼等はまだ超大型獣に対応できない」

2018-02-17 16:09:14
帽子男 @alkali_acid

「ここで数を減らしておく」 「絶滅は無理だ。周期を重ねるうちに回復してしまうかもしれないぞ」 「絶滅させたら、空からくる敵と戦うとき、使役できないだろ…時間稼ぎだといったじゃないか適応までの」 「お前のやろうとしていることはピコタローとしての使命に完全に反する」

2018-02-17 16:11:00
帽子男 @alkali_acid

十分な数が集まった。海は巨大怪獣の運動会だ。ビームがコンサート会場のレーザーみたいに飛びまくってる。 「すごい眺めだ…きれいだな」 「新人も旧人も…この眺めを見ることはないだろう」 「やったなピコタロー君。コンプータ君か?僕達だけの特等席だぜ」 「不思議だ」 「なにが」

2018-02-17 16:12:47
帽子男 @alkali_acid

「お前と脳直結していると、すべての問題がみずからと無関係のように認識される。どうでもよく…」 「だろ?そう考えると結構楽なんだよ」 転生弾を起動する。 「さよならだ」

2018-02-17 16:14:23
帽子男 @alkali_acid

腕輪が明滅。あたりに異世界からの情報が書き込まれる。 それはこの世界を統御する情報と衝突し、物理法則を上書きし、過負荷を起こし、訳も分からず集まった巨きく強く、悲しい超大型獣の群を飲み込み、すべて葬り去った。

2018-02-17 16:16:28
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