部族化シリーズ IF その1~僕っ娘なお姫様が相思相愛の幼馴染(♀)を部族の男に寝取られたあげくに自分も襲われる話~

異性同士で相思相愛だった世界線より、同性同士で相思相愛だった方がだいぶ幸せになれた親方。若き氏長はポイッで。 幸せ……幸せってなんだ?
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帽子男 @alkali_acid

「お前か。女の妻といううわさの…珍しいやつ」 大河部族が話しかけてくる。なんか気になる表現だがかっかせず流す。 「がらくた屋のものだけど。何か用」 「このパンダを買わないか。胆を食えばパンダの叡智が身に着くと言われている」 「パンダの叡智…パンダの叡智とは…」

2018-02-19 01:16:11
帽子男 @alkali_acid

「パンダは知恵深き獣。異世界転生前のくさぐさをことごとく記憶にとどめ、さらにあまたの学問をつむぐ」 「そんな偉いなら狩るのはまずいのでは」 「だがムカつくし縄張り争いがあるので狩るのだ」 「えっ、かわいいのに…」

2018-02-19 01:17:34
帽子男 @alkali_acid

パンダがむかつくとか大河部族はずいぶんだなと思う。 こんないたいけでもふもふした動物が悪いことをするはずがない。食べ物も竹とか笹とか果物だと図鑑にあった。 「でもまあしかたないか…ここのならわしだし」 パンダがいたいけな瞳で見つめてくる。 「やめてよ」

2018-02-19 01:19:01
帽子男 @alkali_acid

男ではない。子供でもない。だがしかしもうユミちゃんの溜息を聞くのはまっぴらである。モトカちゃんにも学習能力はある。人並にある。お姫様でもそこまで浮世離れしていない。 「じゃあねパンダ君」 「買っていけ、女の妻…お前の体を抱かせてくれるだけでいい」 「は?」

2018-02-19 01:20:44
帽子男 @alkali_acid

さすがにひきつる共有妻。 「それを聞いて決心ついた。さようなら」 立ち去るモトカちゃん。理性と状況判断の勝利だ。しかしパンダはいきなり拘束を引きちぎり、部族を超える俊敏さでまたたく間に大河の民を叩きのめした。 「は?」 ウィンク。こいつ、猫をかぶって、いや熊猫をかぶって。

2018-02-19 01:22:36
帽子男 @alkali_acid

「モトカちゃん私達約束したよね?もう何も拾わないって」 「違う!拾ってない!あいつが勝手についてきたんだ」 「モトカ。船が子供と動物の重みで沈むぞ」 「スンシン君も子供の一人だろ!」 「俺はもう違う…モトカの夫の一人だ」 「なっ…ちょっ…生意気だな…」

2018-02-19 01:23:58
帽子男 @alkali_acid

パンダはライライというらしい。 どこから手に入れてきたのか投光器を明滅させて会話を成立させてきた。 本人…否、本熊いわく学者で、人間の生態を調査しているのだとか。 「狩られていたのでは」 「狩りというものを体験したみたかった」 「…こいつ…」 確かに大河部族の言う通りムカつくのでは。

2018-02-19 01:25:39
帽子男 @alkali_acid

「部族というのはたいてい強い。環境によく適応している。こんなに弱そうな部族の個体がいるとは驚きだ。観察させてほしい」 「弱そう?あのね。パンダにだって子供はいると思うけど。みんな大きくなれば」 「子供の話はしていない」 「は?」

2018-02-19 01:26:52
帽子男 @alkali_acid

ライライ。明らかに、がらくた屋の特定の人物をナメくさっている。 「え、僕そんなに雑魚感あるか…そうか?…」 シメちゃんとカイがよじよじのぼってくる。双子が面白そうにおっぱいをパンチしてくる。最近そういうのに興味が出てきたらしい。 「やめなさい。人を殴っちゃだめだ」

2018-02-19 01:29:02
帽子男 @alkali_acid

「モトカ…今夜は俺の番だ」 スンシンが手をつかんでぐいぐいひっぱる。待てないという態度。 「あ、うん。そうだけど…」 「孕んでくれ」 耳元でささやいて来る少年。もう夫気取り。 「いやこれ以上子供が増えるのは」 ユミちゃんは別の穴の利用推奨というかほぼ強制なので怒りそう。

2018-02-19 01:31:40
帽子男 @alkali_acid

「ユミは…モトカを孕ませられない…俺は…できる」 かなりまた過熱した感じのスンシン。 「うん。まあ機能としてはそう」 「モトカを孕ませられる…氏の男は俺だけだ」 「そうだけど…そもそもそれ重要…なの…は…分かった…から…ちょっ…寝所まで…待っ…」

2018-02-19 01:33:45
帽子男 @alkali_acid

パンダは興味深そうに遠目にみやる。 「驚くべき弱さだ。あんな弱い個体がいたとは。旧人と新人をつなぐミッシングリンクの可能性がある」 ちび達は毛皮によじのぼっている。カイとシメが腹の上でお互いをピシャピシャ叩き合っている。どっちかが泣く。双子は耳を引っ張る。 「とれる?」 「とれる?」

2018-02-19 01:35:57
帽子男 @alkali_acid

◆◆◆◆ まあなんだかんだでモトカちゃんも赤ちゃんできる。 大きい腹で実家戻ったときは、弟はなんかもう相当あれな感じになり、ロボビームを取り外して銃にしたやつを持ち出して高い建物からスンシンを狙撃しそうになったがユミちゃんに取り押さえられ、武器は没収されれた。

2018-02-19 01:37:53
帽子男 @alkali_acid

「ライライ。これ使ってみる?」 「たのしそう」 ということでパンダの装備になる。 スンシンは護身用に片刃の直剣をしつらえる。 「命を狙われている気がする」 「うん狙われてる。モトカちゃんのお腹大きくしたから」 「ユミじゃないよな?」 「どうかな」 氏長と男の会話。やや緊張感。

2018-02-19 01:39:43
帽子男 @alkali_acid

みんなどんどん大きくなっていく。親二人もすっかり成熟した女に。 「モトカちゃん。ほんとに気をつけて。ライライか…ちっ、スンシンをそばに置いといて」 「あのさあ…僕も部族だから身ぐらい守れるんだよね」 「いいから」

2018-02-19 01:41:16
帽子男 @alkali_acid

なぜクソ雑魚扱いなのか。 なぜなのか。がらくた屋の創立メンバーなのになぜ氏の最下位っぽい扱いなのか。 「おかしい…共有妻ってそういうあれなの?引き受けなければよかった?」 大きなお腹を抱えて歩く。シメとカイはちょろちょろ。 「あれなに!あれ!」 「シメちゃんねじり飴食べる!」

2018-02-19 01:43:21
帽子男 @alkali_acid

珍獣屋の軒先で悲しげになく巨大ペンギンとかいるが無視する。いくらなんでも拾わない。 子等を先にゆかせのんびり歩いていくと雑踏の中で尻を触って来る男がいる。 「は?」 部族の女に旧人が猥褻行為。しかも身重に。正気か。 絶句しすぎ動けない。さらに大胆になって揉んだりつねったり。

2018-02-19 01:45:51
帽子男 @alkali_acid

前にも指が回って来る。 「あのさ…君。こういうことしてると暴力沙汰になる確率の方が高いと思う」 胸を揉んでくる。乳がしぶくほどに強く。なんという命知らず。 「本当にやめような…」 殴った方がいいか。でもここで目立つとめんどうだ。部族というのは伏せてあるし。

2018-02-19 01:48:14
帽子男 @alkali_acid

「けっ、すきもんのめすぶたが…」 「ははは。いい加減に」 ごきん。 男の首が変な方向にねじれて倒れる。 「そおおぃ!?」 ナギが飛び蹴りでへし折ったのだ。ナタがそのアバラを踏みつけてとどめをさす。 「なにやって」 「モトカこっち」 「こっち」

2018-02-19 01:49:52
帽子男 @alkali_acid

とりあえず逃げる。 「なんであんな…命まで奪ったら…その必要は」 「モトカがはねのけてれば」 「殺さなかった」 「部族のくせに」 「弱くふるまうから…私達が殺す」 誰に似たのだろう双子は。血筋上の父であるあの男の人だろうか。一度も会わせていないのに。

2018-02-19 01:53:05
帽子男 @alkali_acid

「ぅっ…ぁっ、シメとカイは…」 「連れて来る」 シメとカイはまだ部族化していない。心配したが風のように消えた双子がすぐ連れて来る。どちらも殺人の現場は見ていないようだ。 「なになに?なんか楽しい!」 「シメちゃんふわふわパン食べたい!」

2018-02-19 01:54:06
帽子男 @alkali_acid

騒ぎになる前に居住区を出る。あざやかな手際で。 「…当分近づけないね」 「モトカちゃんの実家がもみ消してくれるといいな」 「うーん…うん」 ユミちゃんはモトカちゃんの肩を抱く。 「モトカちゃん。獣相手なら強いのに、どうして人間には弱いの」

2018-02-19 01:56:03
帽子男 @alkali_acid

「それは…だって…人間は」 「旧人も部族もみんな、敵になったら獣と同じだよ。叩きのめさないと」 「そうしてる…つもりだけど…」 「できてないよ」 キスをする。 「私が弱くしちゃったかな。モトカちゃんを」 「そんな…ことは…」 「でも…弱い方が好きかも…」 「んっ…」

2018-02-19 01:58:13
帽子男 @alkali_acid

例によって覗き見する連中がいる。 ナギ、ナタ、スンシンである。 「スンシン」 「なんだ」 「私達も氏の男になる」 「なる」 「お前達は女だ」 「でもなる」 「なる」 若者は怪訝そう。双子は真剣。 「共有妻を抱きたい」 「抱きたい」 「まだ早い」 「早くない」 「ない」

2018-02-19 02:00:33
帽子男 @alkali_acid

◆◆◆◆ まあ結局、時が経ち双子が成長してくると阻止する方法はあまりない。 「うう…僕…やっぱ底辺なのかな…」 生まれた頃から見守ってきた娘等に翻弄された翌朝、モトカはてくてくと東七居住区を歩いていた。だいぶ街の規模が大きくなっている。最近は大河の部族との取引が進んでいる。

2018-02-19 02:03:37
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