亀井秀雄『身体・表現のはじまり』読書メモ集

亀井秀雄『身体・表現のはじまり――改訂・現代の表現思想』(れんが書房新社、1982)の読書メモをまとめました。
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荒木優太 @arishima_takeo

亀井秀雄『身体・表現のはじまり』読了。『現代の表現思想』の改訂版。『感性の変革』の柄谷批判では、学的厳密性からの批判(文学史的常識の欠如、だっけ?)とともに、柄谷の身体性の無視を挙げていたわけだけれど、その内実に踏み込んだ理論を目指したもの…なのだと思う。

2018-02-28 18:39:30
荒木優太 @arishima_takeo

三浦つとむ、時枝誠記、メルロ=ポンティ、吉本隆明の批判的読解から亀井身体論が立ち上がる…はずなのだが、いかんせん、その内容が依然茫漠としている感があるのは私だけだろうか。「身体を抽象的に考えたらイケナイよ」以上の教訓って、ここにある?

2018-02-28 18:42:43
荒木優太 @arishima_takeo

亀井さんは、批判はうまいんだな。読んでてて、ふむふむってなる。が、その先に現れる(と読者が期待するはずの)ポジティブな主張ってなると、ピンとこない、或いは、捉えにくい、或いは、極めて抑制的な感じがする。

2018-02-28 18:45:50
荒木優太 @arishima_takeo

ここんところの使い勝手の問題が、柄谷と大きく異なるのだと思う。色んなところでミスがあっても、「〇〇は近代が生んだもの」論ってスゴイ論文でも使いやすい(し、実際に量産もされてきた)。で、亀井さんの方にそういう使える方法があるかっていうと、なかなか難しいのでは。

2018-02-28 18:52:04
荒木優太 @arishima_takeo

(一応、断っておきますけど、使い勝手のよさを比較しているだけで、亀井よりも柄谷の方が学問的に優れているみたいな話をしてるわけじゃないですよ)。

2018-02-28 18:53:38
荒木優太 @arishima_takeo

どうやったら亀井理論は復活できるのだろう、ってことを考えてみたいんだな。現状認識として、亀井理論をうまく使った若手の論文とか存在しないのでは。(また比較で申し訳ないが、柄谷理論は木村洋『文学熱の時代』のような名著を少なからず支えてもいるわけで)。

2018-02-28 18:57:05
荒木優太 @arishima_takeo

たとえば、亀井さんがいま生きてたら『こつとスランプの研究』にあったような身体知、つまり身体ー言語ー環境のトライアングル、具体的にいうと自己モニタリングしてフォームを言語化しながら体を動かしていくとボーリングの成績が上がっていくよ的な話に興味を持っていたかもしれない。

2018-02-28 19:05:05
荒木優太 @arishima_takeo

が、こういう方向にいくと、図式(シェーマ)の話にならざるをえず、そして図式の話をするってことはカント的にいえば想像力の問題なわけで、なんていうか、少なくとも私の手に負えないなって感じがする。想像力論が難問なのは三木清読んでりゃ分かる。

2018-02-28 19:07:54