日向倶楽部世界旅行編第38話「航空戦艦日向の恋 その2」

三隈グループ @Mikuma_company

そして、日向は仰向けに倒れた二人へ歩み寄る 「ば、バカな…ふぐぅっ…！」 彼女はタイタスの大きな身体を無言で蹴飛ばし、ヒールのかかとで踏みつけた。 「に、兄ちゃん…！」 その光景にスパローは息を呑む、すると日向はタイタスを一際強く踏みつけ、今度は彼の方へと近寄った。

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「ひ…！ひぃっ…！」 スパローはガタガタと震えた、自身を見下ろす日向の目が、あまりにも恐ろしかったからだ。 先程まで手玉にとっていた女が圧倒的な力で迫って来る、その恐怖は知恵の実のように、彼に罪の意識を与えた。 「た、助けてっ…！」 逃げようにも足腰が動かない。

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そんなスパローの鳩尾を、日向はヒールで強く踏みつけた、かかとが折れ、砂浜に転がった。 「う…うぐっ…！」 そして馬乗りになり、彼の頭を地べたに強く押さえつけた、スパローは目をそらす事も許されず、怒りに見下ろされる。 恐怖におののく彼に、日向は拳を振り上げた。

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次の瞬間 白砂が舞った 日向の拳は、スパローの隣の砂浜に打ち付けられた。 「え…？」 やがてしばらくすると拳を戻し、日向は彼を解放して静かに立ち上がった。 「な…なん…で…」 か細い声で彼は訊ねる、日向は背中を向け、静かに言った 「…一度は惚れた顔だ、傷付けるのは気分が悪い。」

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その様子を見て、遠くの草陰で最上が言った。 「…初霜、帰ろう」 「えっ？でも…」 「帰るんだ。ボクらはもう、ここにいちゃいけない。」 いつもの穏やかな調子とは違う彼女に気圧され、初霜はその言葉に従った。 二人は浜辺から静かに立ち去った。

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一方の日向は、背を向けたままスパローに向けて言った 「…私の前から消えろ、二度と…二度と現れるな…」 恐ろしく威圧感のある言葉、威勢を誇っていたギガント兄弟もこれには震え上がり、よろよろと浜辺を立ち去った。 そして浜辺は寂しく、静かになった。

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「…全く、あんなのに引っかかるとはな…油断し過ぎたな、ハハハ…」 日向は自嘲し、かかとの折れたヒールを脱いだ 「三隈に見立ててもらったこれも台無しだ…やれやれ、この時間だし歩いて帰るしか無いか。」 彼女はそう言って笑うと、素足で浜辺を歩き、帰路についた。 〜〜

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〜〜 やがて日向がホテルに帰り着いたのは、日付の変わった後だった。 「最上達は…寝てるか、まあ当然か」 真っ暗な部屋の中、携帯の明かりを頼りに歩く 「ふぅ…さて、シャワーでも浴びるか」 ハンドバッグを置き、カーデガンを脱ぎ、バスルームへ向かう。

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白く明るい豪華なそこへ行くと、ボロボロに破れたストッキングを脱ぐ、血や土や砂でひどく汚れていたそれを見て、日向はまた笑った。 「ふぅ、全く酷い目に遭ったもんだ…」 何もかも脱ぎ、シャァっとカーテンを閉じ、蛇口をひねる、シャワーから少し冷たい水が出た後、湯が出始める。

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頭上から湯が雨粒のようにザーザーと降り注ぐ、湯は髪を伝い頬を伝い、身体を伝う、日向はシャンプーもソープも取らぬまま、それを浴び続けていた。 たくさんの水が流れた、流れた水は床に落ち、排水溝へと消えていった。 第38話 「航空戦艦日向の恋 その2」 おしまい

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【ギガントタイタス】 ギガント兄弟の兄、名前は当然偽名。 大きな身体とスキンヘッドが特徴、ハンサムな弟を引き立てる為ガラの悪い恰好を常にしている。 昔はそこそこ強い力士だったが、マゲが結えなくなって引退、詐欺師となった。 動きの素早い弟のコンビネーションは抜群。 pic.twitter.com/7TfYfhIMjn

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【ギガントスパロー】 ギガント兄弟の弟、名前は当然偽名。 ハンサムなマスクとスマートな身体が特徴、彼は女を口説き貢がせる役をやる。 昔はナンバー1ホストだったのだが、自分のルックスと口がどこまで通用するか試したくなって詐欺師となった、力の強い兄とのコンビネーションは抜群。 pic.twitter.com/SvuV5hPVPt

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【ギガント兄弟】 最強詐欺師を名乗る兄弟、兄は身体が大きく強面なギガントタイタス、弟はハンサムでスマートなギガントスパロー。 ハイドロ博士の刺客であり、得意のマッチポンプで弟が日向を恋の罠に陥れ、傷心につけ込み倒す算段だった。 しかし戦闘力が段違いだったため、一瞬で敗北した。 pic.twitter.com/wSDJXMnmhu

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