「作家とマンガ誌の温度差がちょっとまずい域に来ている」漫画編集が語る出版社のこれから

編集者が欲しがるようなセルフプロデュースできる作家は出版社を必要としていないのでは、という論
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荻野謙太郎(マンガ編集者) @gouranga_

連載&主な立ち上げ担当作品 📚とある科学の超電磁砲@冬川基 📚とある科学の心理掌握@乃木康仁 📚戦争は女の顔をしていない@小梅けいと 📚ニンジャスレイヤー@余湖裕輝 📚ソードアート・オンライン プログレッシブ@比村奇石 📚姉なるもの@飯田ぽち。 📚アエカナル@笹倉綾人 他の担当作は下記URLをご覧ください

booklog.jp/users/gouranga…

荻野謙太郎(マンガ編集者) @gouranga_

過去半年以内に商業原稿を描いているマンガ家さんに質問です。今まで付き合ってきた編集者、ざっくり分けると有益ですか? 有害ですか?

2018-03-02 01:35:19
荻野謙太郎(マンガ編集者) @gouranga_

作家とマンガ誌の間の温度差がちょっとまずい域に来てるぽいので、今から徒然に書きます。どうもマンガ誌が新連載をどういう風に回してきたかから書かないといけないぽい。

2018-03-18 22:36:07
荻野謙太郎(マンガ編集者) @gouranga_

マンガ誌から新人がデビューするには大きく分けて2つのルートがあります。1つ目はマンガ賞の投稿や持ち込み等の、作家側から働きかけるルート。大手誌はこちらが主流ですが、業界全体で見れば少数派だと思います。今回はこちらには触れません。

2018-03-18 22:42:47
荻野謙太郎(マンガ編集者) @gouranga_

マンガ家志望の子の気持ちになって考えればわかりますが、子供の頃からマンガを描いている、本気でマンガ家になりたい子は超有名誌、ようはジャンプ編集部とかに持ち込みに行くわけです。大多数のマンガ誌は志望者の量も質も足りないので、外から作家を連れてこないと回りません。

2018-03-18 22:49:38
荻野謙太郎(マンガ編集者) @gouranga_

2つ目は編集者が作家をスカウトしてデビューさせるルート。スカウトのための狩場は時代により流行り廃りがあります。リアルでは同人誌即売会とエロマンガ誌がある一方で、インターネット上ではpixiv→twitterの流れが強まりつつあります。ここまでが前置きです。長い。

2018-03-18 22:57:15
荻野謙太郎(マンガ編集者) @gouranga_

SNS普及以前と以降では、作家さんを取り巻く環境が大きく異なります。作品を大勢の人に読ませたり売ったりしたいと思った時、昔はほぼ出版社一択しか選択肢がありませんでした。ですが今はtwitterやpixivがあり、とらのあなやメロンブックスがあり、dmmやdlsiteがあり、entyやfantiaがあります。

2018-03-18 23:09:16
荻野謙太郎(マンガ編集者) @gouranga_

最近の編集者は作家のフォロワー数やバズったネタのRT数を重視するという話があります。実際そういう編集もかなりの数いると思うのですが、彼らが見落としていることがあります。彼らが好むタイプの作家は「出版社の力を借りるまでもなく、自力でファンとバズったネタを既に獲得している」のです。

2018-03-18 23:15:05
荻野謙太郎(マンガ編集者) @gouranga_

一方スカウトする側の出版社はどうでしょうか。マンガ誌は毎年10%に迫るペースで売上を落とし続けて底も見えません。雑誌の部数を背景にした宣伝力もいまやありません。よほど話題性があるタイトル以外はろくに宣伝予算もつかず、初週の売上で打ち切りが決められます。そこにダメ押しのマン◯村です。

2018-03-18 23:26:53
荻野謙太郎(マンガ編集者) @gouranga_

「単行本は売れないし、出版社で描いても宣伝にならない」「担当は宣伝ツイートしろとうるさく言ってくるのに、公式twitterは満足に宣伝もしてくれない」「なんとか作品を盛り上げようと自前で企画を考えても、出版社の営業部がダメだと言う」「印税が安すぎて、同人誌で出した方がよほど収入になる」

2018-03-18 23:38:59
荻野謙太郎(マンガ編集者) @gouranga_

私は先日「作家にとって編集者の存在は有益か有害か」を問うアンケートを実施しました。最終結果は、僅差とはいえ過半数が有害。過半数が「いないほうがマシ」と思っているということです。商業出版に携わる人間の一人として深刻に反省しなければいけない事態だと思っています twitter.com/gouranga_/stat…

2018-03-18 23:59:28
荻野謙太郎(マンガ編集者) @gouranga_

作家の怨嗟の声を聞くと「商業ってなんだろう?」と思います。同人誌で出した方が収入がいいと言われ、作家自身のツイートが最大の宣伝という状況で「売れないのは実力不足。食えないのは自己責任」と言って誰が納得するでしょうか。商業出版を名乗るなら、その名に相応しい処遇があってしかるべきです

2018-03-19 00:15:47
荻野謙太郎(マンガ編集者) @gouranga_

いまtwitterで精力的に活動している作家さんは、商業に行く前にすでにtwitterに揉まれています。大勢の人に見てもらう方法を考えて、活発に発信をして、フィードバックを得てさらなるネタを開発していきます。日々の活動がセルフプロデュースに等しい彼らから見て、出版社はあまりにだらしなく映ります

2018-03-19 00:25:28
荻野謙太郎(マンガ編集者) @gouranga_

「載せてやる。売ってやる」的な態度が通用する時代はとうの昔に終わっています。出版社は「何もしてくれない」という作家の不満を解消するために、作家個人ではできない広告宣伝、売り方、利益の出し方を提示する必要があります。提示できないなら出版社はその歴史的役割を終えたということです。

2018-03-19 00:43:11
荻野謙太郎(マンガ編集者) @gouranga_

長くなりすぎたのでこの話題はここまで。

2018-03-19 00:46:55

Twitterの反応

ツイッターだとやっぱりというか出版社側に辛辣な反応が多いようです。

このツイートは権利者によって削除されています。
このツイートは権利者によって削除されています。
--- @fffyunfff

それどころかこれまでに売れたものの分かりやすい要素をパクっただけの作品を脳死で作家に描かせて漫画業界全体の土壌の栄養分を殺し続けてきた訳だし、そろそろ本格的に役目を終えた方が業界の面白さの為には有益なのでは?くらいまで思いますが

2018-03-19 12:21:38
--- @fffyunfff

下手したら個人の作家で寄り集まってアンソロジー的に本を出すぞーって時に、フリーの編集者数人に取りまとめと入稿~納品までアシストしてもらえば会社なんて居なくても面白い雑誌的読み物は作れるし、作家さんがツイッターでそれを宣伝すれば売れるんだったらそれこそ出版社がいらない事態になるよね

2018-03-19 12:23:46
Clear◇(「・ω・)「 @AquaFaG

作家自身ができる宣伝環境が良くなって読む側も直接本を買いやすくなってる状況では,出版社はただの中間マージン抜き取り業者でしかなくなるよね。

2018-03-19 12:25:58
ベスパ🛵Anima🎣 @Ride_on_vespa

個人で描いたものを沢山の人に見てもらうために活動していたのが出版社なので世界で核戦争が起こり科学文明が廃れるくらいの事がない限り出版社は不要。

2018-03-19 12:33:52
μ / もち。@都美推し未発症非破壊エンド @c5myu

景気のいい同人誌即売会の方が売れるみたいなのは本当にやばいと思う

2018-03-19 12:58:38
μ / もち。@都美推し未発症非破壊エンド @c5myu

出版社よりも、創作集団というか作家チームみたいなの作りたい欲ある 「Aさん中世西洋担当、Bさん武器軍事担当、Cさん経済担当……」みたいに得意分野を手分けして書くみたいな

2018-03-19 13:03:03

こういうシステムで解決できるかもね

宣伝みたいな終わり方になってしまいましたが宣伝ではありません。