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新陰流や示現流などに見られる燕飛という形

多くの日本の剣術流派に見られた、燕飛(えんぴ)という形について、概要および実際の演武を新陰流と示現流の形を例に紹介しました。
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中世平法研究会 @empiken

(燕飛という形) 中条流をはじめとする念阿弥の流派にはえんぴ、えんかい…うきふね、うらなみという共通の名称が存在しています。燕飛というと有名な新陰流の形ですが、富田流(中条流)と新陰流の目録の共通点については、昔から指摘があり、岡田一男や森田栄によって指摘されています。

2017-12-24 00:22:37
中世平法研究会 @empiken

中条流と陰流の関係については、調査中の事で不明な点が多くあります。ですが、陰流より新陰流に取り入れられた猿飛(燕飛)はその後も新陰流系の流派に伝承され、現在まで各流派で形を変えつつも共通点を残して伝承されているのがわかっています。例えば現在では新陰流というと柳生の新陰流ですが、

2017-12-24 00:22:37
中世平法研究会 @empiken

この新陰流の燕飛と、丸目蔵人のタイ捨流(新影流)から分派した示現流の燕飛ではかなりの共通点が見られます。「示現流の燕飛の打太刀はタイ捨流であり、示現流の十二の打でそれに対抗するのが示現流の燕飛」とされていますが、新陰流と示現流の燕飛はかなり似ています。

2017-12-24 00:22:37
中世平法研究会 @empiken

実際に双方の「燕飛」を 見てみます。こちらが柳生の燕飛の演武(日本武道館「日本の古武道 柳生新陰流」BABジャパン)に上泉信綱の絵目録および柳生松右衛門系の燕飛の絵目録を対比させたものです。 pic.twitter.com/4RwJZeqgWr

2017-12-24 00:22:39
中世平法研究会 @empiken

つぎに示現流の燕飛。日本武道館「日本の古武道 示現流」BABジャパンより引用しました。なお各絵目録は以下の書物より引用しました。 柳生厳長「正伝新陰流」島津書房 「永青文庫叢書 細川家文書故実・武芸編」熊本大学文学部付属永青文庫研究センター,2014 「日本武道全集第一巻」人物往来社,1966 pic.twitter.com/RHtpdPQXGW

2017-12-24 00:22:40
中世平法研究会 @empiken

各動作について説明すればわかりやすいですが、動作を示すのみとします。動作の名称や構えこそ違いますが、同種の技法が同じ順番であらわれる事は見てわかると思います。両者が分派して400年近くが経過していますが、それを考えるとそっくりと言っても良いと思います。

2017-12-24 00:22:41
中世平法研究会 @empiken

というように、 将軍家の剣術として有名な柳生新陰流、 強烈な打ち込みで知られる薩摩の剣術示現流 この二つの流派は一般的には全く別の特徴を持つ流派と思われていますが、意外にも同じ形を源流とする形を伝えていて、しかも多くの共通点があります。(終わり)

2017-12-24 00:22:41
中世平法研究会 @empiken

(追記) 新陰流(柳生新陰流)と示現流の伝承関係図です。 新陰流開祖上泉信綱から永禄(1560前後)の頃分かれているので、四百年どころか四百数十年前に分かれた事になりますね。 pic.twitter.com/XBhRIKfoTr

2017-12-24 00:25:34
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