【プレイバックのべ挑】第2回『彼は時計を一目見ると、彼女がもうこの世に存在していないのだということを悟った』

地獄の団子虫スバル @legacystsubarun

#のべ挑 惑星αはもうじき恒星の爆発に飲み込まれるのだという。脱出船に乗り込む間際、彼女は僕の手を振り払った。「私、やっぱり残る」僕は走り去る彼女を追いかけることができなかった。 爆発から逃れる船の中、アラームが鳴る。時計を見ると、乗船前に知らされた惑星α最後の時だった。

りれた @rilettaaa

#のべ挑 「もう飛行機に乗ってるかな」 男は寝ぼけ眼をこすりながらキッチンに向かった。 今日は彼女がいないのであり合わせの物でいいだろう。 キャリアウーマンの彼女は忙しく、明日も北海道で仕事がある。

りれた @rilettaaa

#のべ挑 俺なんか、修学旅行でしか飛行機に乗っていないのに。 彼女の仕事が落ち着いたら、一緒に旅行にでも行こうか。 ふとテレビを見ると、ニュースキャスターの女性が聞き覚えのある名前を口にした。

りれた @rilettaaa

#のべ挑 『速報です。北海道行きの飛行機○○便が墜落し……』 男は頭にある考えを振り払うように側にある時計を見た。 針は間違いなく19時を示している。

りれた @rilettaaa

#のべ挑 「よかった、彼女が乗る便は20時のはず…」 男の言葉が途切れた。 その時計の針は、動いてはいなかった。 『20時30分になりますが、いつもの特集を中断して速報をお伝えします。先程……』

田中卵 @tanaka_tamago05

無理だ。 時計の針を見て彼女の死を悟る。 今回もダメだった。 救え─ 「あれ、どうしたの？」 目前の非現実に思考が停止する。微笑む彼女の笑顔はひまわりみたいだ。 それから、なんとか考える。何故彼女が？彼女は今死んだはずじゃ 目蓋を開いた先。返り血が、彼女の死を告げる。 #のべ挑

あじさい @Hg_hatter

「この時計に見覚えはありませんか？」 警察官を名乗る男が、血に塗れ、文字盤の割れた安物の腕時計を差し出してきた。 「裏を、見せてもらえませんか？」 自分のしるし、と貼ったシール。 「ええ、彼女のものです」 #のべ挑

yuki @tokiori_sizuku

大変だ。 ここから離れた空き家に、僕は時限爆弾と彼女を閉じ込めた。 爆弾は三時間後の爆発間際、青か赤のコードのどちらかを自動的に切断する。 青は爆発。赤だと助かる。 だけど僕は、爆弾に自動切断機能を付け忘れてしまったのだ。 時計を見ると丁度三時間が経過するところだった。 #のべ挑

まひる @ake6tu1

知っていたのだ。彼女と出会ったその時から分かっていたのだ。一目見るだけで深入りするつもりなどなかったのに、いつの間にか近付きすぎてしまった。閑散とした手術室の前廊下。時計を見やれば音になりきらぬ声が零れた。――母さん。貴方に会いたくて遡った世界は、何時であっても残酷だ。 #のべ挑

田中卵 @tanaka_tamago05

時計だらけの世界。同時に徹底された管轄の世界。一つの時計は一人の命。一人の血肉は時計の歯車。 ギチリ、と歯車が軋む。 そして、諸ともが砕け散る。 残骸は自然と風化し、新たな時計の贄となる。 ああ、また一人の彼女が消えた。けど、また生まれる。なんて喜ばしく、なんて悲しい #のべ挑

田中卵 @tanaka_tamago05

時計の秒針が震える。 まずい、と思うや、僕は油を彼女にぶっかけた。歯車の潤滑を促す油だ。 べったべたになった状態で、 「ちょっ、ちょっとやめなさいよ！」 安堵して彼女を眺める。 彼女の姿に、瞠目する。 銅色が支配していく彼女は、錆びかけている。 いっけね、水と間違えた #のべ挑

だいちゃん @aka403

陽の当たらぬ石牢の床で、騎士はその歓声を聞いた。 敵国の、否、戦勝国の英雄が上げた鬨の声が、鉄格子の嵌った窓から飛び込んでくる。 「我、魔女を討ちたり！」 窓を見上げれば、遠く時計塔の針が11時。 慕った姫の処刑の時間だった。 流さぬと誓った涙を、騎士は静かに流した。 #のべ挑

田中卵 @tanaka_tamago05

時計の針は巡る。けれど時は常に一方通行だ。失ったものは失ったままだし、手に入れたものは何れ失う。 時は示せる。だが忘れるな、時とは所詮、人が作り出した概念/寸法であることを。時計などで時を支配できるなど、夢にも思うな。 時計を片手に彼女は、母は僕に最期の言葉を告げた。 #のべ挑

かー @car10ringo

水色のドレスを着た彼女は、階段を下りる足を止めなかった。ごめんなさい、と震えた声を聞き、ふと気付く。これは夢だ。彼女が憧れていた、シンデレラの夢。そこでふと目が覚めた。鐘の音よりも軽いアラームの音が響く。 ……そうだ。ガラスの靴は、もうこの世には存在しない。 #のべ挑

地獄の団子虫スバル @legacystsubarun

#のべ挑 彼は必死に心臓マッサージを続けていた。蘇生可能な時間を過ぎたと、周りに言われて自分でも時計を確認したのにも関わらず、手を止めることができないでいた。笑顔の似合う優しい少女だった。 やがて、力尽きたように、彼はようやく手を止めた。 解っていた。妹はもう、目覚めない。

だいちゃん @aka403

セリヌンティウ子のために走るメロス。ふと時計を見ると、かの邪智暴虐の女王に指定された時間はとうに過ぎていた。メロスはセリヌンティウ子がもうこの世にいないのだと悟った。　 #のべ挑

ざくろ @sh2ZAKURO

隣の病室の女の子のところへ、きっかり毎時間、看護師が様子を見にいっている。 俺はそれを時間の基準にしていたが、数日経ったある日の1時間は、思った以上に長く続いた。 廊下を通った看護師を呼び止めて時間を聞くと、17時を5分、回っているらしい。 不治の病も治るんだな。 #のべ挑

怠惰奴とべぶちゃん！ @Tobenaibutanove

彼は時計を見た。時計というのは彼女の名だ。昔は少し人見知り気味の大人しい子だったが、その頃の彼女の面影はもう見られない。彼と彼女しかいない紅い世界で、二人は朝日が昇るのを見た。彼女の姿がはっきりするにつれ、身体中に鮮血を浴びた彼女はもはや、鬼というべき存在に思われた。 #のべ挑

箭野　隷 @低バイタリティ @KalmiaBB

無機質な音を発する時計を見ると、ランプが赤く点滅している。 検死係の仕事は実験体の死で始まる。私は仕事量も給与も多いメスの個体の担当だ。 すぐに死亡時刻を記録し、検死先の実験室へと向かう。#のべ挑

りりいる @relyls_create

#のべ挑 妻は、死刑宣告を受けた。 冤罪だ。そうに決まっている。 執行は午後６時、時計の針は無慈悲に回る 5時53分、その時間が近づいている 5時53分、大丈夫まだ大丈夫 5時53分、そのはずなのに、なぜ涙は止まらない？ 5時53分、もう目はそらせない。 (続く)

田中卵 @tanaka_tamago05

死の商人は語る。 「これは一つの結末を示す」 結末。それは一人の死。針が正午を刺した瞬間、結末は訪れる。 死の商人が底冷えする笑みを浮かべ、一人のプロフィールを記した紙を燃やし、時計を炙る。 儀式は終わり、ここに生命の繋がりは契約される。 今宵、老若男女の誰かが死ぬ。 #のべ挑

田中卵 @tanaka_tamago05

クロックオーバー #のべ挑

バーチカル太郎 @latqaSWqVEDwVAk

母の通夜が執り行われた翌朝。 遠くから聞こえるチャイムの音で目を覚ました俺は、時計を見て驚愕した。 #のべ挑

まひる @ake6tu1

いつもおさけをのんでた。ないてた。おおきなこえで、よくわからないことをいっていた。ものをたたいたり、なげたりしてた。きょうはめざましどけい。ぼくのあたまにあたったそれをみて、おかあさんがわらった。ぼくのしってるおかあさんは、どこにいっちゃったんだろう。しんじゃったのかな。#のべ挑

田中卵 @tanaka_tamago05

『彼は時計を一目見ると、彼女がもうこの世に存在していないのだということを悟った』 ここで言う彼は、物語上の人物でなくともいいのかな？ 例えば、読者とか。わりとそっち方面に突出してしまったけど…… #のべ挑