【ヨモツバース】イクターナル事変

⚓イクヨモツ☆☆★🌹 @nagahara0

「その世界を風化させたくない、『そのままにしておきたい』一心に、彼はその世界に時固保持錨イクターナルを打ち込みました。すると彼の思い通りに、世界は変わらないまま、時間が過ぎないままに、ひたすらにそのまま残り続けました」

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「ある日、彼は変わらないままの世界に、少しずつ飽いてきていました。いつか見た美しい世界は、いつの間にかいつも通りの陳腐な景観に成り下がっていました。変化が見たい。そう願った彼は、愚かにも自身で打ち込んだ錨を、引き抜きました」

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「するとどうでしょう。その世界は、それまで圧縮されていた『経過すべきだった時間』を一瞬で経験し──彼の目の前で、消えてなくなりました。その世界の寿命は、当に過ぎていたのです。留めている間に、その世界は滅んでいたはずだったのです」

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「彼の我がままによってその世界は生き長らえさせられていただけで、彼が錨を抜いた瞬間に、その世界が滅ぶことが確定してしまったのです。自分の身勝手な行いで自らの愛でていた物を壊した、殺した。その一件以来、彼はイクターナルを自身の宝物庫にしまっていたはず、なんですが」

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「で、そんな昔話に出てくる神器のレプリカって、どういうことよチャリディア」 「つまり・・・あー、結論から言いましょう、アレに仮の名をつけて」 「イクターナル・レプリカを触媒にして、世界神話は現世界を『4月1日』に留めるための人創神を創ろうとしています」

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「それって…！」 「その通り、先ほど話したことの再現ですよ。今日という日のお祭りを、『上』はずっと続ける気です。現世界の平定指数が上がり続けてるのはそういうことだと思います。あるべき基準の時間が狂い始めていて、現在進行形で、現世界は現世界じゃなくなりつつあるんです」

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「人創神はあくまで人によってしか創られないんでしょう？世界神話にだって作れないはず・・・」 「いま、現世界ではあらゆる『今日だけのコンテンツ』が溢れています」 「・・・まさか」 「そうです」

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「『今日が終わってほしくない』人々の願いによって、人創神イクターナルを生み出すつもりってこと！？」

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「諦めてちょうだい」 「そんな・・・」 「ごめん。こればかりはあたし達にもどうしようもないし、変えようもないの」 「だって、まだ、何もできてない・・・やり残したことだって、沢山・・・」 「いい？チャリディア───」 「西暦2018年4月1日は、一度しかやってこないの」

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「だってまだフルコンボしてないし！こっちだって鯖集め終わってないし！」 「分からないわね！今日は今日限りなのよ！」 「何もかもやり切れてないのに！」 「・・・お祭りは、一度切りだからこそ。終わりがあるからこそ、強烈に、痛烈に、心に留められるものよね。『楽しかった』という感情と共に」

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「あの楽しかった時間を味わいたいと思うからこそ、お祭りは楽しいし、飽きることがないの。それが毎日だと、どうしても飽きるものなの。それは人も神様も変わらない」 「また来年、楽しみましょう。また来年、会いましょう。このお祭り騒ぎを、今度こそは何もかものどこまでもを楽しみ尽くすために」

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「・・・うん、わかったよ」 「そんな暗い顔をしないの。期限は今日中までよ。あと少しは楽しめるわ」 「じゃあフィーネ、手伝ってくれる？」 「もう、しょうがないわね。いいわ、どれからやればいい？」

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「で、フィーネは何て？」 「心神ヒトミの力で、一度人々の思いにフタをするんだと。世界神話に気づかれないように、人創神が創られないようにね」 「随分ゴリ押しな策なこった。それで大丈夫なのかよ？」

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「幸い平定指数は下がる一方だ。現世界は現世界たりえるように落ち着いてきている」 「マジかよ。むしろヒトミの力で『今日が続いてほしい』って願いを消しちゃえば早かったんじゃないのか？」 「僕もそれを提案したけれど、フィーネが断ったそうだ」

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「続いてほしいという思いが積もるからこそ、次のお祭りが楽しみになるんだから」