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バイオテック・イズ・チュパカブラ #2

翻訳チームによるサイバーパンク・ニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) ニンジャスレイヤー公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 続きを読む
ニンジャスレイヤー
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Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
第1巻「ネオサイタマ炎上」より 「バイオテック・イズ・チュパカブラ」#2 #NJSLYR
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
(あらすじ:タマチャン・ジャングルで奇怪な水牛ミューティレーション事件が多発。調査に乗り出したニンジャスレイヤーとナンシーは、そこに謎のニンジャの関与を疑い、これをチュパカブラと呼称する。調査中に2人は現地の農民たちと遭遇。報道特派員を名乗り、インタビューを開始するのだった……)
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廃墟と化したコケシマート。かつては賑わっていたであろう回転スシバーのタタミ席に座り、五人の農民達に対するインタビューが始まった。少し離れた場所では、ヘッドギアを被った四頭の水牛たちが大きな車輪を回し、覚束ない電気を起こしている。タングステン・ボンボリが明滅し、時折火花を散らした。
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彼らはネイティヴな農民ではない。工業プロジェクトの失敗によってこのエリアが過疎化し、やがてタマチャン・ジャングルに飲み込まれたのは、今から僅か十数年前のことである。彼らはUNIXを溶かして鍬と鋤に変えた、テクノ・ピューリタンの入植者なのかもしれない。だが、今はどうでもいいことだ。
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「では、お話を聞かせてください」ナンシーはハイテク電子レコーダーにLAN直結を行ってからスイッチを入れ、白いインロウ型の小型マイクを農民達に向ける。報道特派員イチロー・モリタに変装したニンジャスレイヤーも、それらしく振舞うべく、DJめいた大仰なヘッドホンをかけてメモを取っていた。
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農民たちは寡黙だった。リーダー的存在であるタバキ・トヨタが、右眼を覆う眼帯に手を当てながら、最初に重い口を開いた。「数週間前から始まったんです。地図を見てください。ここだけじゃなく、エリア一帯で水牛たちがミューティレートされ始めました。マッポは忙しくてなかなか来てくれません」と。
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「正体は何なんです?」イチロー・モリタの偽名とハンチング帽で正体を隠したニンジャスレイヤーは、核心にせまる鋭い質問を投げかけた。「謎です」とタバキ。「アンタイ・ブディストかもしれません」と農民の一人がつぶやいた「水牛は生贄にされたんです」。モリタは『反ブッダ?』とメモを取る。
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「死体の近くに反ブッダ的な魔方陣は描かれていましたか?」とマイクを向けるナンシー。「いいえ、でも、奴らがジャングルで儀式をするのは有名なんです。以前、バイオパインに人形が打ち付けられていたことも…ナムサン!」。「では水牛と儀式の関連は無いのですね」ナンシーは冷静に農民を論破した。
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「では正体は何なんでしょう?」改めてイチロー・モリタは核心にせまる鋭い質問をした。「怪物ですよ」とタバキ。「私は凶暴化したバイオパンダだと思います」と農民の一人が冷や汗とともに呟いた「それも、かなり大きくて素早い」。モリタは『素早いバイオパンダ』とメモを取る。
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「バイオパンダの声を聞きましたか?」と農民にマイクを向けるナンシー。「いいえ、でも、“奴”は外科手術メスのように鋭い爪を持っているらしいんです。バイオパンダも……持っているじゃないですか。鋭い……爪を」。「それは早計だと思うわ」とナンシーは冷静に分析した。
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「正体はニンジャなのでは?」モリタが鋭い提言をした。「ニンジャではないと思います」とタバキ。「アイエエエ……UFOだと思います」と農民の一人が言った「宇宙人の作り出したおそるべきクリーチャーが……アイエエエエ……アイエーエエエエエ!」。農民は絶叫しながら、どこかに走って消えた。
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「確かにクリーチャーという表現は正しいかもしれない」農民のリーダーであるタバキ・トヨタは、安シガレットをヨウジで吸いながら、苦々しい口調で言った「奴は光る眼を持っていますから」。「実際に見たことがあるのですか?」ナンシーが問う。「ええ、奴は俺の右眼を持っていきましたよ」とタバキ。
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重要な証言だ。イチロー・モリタ特派員はヘッドホンをおさえて頷きながら、ハイテク電子レコーダーの「重点」ボタンを押す。「交戦したのですか?」とナンシー。「1週間前の夜、見張りに立っていた時です。突然、茂みの中を“奴”が走ってきた。俺はショットガンを撃ったんです。まったく、闇雲にね」
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「……敵は、応戦してきませんでしたか?」モリタは人差し指を立てて、斬新な推理を伝えた「スリケンめいたものを投げる……などして」。「いいえ」とタバキ「しかし、奴はいやな臭いがしました。それから、素早くて……手か足の先に鋭い爪がついていました。それを使って、俺の眼をえぐったんです」
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「ショットガンは効いたのですか?」ナンシーが的確な質問をする「命中の手ごたえは?」。「ありました」とタバキ「数メートル向こうに飛んでいって……どさりと落ちる音がしました。でも、“奴”は何事もなかったかのように高く跳躍して、バイオバンブーを蹴り渡りながら、飛び掛ってきたんです」
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「敵は何色の装束でしたか。ここは重要ですよ」モリタは重点ボタンに指をスタンバイさせながら質問した。「服を着ていたかどうか……アーッ! アッ! アーッ! アイエエエエエエエエ!」冷静さを保っていたタバキが突然絶叫する! ナムアミダブツ! あの夜のトラウマがフラッシュバックしたのだ!
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「ザッケンナコラー! 俺のかわいい水牛たちを! 何年かけたと思ってるんだ! スッゾコラー!」悪夢を追い払うために、タバキは脇に置かれたズバリを手に取り、自分の腕に注射した。しばし、荒い息使いだけが録音される。「……フゥー、遥かにいいです」タバキは平静を取り戻し、頭をかきむしった。
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瞳孔が開き、ぎらぎらと覚醒して、落ち着かない虫のように動き回っていた。「そういえば、俺のランニングについた血が緑色だった気もします。あるいは紫。少し光っていた気もします。次の日には赤に変わっていました」タバキは浜に打ち上げられたマグロのように畳に身を横たえ、苦しげに語るのだった。
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「ありがとうございました……インタビューを終了しましょう」ナンシーが沈痛なおももちで言った。農民たちは、得体の知れぬ恐怖と怒りのせいで発狂寸前なのだと解ったからだ。これ以上彼らを責めさいなんではいけない……ジャーナリストの良心が彼女にそれを気付かせたのだろう。
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それはニンジャスレイヤーも同じだった。ナンシーが止めねば、彼のほうから終了を提案していただろう。愛する者をある日突然理不尽に奪われる悲しみは、水牛であろうと妻子であろうと同じことだ。……全員が無言になる。発電車輪の上に置かれたテレビからは、ノイズ交じりのオスモウ中継が流れていた。
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畳の上でもがくタバキを見ながら、ニンジャスレイヤーは心の中でひとりごちる……一歩間違えば、彼のようになっていただろう。いや、もしかすると己も既に、どこか狂っているのかもしれない……と。タバキの苦悩を感じ取った彼は、顔を伏せて血の涙を流していた。やり場のないカラテが爆発寸前だった。
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「ドーモ」全員が正座してオジギし、インタビューは完全に終了した。「御礼です」と、ナンシーは素子マネーを取り出して、チャブの上に置いた。ヨロシサン製薬系列ダミー会社の口座をハッキングして抽出した、結構な額のマネーだった。
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二人は湿った靴音を響かせながら出口へと向かう。攻撃的なヒップホップ・ハイクが乱雑なスプレーでしたためられた、大きなシャッター。そこに背を預けるように、カービンタケヤリを構えた一人の農民が座り込んでいた。先ほど、錯乱して飛び出していった男だ。
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「ドーモ、モリタ=サン、ナンシー=サン。お話したいことがあるんです」男は雨に打たれ、落ち着きを取り戻していた。彼は周りに仲間がいないことを確かめてから、歯をかちかちと鳴らしながら語る。「実は、恐ろしくて、恐ろしくて、まだタバキ=サンにも報告していないことが……」
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第1巻「ネオサイタマ炎上」より 「バイオテック・イズ・チュパカブラ」#2終わり#3へ続く #NJSLYR

コメント

オスツ🍣 @alohakun 2011-04-16 12:37:21
バイオテック・イズ・チュパカブラ #1 http://togetter.com/li/121054 バイオテック・イズ・チュパカブラ #3 http://togetter.com/li/124378
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