【その不在のあいだに】福間健二 #k2fact190

福間健二 @acasaazul

ゴールデンウィークに入った。オフシーズンをさまよう心はそのままで、悲しそうな笑顔ってあるよね。とりかえよう。接着剤と格闘して茶色にしちゃったその水は。山わさび、すりおろすのは大変でも、食べるときはそんなに刺激がない。人の行為にもそんなのがある。（その不在のあいだに１）#k2fact190

福間健二 @acasaazul

魔法の箱。名前だけとしても蓋をあけるのにコツがいる。人に知られたくない、捨てられないものをしまっておけということか。何くわぬ顔で学園通りを横切り、気になる戸口だけチェックする。なぜだ。手にそれを持っている。振ると雨のような音。思いは隠せない。（その不在のあいだに２）#k2fact190

福間健二 @acasaazul

質問、ほとんど知っていることについてばかりというグループも、都会の空、不自然な雲の切れ方も、だれがばかにできるのか。囲まれ、言わせてもらい、逃げ場もあった。パリでも京都でもくちごもった感謝の言葉がやっと出る。一番聞いてほしい人がいないここで。（その不在のあいだに３）#k2fact190

福間健二 @acasaazul

知っていること。反応のグラフの予想がつくもの。具体的には「女性の未来」とかだ。飲み物が足りない。自分で買ってきなさい。合意の沈む北の国から、反論とニュース。制御できない天使ジャスティンがいないとき、エミリーとその曲線は退屈しながら仕事している。（その不在のあいだに４）#k2fact190

福間健二 @acasaazul

勝負はつかない。きょうは終わり。そう言ってからの、影が生身と入れかわる急展開もある。エミリー、曲線の魅力をわかりやすく編みなおして、時差七時間のオスロ。移民の多いグリューランド地区。まだ夜じゃない。まだあらわれない。ぼくに夕食をおごってくれる人。（その不在のあいだに５）#k2fact190

福間健二 @acasaazul

まだ寒い。とにかく物価の高い都市。気まぐれ、それとも演出された必然か。大きなウサギになった影の到着は遅れる。結局、情実の文化。あとから来る疲労を待つ役割なのに。手でやれることに自信のある人も道草をくっている。ディランの「意地悪な使者」歌いながら。（その不在のあいだに６）#k2fact190

福間健二 @acasaazul

先に行って待たなくてはならないものがある。それ、何度かあって、そのたびにかなり高いところから地面に火を放ち、あわてて踏み消そうとして足を火傷した。いいニュース、ないときはどうするんだっけ。「意地悪な使者」、いまは太めのパティおばさんも歌っている。（その不在のあいだに７）#k2fact190

福間健二 @acasaazul

いくつかに分類できる曲線。すこし複雑な、化学的複合体。人間。見つけた歪みを大きくしたがる悪い心が宿る。ぼくは自分で恥ずかしくなった。たくさんの影を動員してどこにも行き着かない。一番だめなジャスティン、硬い親指に頼りすぎてしまうあいつがぼくなのだ。（その不在のあいだに８）#k2fact190

福間健二 @acasaazul

褒めてくれる泥沼に名前を言うよりは、詩人エミリーは、だれでもない。それがよかった。別の時代、別の国のエミリー、きみは自分の力であらわれた。どっしりときみの前を歩いていく人がいる。体で言いたい。走ってその背中に抱きつくか、敵意の泥沼に転落するかだ。（その不在のあいだに９）#k2fact190

福間健二 @acasaazul

裁く神は、お払い箱にした。でも、何度も転落するのは。まずい方向に動いていると思っても止まれなかったりして。ひとりでいるとき、自分の曲線を見ている澄んだ目を作れないのだ。連休の明けた東京。だれかのように、悪天候でも見えている遠い丘にキスしたい。（その不在のあいだに10）#k2fact190