「最低賃金を上げる」といっても簡単ではないけれど、影響はかなり大きいので大幅アップを目指す中の人のひとりごと
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最低賃金がどうなるかの季節がやってくる
だいたい7月頃に中央で目安額が決まって、それを参考に、各都道府県で8月に答申されて、10月から新しい金額になるというイメージです。
さーて、最低賃金の話を連続してしてみようかなと思ってみる。 新潟県知事選で「最低賃金を引き上げる」というような話も出てくるのだけれど、それがどうやって実現されて、どう影響を及ぼすのか、実はなかなか難しい話。
2018-06-06 16:31:322018年6月現在、新潟県最低賃金は、時給778円です。
まず最低賃金がどこで決められているかというところ。地域別最低賃金は、各都道府県ごとの審議会でほぼ決まっている。そこに首長や議会は意見書などを出すことはできる。つまり参考意見になるから、直接、金額を変えることは不可。ただ、こういう話はあり得る。
2018-06-06 16:33:09審議会は、労働局長の下に作られる。
労働局というのは、厚生労働省の出先機関。つまり、国の機関。
ちなみに、労働局の下に、労働基準監督署がある。こっちの方が有名だったりするよね。
新潟県が実行ある公契約条例を制定して、下請け企業の労賃単価の下限を決めてしまう方法。この場合、最賃を決めるときの賃金改定状況データとして出てくるので、世間相場がアップする以上、最賃額もアップしなくてはいけなくなる。ただし抵抗も予想されるのだが...
2018-06-06 16:34:48訂正)実行ある → 実効ある
補足すると、新潟県が民間企業に下請けに出すときに、品質を伴ってもらわないと困るようなケースで、労働者の時間単価の下限を決めてしまう方法。
企業に対して下請けに出す金額と労賃が決まるので、その他が会社の設備投資やもうけ分になる。もうけ分は圧縮できないので、自動的に、中抜き企業は排除される。
公契約条例の抵抗勢力は、実は誤解している。労賃の下限を決定すると、中抜きするだけの企業が排除され、地元企業が優先される。つまり、重層下請け構造が健全化するというわけ。このあたりはぜひ理解してほしい。一方、最賃が上がることに強力に抵抗する業界が2つある...
2018-06-06 16:36:38最賃が上がることに抵抗する業界は、タクシーやビルメン。ぎりぎりで頑張っているので、正直きついと思う。構造的な部分は改善が必要だが、支払い側が正当な報酬を支払うようにする必要もある。まあ、支払い側は、ある意味、私たちなんだが。さらに、最賃引き上げにはまだ問題がある。
2018-06-06 16:38:46「労賃を上げることで、それが地元消費に回り、地元企業に帰る」というのが最賃を上げたい側の考え方
最賃引き上げはスピードが問題
「最低賃金を引き上げます」という公約は、必ず達成される。なぜなら現在、全国加重平均時給1000円を目指して、毎年約3%ずつアップしているから。10月になると、だいたい25円ぐらい上がると思っていいと思う。つまり、4年で100円だ。すごいと思うかもしれないけれど...
2018-06-06 16:40:32最賃3%アップは遅すぎる。そもそも時給1000円では年収200万円に達しない。ワープア水準まっただ中なのだ。したがって、「時給1500円を目指します」とか「すぐ1000円に」と言わないと、ワープア量産公約ということになる。ただ、残念ながら1000円の政労使合意なので、ひっくり返すのは厳しいぞ…
2018-06-06 16:42:41政労使合意とは
2010年6月に雇用戦略対話において、政府、労働組合、使用者団体が合意した約束事のこと。リーマンショックから政権交代が起きたあのまっただ中の話。
最低賃金は、「できる限り早期に全国最低800円を確保し、景気状況に配慮しつつ、全国平均1000円を目指す」とされているが、「2020年度までの平均で、名目3%、実質2%を上回る成長」が前提という状態。
正直言って、いまの安倍政権では、この成長率は達成し得ない。OECDとかIMFあたりもそう言っている。
最賃付近で働いていない人、月給制で時給じゃないよ、という人も、最低賃金はじわじわ影響している。会社に入りたての人の初任給が上がったらどうだろう。その前の年に入社した人もアップしなければ不自然だ。その前の…が連鎖する。ただし、どこかで上限がくるだろう。ここでだ…
2018-06-06 16:44:49経営者からして初任給やバイト給料がアップすれば、人件費がアップするので、何かを削らなければいけない。削り方で簡単なのは、昇級カーブを寝せること。昇給幅を削ってしまえば簡単だ。しかも社会保険料率が上がるもんだから、なおのことそうするようになる...
2018-06-06 16:46:21訂正)昇級 → 昇給
そもそも、昇給すらきちんと決まっていないという会社もあるけれど。
あまり昇給しない会社だとなったらどうだろう。労働者が離れるかもしれない。あるいは、その対応が遅れて「あー、後継者もいないし会社たたもうかなー」という中小企業の社長も出てくるかもしれない。最低賃金の問題は、実はいろいろなところへ波及する。地場の中小零細を支えつつという点がポイント。
2018-06-06 16:49:18実際問題、人口減、人口流出にあわせて、地方の中小零細企業は、かなり消えると考えられている。
ただ、経営者を支える視点を大きくすると、最低賃金が大幅に上げられなくなってしまう。労働者の生存権を守るためにも、最低賃金は時給1500円を目指さなければいけない。同時に、教育費を減らすとか、将来の年金をきちんと確保して不安をなくすということをしないと、社会が壊れることになる。(終)
2018-06-06 16:51:11ちょっと追記させてもらいます
コメントをたくさんいただき、ありがとうございます。最低賃金を引き上げたときには、いろいろな影響が出るかもしれませんが、大切なものは何か、が考えるポイントではないでしょうか。ポイントというのは... togetter.com/li/1234527 @togetter_jpさんから
2018-06-07 17:13:26