1988年6月12日（日）の旅日記（78日目・長春→延吉）

桃岩荘人 @namihei1224

12日0900ようやく起き出す。まるで17号線の車の走る騒音のような外の音といい、ベッドといい、本当に実家の自分の部屋にいる気分になった。昨夜の寝方もそっくり。こんな気分は初めて。よし、気合い入れて、行くぞ！

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1015掃除というのにせかされ、部屋の写真を撮って、OUT。50FEC支払う。日本では当たり前かもしれないが、このシステムでは安宿は成り立たないね。部屋賃踏み倒しもできよう。今日もいい天気。まずは両替。春誼でレート284と言われ、びっくり。T/Cは使えない。 pic.twitter.com/so7piYlDvK

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次に切符の変更。图们行きに換えんと2箇所巡るもダメ。あきらめ。後は車内でトライするしかない。そうそう、2日にシゲと東単で食った時、広州以来の愛用の黄色いお子様用箸を紛失してしまった。 pic.twitter.com/nlLvG2Agcw

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バス18路でまず偽皇宮へ。光复市場を通ってゆく。まったく人混みはもううんざりだ。やっとのことで抜けたら、小高い地に見えた。瑠璃瓦の偽皇宮。展覧場の入場に4角、皇宮入場に4角、合計8角。 pic.twitter.com/KCMZJTmR4j

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ここでも旅順に劣らぬショックを受けた。従皇帝到公民。皇帝から公民という溥儀の一生が写真展示されている。かなり中身が濃く、時間がかかった。天皇の特使たる秩父宮のレセプションは新京ヤマトホテルにて、と書いてある。ラストエンペラー見たいな。「我が前半生」日本語版、帰ったら読もうと思う。

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溥儀と天皇が並んでいる写真を見て、天皇にもこうして思想改造することを中国は求めている気がした。ドアの金属板、日本製。NIPPONは残っているけどJAPANの字消されている。もっともだ。とにかく他の満州国や当時の中国、日本資料など、あるのかもしれんが、日本で見ることは不可能だろう。

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まあとにかく小規模の印象深く、いかにも傀儡というかんじ。庭の小さな池や、建物の一部に日本の影。いかに関東軍が深く満州国政に関与していたかがよくわかった。そういう写真ばかり。改造前と後のコントラストが強烈。溥儀も苦労したもんだ。時代の波にもまれて。溥儀は1967年に死んでいるんだな

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庭の脇にあった神社はさすがに再建されていない。そこだったと思われるところへ行ってみると、わずかに社殿の礎石と、鳥居の礎石が草むらの中に２つ沈んでいるだけだった。この吉林省博物館でもある偽皇宮に来て、中国と日本の間にはまだまだわかりあえない納得しえない深い溝があることを強く感じた。 pic.twitter.com/0Xf6pHh0VW

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1400ようやく退場、1415ブランチ。冷麺0.8元。高級というだけあって、冷たくて冷やし中華のようで、大連のや昨日のとは全く違い、美味かった。いったんバスで大通りへ戻り、歩いて銀行探し。星期日だもん。ここ長春の最高級ホテルはどこなんだろう。 pic.twitter.com/bSUpDftSWX

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人民広場の省ホテル（高いが泊まれるらしい）で聞くと、新華？？へ行けという。行ってみると長春賓館と名称が変わっていた。ここでようやくOK。しかしレートは2940と、かなり下がっているなあ。歩いて新発広場へ。途中の百貨大楼で箸探すが無し。あのよくある赤い木の箸しかない。長すぎ。 pic.twitter.com/HxugW6XmXU

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中国人民銀行、元満州銀行本店。デカイ建物だ。他にも歩き方にない、これはと思われる建物がいっぱいあったが、何よりも度肝を抜かれたのが、吉林省中共委。げげっこれはまさに日本の城だ。天守閣だ。最上部と屋根の外観はどうみても、どこからみても、大阪城や名古屋城を彷彿とさせる。とんでもねえ。 pic.twitter.com/ymObdeMH31

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そう、これが旧関東軍司令部なのだ。周囲を圧倒する雰囲気は、はるかに偽皇宮を越えている。まさかこんなところで日本の城を見るとはおもわんかった。この下半分の煉瓦作りの異様な建物こそ、不自然、不合理な当時の満州を代表するのではないか。中国はこれを壊さず、使っている。どういうことか。

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同じく権威を求めるのか。それともうまく利用するだけ立派か。だって、壊してまた新しいの作り直すほど、不経済はないからな。とにかくここ東北は色々考えるべきことがいっぱいありそうだ。哈爾浜の731部隊のこと、森村の本、撫順の万人坑・・・

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1640軟臥、台湾候車室へ。可以。切符変更はダメ。鄭州とはえらい違いだ。ふかふかソファ。人はまばらで親切。いったん飯へ。木耳食う。国営長白山飯店。ひどいね国営は。やはり。酔っ払っているような態度といい、味といい。客も少ない。当然ですね。よっぽど弁当買った方がよかった。 pic.twitter.com/AYOYvsZHiz

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ジュース2杯飲んで戻る。本当ここんとこアイス食べ放題、ジュース飲み放題。しかしケツ痛い。痔だ。仮病が本当になっちまった。よくある話だね。病は気から。中国の旅は移動がつらい。移動したくなくなる。1800とっくに車両は入線しており、乗る人はもう乗っている。あわてて学生＋病気作戦発動。

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あちこちの服務員の手を経て、ようやく列車長なる者と会う。とても好意的。第二の作戦、ライター作戦必要なし。すぐ硬臥に換えてくれる。よくわからんかったが、日本人も俺たちもいっしょなどと言ってる。機嫌がいいのかそれとも好い人なのか、わからない。6元要求され、乗務員用の隣のベッドに入る。 pic.twitter.com/KWSraGHNUZ

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上段、けどじゅうぶんじゅうぶん。10RMB渡すと、OKと言って行ってしまった。ま10元取られてもじゅうぶんじゅうぶん很好好。いやあラッキー。

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1840予定通り発車。アイス食う。またさらにおごられる。朝鮮族の人たち。せっかくシゲの写してきたのに、北京においてきちまった。みんな親切。みーんな。酒も勧められるし、のまんかったが。途中で上海の医系大学の英語の女先生が入ってくる。話す。面白い。 pic.twitter.com/ayqzOODeTp

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朝鮮族の人が彼女の近くがいいだろ、とベッド交換してくれる。下段になったし、やつらと話したいし、ありがた迷惑だがでも流れに任せよう。俺のそのベッドでは飯食っているのでしばらく朝鮮兄ちゃんの座席で待つ間、乗務員含め、朝鮮語を習う。他いろいろ筆談漫談。非常に有意義な夜となった。 pic.twitter.com/eQfToJGcjx

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桃岩荘人 @namihei1224

とにかく人が好い。きて良かった！朝鮮兄ちゃん、ハングルは読めないとのこと。午後から雲が出てきている。明日は晴れると好いなあ。こうして楽しい時間を臥で過ごせると、硬坐の意義は消えていく。確かに底辺の人々ではなく、新興階級とでもいうのか、こういうコネの効く人々と話すのも有意義だし。

桃岩荘人 @namihei1224

坐の意義はストイックなもののみになる。こういう意味のストイックさが旅には必要なのかどうか、夏合宿企画直前の29代幹事連中に聞いてみたいな。少なくとも今の俺には不要だ。よし、これで明日もパワー全開で行くぜ！電気消され、一度は寝床につくが2130吉林着。

桃岩荘人 @namihei1224

朝鮮兄ちゃんが麦酒買ってきて暗闇の中、飲まされる。缶ビール2本。さらにおつまみはピーナツ🥜と魚の唐揚げ。2230まで本当にいい気持ち。どーもありがとう。なんか图们でも多少世話してくれるみたい。2230寝る。

桃岩荘人 @namihei1224

ところが窓から石炭の粉が入ってきて、ひどいのなんの。窓壊れているし、仕方なく布団かぶって寝る。しかし、快適快適。