日向倶楽部世界旅行編第50話「闘いの風」

三隈グループ @Mikuma_company

「皆さんこんにちは、ただいまよりブルネイ海上スタジアムオープン記念タッグマッチ開会式の模様をお伝えします。実況は私、ケン・ホリウチです。」 海の上を行進する者達に、ヘリコプターのカメラがズームする。緊張するもの、気楽にするもの、早くトレーニングに戻りたいもの、表情は十人十色だ。

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以下ケン・ホリウチの実況 「さあ先頭を進むのはブルネイ泊地より参加マリクルーラーズ、どのような戦いを見せてくれるのか。」 「その後ろは横須賀鎮守府より参加、親衛隊の横須賀利根姉妹、優勝候補ペアです。」 「続くは海上保安艦隊横須賀、飛鷹村上ペア。未知数の実力に注目が集まります。」

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行進は続く 「鎧の騎士二人組、ナイツオブフラワー、騎士道は海の上でも通じるのか？」 「バルバトス加賀、バンドマン吉田のデスメタルピース、一体何をする気でしょうか？」 「呉鎮守府より参加の第三艦隊、ベテランコンビの強さが光りそうです。」 甲子園の入場の様に、コンビは次々やってくる。

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「巡洋艦杯優勝者最上とベスト4足柄のコンビ、Wヴィースト。チャンピオン最上はどう立ち回るのか？」 「グリズリー・オーガニゼーションより参戦の美少年艦隊、技術力で勝負に出るようです。」 「ミテラ平和教国よりミテラ第一戦隊、初々しさがありますが実力は十分です。」

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そうして行進が進む中、あきつ丸と鈴谷が進む番となった。 「っしゃ、行こうぜあきつ丸ちゃん」 「は、はい！」 「ハハハッ、ここで緊張してちゃダメっしょ、ハハハ」 緊張し上ずった声を上げるあきつ丸の肩を、鈴谷はドンドンと叩き、スマホ片手に進み始めた。

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「チームアイアンクロスは、なんとあの鋼の鈴谷がエントリー、相方は一体何者なのか？」 イヤホンから流れてくる実況を鈴谷は鼻で笑い、やれやれと肩をすくめる。一方であきつ丸はキョロキョロと辺りを見回す、周りには個性的なファイターが大勢居る為、彼女の目移りは止まらない。

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そこへ鈴谷が訊ねる 「緊張してる？」 「は、はい…周りの人、みんな強そうであります」 あきつ丸のこわばった顔は、緊張と顔に書いてあるかのように情けないものだった。鈴谷はそれを見てニッと笑い、励ますように彼女の肩を小突く。

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「大丈夫だよ、強さは見た目じゃ決まらない。ミックも最上ちゃんも初霜ちゃんも、強いけど強そうな見た目じゃないっしょ？」 「そうではありますが…」 「もっと前向きよ前向き、まずは気持ちだけでも、ガツンと勝たなきゃ」 鈴谷はそう言って義手をガチャガチャ動かしてみせる、強そうだ。

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それに、あきつ丸は精一杯澄ました顔で答えた 「え、ええ…頑張ってみます」 「その意気その意気」 なんとか気持ちを奮い立たせるあきつ丸を見て、鈴谷はグッと親指を立てた。 と、そんなこんなしてるうち、行進が終わり、大きなスクリーンに武蔵が映った。武蔵は咳払いをし、マイクを取る。

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「良い陽気だな。植物の種は、陽の光が誘う事でその芽を出す。この陽気はチャンピオンという花を咲かす、君たちの始まりには相応しいだろう。」 武蔵のスピーチが始まった 「さて、深海棲艦が現れてから、早くも7年の時が過ぎた。7年、一桁の数字だが、私にとっては果てしなく長い時間だった。」

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光を浴びながら、海鳥が羽ばたく 「…その7年の間に、新しい時代が来た。地に足をつけなければいけなかった人間は、今や海の上を自在に走り、何かを見つける。我々は今、新たなる自由の時代を生きているのだ。」 風が吹く、何かの到来を告げるように

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「世界の先、時代の潮流は、誰にも予測不可能だ。我々は一歩一歩、一挙手一投足の全てを未知への行進とする、波間流離う旅人だ。」 武蔵はそこまで言うと一息つき、ニヤリと笑った 「そして今日ここに集ったのは、未知を歩み続けた旅人達だ。それぞれが奇異で、特異で、面白い。」

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風が、強くなる。 「その旅人達がぶつかり合う、こんなに面白い事は無いだろう。大いに競い、勝利を目指し、激しい戦いの中で何かを見つけ、新たな旅に向かって欲しい。」 武蔵はそこまで言い終えると、満足げに微笑んだ。 「私からは以上だ。戦え！飢えろ！勝て！旅人達よ！」

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彼女が拳を天に突き上げると、会場に盛大な拍手が巻き起こる。それは魂の熱き高鳴りのように、スタジアム全体に響き渡った！ 熱き戦いが、始まる…！ 第50話 「闘いの風」 おしまい

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【ケン・ホリウチ】 有名声優のモノマネをしていた芸人、喋りが上手いので実況の仕事が増えて来た。 艦娘についてそこそこ詳しく、今大会では実況者として大会に招かれた、熱い実況で大会を盛り上げてくれるだろう。

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【ブルネイ泊地海上スタジアム】 ブルネイ泊地にオープンした巨大スタジアム。入場口を起点に、観客席も兼ねた数十隻の船舶が連結する事で、海そのものをスタジアムにしてしまうという恐るべき建造物。建造には、三隈グループやグリズリー・オーガニゼーション等が関わっている。

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【摩耶】 パラオ警備隊副長の重巡洋艦娘、嫌味のない爽やかな性格をしている。 かつては巡洋艦杯で最上に敗れ、とぼとぼとパラオに帰った平凡な艦娘だった。しかしその最上が優勝したことで奮起、現在は警備隊の副長として職務に励んでいる。 今回は、上司である霧島と共に大会へと臨む。 pic.twitter.com/BnS8CbVEdv

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【警備隊長霧島】 パラオ警備隊の隊長を務める戦艦娘。 かつてはエースとして名を馳せた艦娘だったが、戦闘の負傷により視力が低下し、第一線を退いた過去を持つ。 大規模な戦闘は既に終わった現在、それでも輝かしい活躍を夢に見るかつてのエースは、もう一度栄光を掴めるのか？ pic.twitter.com/KnbHqOEynH

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【伊勢】 素性から目的まで全てが謎の航空戦艦娘、日向達の前に現れるのはこれで三回目。 鼓動や波紋に似た青い閃光を操ることが出来るほか、二刀流の剣術もあって実力は極めて高く、日向達には危険視されている。 しかし今回、日向は彼女とタッグを組む事になった、その真意は一体…？ pic.twitter.com/3NkHbOLCxL

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