日向倶楽部世界旅行編第53話「予選三回戦 VS美少年艦隊」

二回戦も無事突破したあきつ丸と鈴谷。三回戦の相手、美少年艦隊は、TGS艦娘チームとは違い友好的な態度で接してくる。果たしてあきつ丸たちは、三回戦を勝ち抜けるのか?
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三隈グループ @Mikuma_company

〜〜 そうこうしてるとスタジアム、二人は準備を整える。あきつ丸は機嫌が良いのか、昨日一昨日に比べると表情が柔らかい。 「3勝目もきっちり取って、予選抜けていこうぜ」 「はい、頑張りましょう!」 (さっきからなんかテンション高いな…まあ、手間が省けて良いか…)

2018-07-04 21:43:16
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鈴谷は義手をガチャガチャ動かし、妙に気合の入ったあきつ丸の顔を見る。あの変な男に惚れたのだろうか?彼女は日向の前例を思い出す。 「ふっ、ふっ」 だが、あきつ丸の様子を見るとそれは違う気がした、恐らくそういうのではない。 (単純に慣れてきて、ハイになってんのか?まあ上がり調子だし)

2018-07-04 21:45:07
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これまでたったの二戦だが、あきつ丸達は実力でしっかり勝ち抜いてきた。その確かな結果が、彼女の精神状態を良い方向に持っていっているのだろう。 加えて丁寧な挨拶に来る爽やかな対戦相手となれば、ますます試合に前向きになる、鈴谷はそんな風に考えていた。

2018-07-04 21:46:40
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無論、鈴谷にとって彼等、特にあの石楠花と名乗った少年は、胡散臭さの塊でしかなかったのだが。 とまあ、そんなこんなのうちに試合が迫る。 「…まあいっか。今日も頑張ろうぜ」 「ええ、頑張りましょう!」 三回戦に向けて二人は準備を整え、控え室を後にした… 〜〜

2018-07-04 21:47:49
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〜〜 いつもの放送席。 「さあこちら第一スタジアム、現在Eリーグ三回戦第三試合が終了しました。勝者の横須賀利根姉妹、タヒチ観光協会をノックアウトで打ち破りこれで3勝0敗、試合内容含め他チームを一切寄せ付けていません。」 圧巻の試合に、実況は横須賀利根姉妹を賞賛する。

2018-07-04 21:49:43
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そこへ解説の武蔵 「三日目ともなると、徐々に実力差が数字に出始める。少々キツい言い方だが、今日を3勝0敗で終えられなかったチームは厳しいと言って良いだろうな。」 「なるほど、この三回戦は予選リーグにおいて非常に大きな意味を持つわけですね。」 解説のケン・ホリウチは感心する。

2018-07-04 21:51:31
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事実、各リーグには圧倒的強さを持つチームが一つ二つ存在していた。それはあきつ丸達のGリーグも例外ではない、強豪は徐々にその頭角を現し始めている。そしてこの三回戦が、あきつ丸達のチームアイアンクロスが強豪か否かの審判を下すのだ。 「さあそろそろ試合が始まります」 果たして… 〜〜

2018-07-04 21:53:05
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〜〜 「東コーナー!鈴谷、あきつ丸、チームアイアンクロス!」 三回目、聴き慣れて着たアナウンスが響く。あきつ丸は出撃の準備を整え、深呼吸をして前を見る。隣では鈴谷が、いつものように軽い調子で立っている。この光景を見るのも三回目、慣れてきたおかげか、あきつ丸は隣を見る余裕があった。

2018-07-04 21:54:44
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鈴谷の顔は、日本人離れした雰囲気がある。瑠璃色の瞳とか白い肌とか、くっきりとした二重とか、なんだかそれっぽかった。 (意識して見た事は無かったけれど、綺麗な顔でありますな…) すると、視線に気付いた鈴谷がこちらを向いた。 「ン?どうかした?」 彼女は軽い調子で訊ねてくる

2018-07-04 21:56:22
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そこへ、あきつ丸は何気なく答えた 「いえ、鈴谷殿の顔は、綺麗だなと思ったので…」 同性相手とはいえ、こんな事をポロっと言ってしまうのがあきつ丸の抜けた部分であった。こんな事を言われれば、普通誰だって驚くし、戸惑うだろう。

2018-07-04 21:58:23
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だが鈴谷は、驚きもおちゃらけもせず、淡白に言った。 「…綺麗?……そう」 その顔はゾッとする程に冷たかったが、それは一瞬の事、あきつ丸が認識する間もなく、彼女の顔はいつものようにヘラヘラとしたものになった。

2018-07-04 22:00:00
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「ああ、よく言われるんだよねェ〜。美人薄命の美人だけ似合うっしょ?アハハハ」 鈴谷はそう言って肩をぐるぐる回すと、真剣な顔で正面を睨む、そろそろ試合開始だ。 「よォし、三連勝キメて差ァつけて行こうじゃん?」 「はいッ!」 二人はカタパルトスタンバイ、試合開始を待つ

2018-07-04 22:01:34
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そして! 「レディ…ゴォォォォォッ!!!」 アナウンスが響き、二人は海へと飛び出す!試合が始まった! 「っしゃあ!まずはカウントだ!」 「はいっ!」 二人はこれまで通り、まずはカウントをスタートさせるべく直進!カウントで先手を取りに行く、これが彼等の定石である!

2018-07-04 22:03:36
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一回戦、二回戦と動く中で、その定石は最適化されつつあった。鈴谷が先行し、あきつ丸は後方から追従する、彼等は十数秒でこのフォーメーションを整える。 「よし、今回はこっちが先手を取れるよッ!」 鈴谷は護衛ボールへまっしぐら、美少年艦隊は遠く、先に着くのはこちらである!

2018-07-04 22:05:49
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よって鈴谷はあっさり到達、カウントがスタートした!それに伴い、実況が盛り上がる! 「さあチームアイアンクロス!まずは先手を取りカウントスタート!対する美少年艦隊、こちらも一足遅れて護衛ボールに迫ります!」 実況の通り、カウントを始めた鈴谷の元に、美少年艦隊が迫る!

2018-07-04 22:07:02
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だが慌てない、プランはある! 「あきつ丸ちゃんッ!」 「ええ!」 二人はポジションチェンジ、あきつ丸がカウントを、鈴谷が遊撃を行う、次手である!しかし! 「そうはいかないなぁ」 美少年艦隊、緑のスーツを着た気怠げな少年「石楠花」が猛速!援護を受けつつカウント内に迫る!

2018-07-04 22:08:22
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「チッ、早いか!」 突撃してくる石楠花に、鈴谷は主砲をぶちかます!しかし当たらない、石楠花は回避に専念しつつも着実に迫る、その動きは手練れのカンムスといったキレがあった。 (あいつ…昨日の奴よりは全然出来るな…) 鈴谷は主砲下のサブマシンガンで牽制しつつ、相手を評価する。

2018-07-04 22:09:47
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そうこうする間に石楠花はカウント内に侵入、紫のスーツを着た筋肉質で堅物な少年「躑躅」の砲撃と合わせ、彼は鈴谷をカウント内に押し込む。 「結構やるな、こいつら…」 鈴谷はカウント内で交戦を始める、カウントは進んでいるが、石楠花は虎視眈々と奪取を狙っている、決して優位ではない。

2018-07-04 22:11:13
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無理にポジションチェンジを行おうとすれば、その隙に石楠花がカウントを奪取するだろう。しかも彼の実力は、援護込みなら鈴谷より少し下程度、これをあきつ丸に押し付ければ彼女が押し負ける。 加えて、あきつ丸がこちらの援護に来ても、ルールによってカウントは停止してしまう。

2018-07-04 22:12:38
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鈴谷は二回戦でやった事を、逆にやられる形となっていた。 (相手は二人…まあ、相手取れなくはない…) よろしくない状況の中、彼女は水のひとしずくが跳ねる間に思考を巡らせる。 (しかし盤石に行くなら、カウントを止めてでも二人で応戦する…さて…)

2018-07-04 22:14:17
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海のしずくが鈴谷の顔に当たる、考えがまとまった。 「あきつ丸ちゃん、カモンッ!」 「はいッ!」 彼女はあきつ丸を呼び寄せた! (カウントが止まったところで優勢…ミドルリスクは、ノーリスクまで潰すッ!) そう、カウントでリードを取った今、わざわざ無用なリスクを背負う意味は、無い!

2018-07-04 22:15:21
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故に、あきつ丸もカウント内に侵入、カウントは停止する、しかし手数も火力も増えた!丁字の相互支援フォーメーションにより、カウント内での戦闘は彼等の優位に傾く! だが美少年艦隊、石楠花は動じない。 「来たか…躑躅ッ!」 「…ああ」 彼も、後方支援をしていた躑躅を呼び寄せる!

2018-07-04 22:17:10
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カウントは半径100メートル、戦闘範囲としては決して広くはない。そこに今、四人の艦娘とカンムスが入り乱れる!乱戦だ! これには観客も盛り上がる 「おーっと乱戦です!カウント内での攻防が始まりましたッ!」 ケン・ホリウチは声を上げて実況する、やはりドンパチは盛り上がるのだ。

2018-07-04 22:18:47
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そして武蔵の解説。 「うむ…試合はアイアンクロスが優位に立っているが、有利な状況にあるのは美少年艦隊だな。」 「ほう、それは一体?」 「アイアンクロスはカウントで優位に立っているが、裏を返せばそれを守る必要がある。実力の拮抗があるのだから、優位を崩すのは得策では無い。」

2018-07-04 22:19:57
三隈グループ @Mikuma_company

武蔵は続ける 「それが足枷になる。位置取りが自由な美少年艦隊に対し、アイアンクロスはどうしてもカウントを守るシフトを取らざるを得ない。このまま行けばアイアンクロスの勝ちだが、そう簡単にはいかんだろうな。」 解説終わり。

2018-07-04 22:20:58