「千の想いを」~最終章 クライマックス4『約束』~

タイムライン上で繰り広げられる読者参加型艦これ二次創作ストーリー『千の想いを』 ~最終章 クライマックス4『約束』~ 再会した艦娘たちの想いをここにまとめます。 ←前 https://togetter.com/li/852135 次→ 編集中 目次 http://togetter.com/li/663212 続きを読む
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ログを消失してしまったため前回から間が空いています。
申し訳ないです。
南方姫を撃退するシーン(ミニゲームあり)でした。
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卓ゲーマー夕張@NWやりたい @Yubari_Yasaka

■前回までの千の想い ・サブ島攻略して南方姫の遺体回収したら鎮守府内復活したよ! ・復活した姫様は水葬された天城(Not雲龍型)の遺体食って記憶やスペック引き継いだパーフェクト形態だったよ! ・ミニゲームで死屍累々になりながらなんとか姫様撃破まで持ち込んだよ!

2015-07-25 22:02:54
TRPG狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

【クライマックスE『約束』開始】 【介入制限:特に無し】

2015-07-25 22:02:09
TRPG狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

……。 戦う事のできない彼女にとって、この仕事は誇りであり同時に苦痛でもあった。 毎日毎日傷付いて戻ってきた艦娘達を治療する日々。治ればまた戦いに赴くというのにだ。 救う事のできなかった子達も少なくはない。その度に彼女は自らの身を引き裂かれるような痛みに苛まれる。

2015-07-25 22:05:28
TRPG狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

だから。 ここで終わりを迎えるとしても後悔は無かった。誰かの命を1つでも救えたのならば。 …。 目を覚ますと、そこは天国ではなかった。花畑でも川が見えるわけでもなく、崩壊の最中にある鎮守府の敷地の一部に寝そべっている。全身の至る所から走る痛みに眉をしかめる。

2015-07-25 22:08:04
TRPG狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

「勝手に死のうとするなんて、馬鹿め、と言って差し上げますわ」 声に顔を向ければ、青い軍服の艦娘が微笑んでいる。どうやら長門や赤城が去った後で自分を救出したらしい。 「…なんでそんな無茶をするかな」 焼け焦げた白衣の胸ポケットから煙草を1本取り出し、口に銜える。

2015-07-25 22:10:26
TRPG狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

他のポケットを漁るが、ライターが見当たらない。そうなると余計に吸いたくなってくるのがスモーカーというものである。ごそごそと全身をまさぐる女医から背を向け、高雄が小さく呟く。 「…『借り』を返しただけですわ」 視線の先では、いまだ戦いは続いていた。

2015-07-25 22:13:50

 
 

TRPG狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

……。 狙撃銃のスコープを覗き込んだまま、千歳は疑心が確信に変わるのを認めた。 負傷している自分では皆と共に戦っても戦力にはならない。なので倒れていく仲間達には悪いと感じながらもこうして『姫』を分析し続け、狙撃する機を測っていたのだ。

2015-07-25 22:17:17
TRPG狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

銃は普通の人間用の物であり、本来ならば深海棲艦の装甲に傷1つ付ける事は叶わない。だが、千歳の能力と腕前ならば、しばらく観察を続けさえすれば行動パターンを読み切り、的確に急所の隙間へと弾丸を撃ち込む事ができる。 人型とは言え『姫』の動きは単調であり、パターンも既に読み終えた。

2015-07-25 22:19:53
TRPG狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

しかし、千歳にはもう引き金を引く気は無くなっていた。 こうして遠巻きに観察していれば、千歳でなくとも『それ』に気付くだろう。そして『それ』が確かであるのならば、この銃弾は不必要、という事になる。 あの怪物は。

2015-07-25 22:22:15

 

TRPG狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

……。 長門や陸奥、そして最上や榛名に追われ、逃げようとした先に待ち構えていた五十鈴の射撃に挟まれ、姫は呻きを喉から洩らす。 腕を見下ろす。 ひび割れた肌は崩れていく一方であり、再生の兆しが無い。生物としては異常なまでの際勢力を誇る彼女だが、無尽蔵というわけにはいかない。

2015-07-25 22:25:46
TRPG狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

肉を喰らう必要があった。血を啜る必要があった。 再生の為には、そこらにいくらでも転がっている餌に噛り付く必要が―― ア? 待て。待て待て待て。 何故だ? 何故―― 今に至るまで『何も喰らわなかった』?

2015-07-25 22:28:29
TRPG狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

機はあったはずだ。倒してきた餌共の数は10をとうに超えている。隙もあったはずだ。 壊し、殺し、潰し、喰らう。 そんな余裕がある時間は、あったはずだ。 血走った眼球を走らせる。 何故だ? 蘇ってから数人の人間は殺した覚えはあるが―― 『それ以降、誰も殺していない』?

2015-07-25 22:30:50
TRPG狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

壊すのが宿命だったはずだ。 殺すのが命題だったはずだ。 喰らうのが本能だったはずだ。 だというのに。 『喰らわない』という選択をした覚えはない。 『喰らう』という意識をそもそも、奪われていた? 何に。誰に。 そんな事が有り得ると?

2015-07-25 22:33:38
TRPG狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

視界の隅に赤い衣装の餌を見た瞬間『姫』の中の何かが瞼を開いた。 フザケルナ! 悪いねぇ姫様。 コンナ! コンナ事ガ! 最初は俺も何がなんだかわからなかったから時間かかったけど、もうおしまいだよ。 餌ノ! 餌ノ分際デ! 悪い物食ったら腹壊しもするさ。まぁ、あれだよ。

2015-07-25 22:38:08

 

TRPG狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

……。 『姫』の雰囲気が変わった事に、その場に立つ全ての者が自然に察した。 姿は何1つ変わってはいない。傷が再生する様子も無ければ新たな武器が生えてきたわけでもない。 ただ単純に、空気が変わっていた。 こんなに自信満々で、気高く、凛々しい瞳を、怪物ができるわけがない。

2015-07-25 22:42:13
TRPG狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

瓦礫の中から起き上がり、間宮が小さく呟く。口元の血を拭いはしたものの、立ち上がる事は叶いそうもない。 それでも。 それでも確かめたかった。

2015-07-25 22:45:12
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