【英霊剣豪201x番勝負】  第三節『戦国マジノ線』

小田原城の土塁、現実の時点で高さ10mあるとか聞いて笑うしかない。落とせるかそんな城! 2:https://togetter.com/li/1244557 4:https://togetter.com/li/1245898
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劉度 @arther456

(これからSSを投下します。TLに長文が投下されますので、気になる方はリムーブ・ミュートなどお気軽にどうぞ。感想・実況などは #ryudo_ss をお使いいただけると助かります。忙しい方は後ほど投稿されるtogetterまとめ版をどうぞ。それでは暫くの間、お付き合い下さい)

2018-07-09 21:01:01
劉度 @arther456

鷹が鳴いている。よく晴れた、暑い夏の空だ。絵になっている。ただ、この暑さは、夏のせいだけではない。「よそ見してんじゃねえ!」背後から斬りかかってきた野武士を、振り返りざまに斬り捨てた。周りを囲む男たちが、動揺して一歩下がる。1

2018-07-09 21:03:01
劉度 @arther456

旅の途中、小さな村に留まって剣術を教えていた。そこに襲ってきたのが、この連中だ。路銀を稼いでいたというのに、それを横から奪われてはたまらない。何より見捨てるのは人道にもとる。そういう訳で刀を手に取り、出合い頭に4人斬った。今のは5人目だ。2

2018-07-09 21:06:00
劉度 @arther456

「な、何なんだてめぇは……!?」「名乗る気は無い。帰れ」「ふ、ふざけるなぁっ!」頭領らしい男が、金棒を振りかぶる。隙だらけだ。下段から刀を振り上げ、太ももの内側を斬る。「あれ?」足から力が抜け、男は膝をつく。間髪入れずに首を刎ねた。「次は?」周りの男たちを見回す。3

2018-07-09 21:09:01
劉度 @arther456

野武士たちは怯えきっている。1人が槍を投げ捨てて逃げた。それに続いて、他の野武士たちも一斉に逃げ出した。後には私と、死体だけが残された。溜息をつく。これでは修行どころが、稽古台にもならん。4

2018-07-09 21:12:00
劉度 @arther456

【英霊剣豪201x番勝負】 第三節『戦国マジノ線』

2018-07-09 21:13:00
劉度 @arther456

戰國無雙4 2 BGM 小田原城,改 youtu.be/NcequiVATjs @YouTubeさんから

2018-07-09 21:14:00
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劉度 @arther456

「何ですかあれ」それは、小田原城と言うには、あまりにもかけ離れたものであった。「いや……ええ?」まつりも立香も、呆気に取られて何も言えなかった。城を遠巻きに囲む北条軍も同じ気持ちだろう。小田原城は、度重なる改修の果てに、地上最強の防御要塞と化していた。5

2018-07-09 21:15:01
劉度 @arther456

「こんなの小田原城じゃありません、マジノ線ですよ!?」「すまん、外の国の大工に『最強の城を作ってくれ』と言ったら、こうなってしまってな……」申し訳なさそうに言ったのは、ボディアーマーに身を包んだ武将、北条氏康。北条家の先代当主であり、事実上の総大将だ。7

2018-07-09 21:18:00
劉度 @arther456

「城ができた時は喜んでいたが、こうして攻め落とす側になると、気が重くなるな……」「信玄さんや謙信さんも、こんな気持ちだったんでしょうね……」難攻不落とは、まさにこのことだ。ちなみに、化け物は異界につながる穴を直接城内に開き、内側から小田原城を占領した。8

2018-07-09 21:21:01
劉度 @arther456

「ともあれ、まずは小手調べだ。敵の出方を伺わねばならん。綱成、先鋒を頼めるか?」「おう、任せよ!」「氏直は父上と共に北から攻めよ。南からは氏政が水軍を率いて乗り込む。何が起こるかわからん、注意して城攻めにかかれ!」「はっ!」居並ぶ諸将が背筋を正した。9

2018-07-09 21:24:00
劉度 @arther456

「私たちはどうしたらいいですか?」まつりが氏康に訪ねた。「ワシと共に、東から攻めてくれ。立香殿も戦うのか?」「はい」状況から考えて、聖杯は小田原城にある可能性が高い。「ならば、まつり殿と共に行動してくれ。外の国の者同士、気が合うだろう」「ありがとうございます!」10

2018-07-09 21:27:00
劉度 @arther456

そんな軍議の様子を、遠目から見る人影があった。早雲だ。「参加しないですか?」「ん?」早雲が振り返ると、はつなが立っていた。「ああ、お主か。いいんじゃよ。千代丸が立派に総大将をやっとるんじゃ。ワシのように一度死んだ者が偉そうな顔をして引っ掻き回す必要はなかろう」11

2018-07-09 21:30:00
劉度 @arther456

「では、あの手勢は?」はつなは陣の一部に目を向けた。早雲が要塞村から連れてきた一団がいる。「ありゃ戦えんわい。村人と見知らぬ娘っ子じゃぞ?」「なら、なぜ連れてきたのです?」「そりゃお前、手勢の1つや2つ、用意できなければ格好悪いじゃろ」「見栄ですか」「おう、見栄よ」12

2018-07-09 21:33:00
劉度 @arther456

はつなは首を横に降って、背を向けた。「なんじゃ、頼み事があったのではないか?」「結構です。氏康殿の指揮を受けずに、あの城に入れるかと思いましたが、動かないのでしたら意味がありません」早雲に顔も向けず、はつなはその場から立ち去った。13

2018-07-09 21:36:00
劉度 @arther456

早雲は彼女の後ろ姿を見送ってから、葉巻に火を付けた。紫煙を、ふう、と吐き出した。「動かなくて済むなら、いいんだがな」14

2018-07-09 21:40:01
劉度 @arther456

法螺貝が鳴り響いた。城の外の軍勢が向かってくる。「来たか、北条の小倅めが……!」三の丸に詰めるのは、大森藤頼。かつての小田原城の持ち主だ。早雲に騙し討ちされて死んだ彼は、化け物の手により蘇り、こうして再び小田原城を守ることになった。16

2018-07-09 21:42:00
劉度 @arther456

「ここはワシの城だ!貴様らなんぞ、一歩たりとも踏み入れさせんわ!砲兵隊、奴らを吹き飛ばしてやれ!」指示を受け、骸骨の兵士たちが大砲を準備する。北条軍に向けられた大砲の名前は、FH70 155mm榴弾砲。小田原城を化け物から守るために持ち込まれた、21世紀の大砲であった。17

2018-07-09 21:45:00
劉度 @arther456

「撃てぇーっ!」北に20発、東に20発、合わせて40発の砲弾が、北条軍に放たれた。大半は狙いを外したが、数発が部隊に命中、兵士たちが吹き飛んだ。「よおしっ!いいぞ、撃て!奴らを一人残らず粉微塵にしてやれ!」骸骨兵士は黙々と次の弾を装填する。18

2018-07-09 21:48:00
劉度 @arther456

この大砲は正しく使えば、外にいる北条軍を全滅させるほどの性能がある。しかし、動かしているのは戦国武将と骸骨兵士だ。まるで使いこなせていない。――それでも、北条軍に与えた被害は絶大であった。先鋒が防壁に辿り着いた時、既に1割の兵士が失われていた。19

2018-07-09 21:51:00
劉度 @arther456

「あれだけ撃たれてまだ戦うのか。さっさと逃げ帰ればよいものを……」藤頼はそう言うが、味方を巻き添えにする危険性がある以上、砲撃は止めるしかない。代わりに戦う部隊は、空から来る。藤頼が見上げると、ワイバーン部隊が防壁に取り付いた敵に向かって飛んでいた。20

2018-07-09 21:54:00
劉度 @arther456

「おおおおおっ!」豪槍が唸り、化け物がまとめて吹き飛ばされる。数の上では有利な化け物たちが、彼に指一本触れられない。「どうした、化け物共ッ!この北条綱成の武勇に怖じ気づいたか!」黄色に染めた旗指物を掲げるのは、北条軍きっての猛将、北条綱成だ。22

2018-07-09 21:57:00