水野先生の核分裂、連鎖反応、臨界の解説

水野先生の核分裂、連鎖反応、臨界の一連の講義ツイートをまとめた。 初歩の勉強としてとても分かりやすい。 中高生必須かも。
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MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

核分裂、連鎖反応、臨界。核分裂の臨界について、次のご質問: 「半減期に従って、物質の量が半減する為、指数関数的に放射線を出す時間頻度が減少するつまり、定量当たりの放射線放射(時間)頻度は一定と理解すると、規定量を超えると臨界状態になるとの関係がよくわかりません」、以下に簡単解説。

2011-04-17 10:07:27
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

続)核分裂、連鎖反応、臨界。半減期を持つ普通の放射性崩壊では、個々の原子の原子核が独立に崩壊。従って多数の中で稀にしか起こらぬ典型的なケース。従ってポアソン分布になる。他方で臨界は、多数の原子の原子核が相互に関連する集団現象です。放射性崩壊と臨界は、全く別の現象とお考え下さい。

2011-04-17 10:11:13
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

続)核分裂、連鎖反応、臨界。1)最初に、中性子が、実は空中にウヨウヨしてます。これを前提にします。2)この最初の中性子が偶然、1個のウラン235の原子核に衝突、それが吸収されたとする。するとまず、ウラン236になる。これは不安定ですが、ウランが特別に重い原子核なので核分裂に至る。

2011-04-17 10:14:42
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

続)核分裂、連鎖反応、臨界。3)このウラン235+中性子=ウラン236、はもうぎりぎり一杯の中性子をはらんだパンパンな原子核。ついに耐えられず核分裂。その変化経路が楽だから。1回核分裂すると、2〜3個の中性子も同時に出ます。なぜなら、もともと中性子が一杯一杯に含まれていたから。

2011-04-17 10:18:16
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

続)核分裂、連鎖反応、臨界。4)この数個の中性子は、もし周囲に他の原子核がないと、すり抜け。1個のウラン235の(よってウラン236の)核分裂で終わり。5)しかし、もしその核分裂の周囲に、他の原子核「も」多数あると、最初の中性子の役割を、今回新規に発生した中性子が再度、果たす。

2011-04-17 10:23:33
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

続)核分裂、連鎖反応、臨界。6)従ってこの核分裂は、連鎖期にネズミ算的な増加が分かる。ネズミ算的にどの程度急速に連鎖反応が進むか?それは周りにどの程度の密度で他の原子核があるか、に依存する。7)従って、規定量を超えると(連鎖反応の)臨界状態になる、ということが起こります。

2011-04-17 10:26:32
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

非常に適切な表現だと思います^^ 良解説、感謝致します。RT @aetherworks 放射性崩壊(半減期由来)は勝手に壊れる。臨界は、他の壊れたほかのやつが出す放射線を食らって、連鎖的に壊れる。 RT @y_mizuno: 放射性崩壊と臨界は、全く別の現象とお考え下さい。

2011-04-17 10:28:35
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

続)U235やPu239をたくさん集めると、普通には起こりえない連鎖反応が起こる。例えば臨界事故。1945年米国Pu製造工場である人が2個のPuブロック2個を一緒に。その瞬間に中性子が大量発生、臨界状態。1999年9/30、東海村でウラン溶液をバケツで追加。ある量を超え臨界状態。

2011-04-17 10:37:11
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

続)核分裂、連鎖反応、臨界。周知と思いますが復習。核分裂の連鎖反応をゆっくり制御した状態が原発。予期せず集合状態になり起こる事故が臨界事故。連鎖反応を急激に起こす意図で設計したのが原爆。どれも連鎖反応は同じ。化学的に燃える現象も様々。規模の違い、定量的な違いの区別が非常に重要。

2011-04-17 11:16:49
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

続)核分裂、連鎖反応、臨界。臨界には最低2つの必要条件。第1に集めること、前述の集合状態。第2に中性子が原子核に吸収されやすいこと。原子核の中性子吸収確率が高いこと。この中性子吸収確率は、U235とU238とで決定的に違う。U238も核分裂するが、その連鎖反応はU235だけ。

2011-04-17 11:17:53
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

よい喩え! 酸化現象の連鎖反応が燃焼。最初の分子の1個が、もしマッチで燃えると、その分子の初期状態と状態の差で、もらったマッチエネルギー以上のエネルギーを出す。だから連続的に燃える。燃焼は化学反応の連鎖反応ですね。@masumind 酸化と燃焼の違いの様なものと考えられますか?

2011-04-17 11:25:34
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

ですね。追加、感謝。@katot1970 分裂時に出す中性子が1個か2個以上か。100%捕獲されるって事は無いので、1個だったら放っておけば自然に収まる。2個以上だと、捕獲される確率が50%以上かどうかが分かれ目。それを調節する為の物質として水を使っているのが日本の原子力発電

2011-04-17 11:38:29
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

です。熱中性子と高速中性子で核分裂確率が全く違うので水が。@katot1970 水が失われると捕獲の確率が50%を切ってしまうので、日本の原子炉がチェルノブイリと違って、水がなくなっても爆発はしないと事故初期に科学がみんな言っていたんですよね。RT 「臨界には最低2つの必要条件」

2011-04-17 11:45:12
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

続)核分裂、連鎖反応、臨界。中性子の性質はエネルギーで区別。高速中性子とは高速でエネルギーの高い中性子。熱中性子とは、熱運動くらいエネルギーの低い中性子。U235はこの熱中性子で核分裂確率が巨大、故に連鎖反応し臨界になる。しかしU238はこうならぬ。このためU235だけが燃料に。

2011-04-17 12:02:59
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

続)核分裂、連鎖反応、臨界。連鎖反応の臨界継続で、U235に熱中性子を照射。しかし核分裂直後の中性子は高速中性子。そのエネルギーを下げ熱中性子にするため軽い原子核にぶつける(減速剤)。それがエネルギーを持ち逃げ、中性子は減速。これに炭素を使う型がチェルノブイリ、水を使う型が今回。

2011-04-17 12:37:02
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

結)核分裂、連鎖反応、臨界。簡単な復習にでもなれば幸い。分かりにくいのは、最初の1個の中性子はどうするというトリビアw。でも環境中に中性子が結構、ウヨウヨしてるのでそれかな?実際、宇宙からの放射線である宇宙線で常時空気中で中性子が生成。また自発核分裂でも常時、中性子が岩盤で生成。

2011-04-17 12:42:41
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

補)核分裂、連鎖反応、臨界。あと制御棒の話も必要。あるいは実際に、原子核U235の中性子吸収断面積のグラフを見るともっと感動があると思う。皆さんにこんな迷惑をかけて感動もないとしても、この自然現象をよく理解しない限り、上手な付き合いも出来ないだろうとの認識です。最初の一歩と思う。

2011-04-17 12:47:01