日向倶楽部世界旅行編第55話「予選4回戦 VS Wヴィースト」

最上対日向、悲しみの戦い!日向は複雑な思いを胸に、仲間である最上と対峙する…悲しい戦いを見逃すな!
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三隈グループ @Mikuma_company

「Cリーグ4回戦第一試合を行います!」 「瑞雲ッ!」 「これでもお釣りが来るでしょう!」 「お前何を!」 「パッチのせいか…!?」 「簡単には、行かないか…!」 「ボクが素人に見えましたか?」 「私は普通の人間よ」 「アイツだって同じ、同じ人間なのよ…」 日向倶楽部、この後21:00! pic.twitter.com/rpHKoI9SRa

2018-07-18 20:45:11
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【前回の日向倶楽部】 扶桑です。 思い詰めたような様子の日向、伊勢と組む事に関して、そして最上さんがその相手になる事に関して、思うところは沢山あるようです。あんな風なのはバヌアツ以来ですが、日向は人の事となると何処までも揺れますね。涼しい顔をして澄ましてる時も多いですが、本質はとて

2018-07-18 21:00:37
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【前回の日向倶楽部その2】 敗北のあきつ丸は、澱んだ心の中に埋もれる。その一方で、最上達との試合を翌日に控えた日向は、伊勢との事を思い返し、悩んでいた。それを面白がるように眺める伊勢、嫌悪する日向、上っ面だけのチームによる、Cリーグの4回戦が始まろうとしていた。

2018-07-18 21:02:16
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日向倶楽部 〜世界旅行編〜 第55話「予選4回戦 VS Wヴィースト」

2018-07-18 21:03:40
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〜〜 ブルネイ泊地第一スタジアム放送席。 「はいどうも皆さん、実況のケン・ホリウチです。いやぁ武蔵さん、大会も折り返しに来ましたが、未だハイレベルな戦いが繰り広げられますねぇ。」 第一スタジアムでは、たった今Aリーグの試合が行われた、朝から観客席は盛り上がっている。

2018-07-18 21:05:02
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「うむ、大和と五十鈴のペアは見事な戦い振りを見せてくれている。チーム名なしというのが実に惜しい、何か良い名前が欲しいところだよ。」 武蔵は次の試合の用意をするスタジアムを見下ろしながら、放送席でウンウンと頷く。三日間で沢山の試合を観てきたが、彼女に飽きはなかった。

2018-07-18 21:06:12
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それはさておき 「そうですねー武蔵さん。さて次の試合ですが、伊勢、日向のなかよし伊勢型と、最上、足柄のWヴィーストとなっております。どちらもここまで3勝0敗、全てアウト勝ちという事で持ち点は6と、高い実力を誇るチームです。」 一位タイ同士の対決、Cリーグ注目の一戦である。

2018-07-18 21:07:28
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さて、実況のケン・ホリウチは艦娘に少し詳しいので、最上の事は当然知っていた。 「Wヴィーストの最上と足柄は、共に横須賀鎮守府巡洋艦杯で競った仲です。最上は優勝者、足柄はベスト4という事で、当時の大会を見ていた方には非常に嬉しいチームですね。私もその一人ですが…」

2018-07-18 21:08:45
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ケンは感慨深く語る、ファンとしてもっと熱く語りたいところはあったが、そこは実況として我慢し、武蔵に訊ねる。 「ところで武蔵さん、このカードをどう見られますか?」 訪ねられた武蔵は、腕を組んで思案する。 「そうだな…単純な実力では、拮抗していると言って良いだろう…」

2018-07-18 21:10:19
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武蔵は続ける 「彼等のように実力が一定の水準を越えている艦娘というのは、そもそもが"強い"、だから多少の優劣をひっくり返し合ってしまう。正直、今の時点で理屈から考えるのは無理だな。」 解説者としてどうなんだというコメント、しかし実際、このカードの予想立てはかなり無理があるのだ。

2018-07-18 21:12:08
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「まあなんだ、予想つかない試合は面白いからな、私の解説など気にせず自由に見てくれ。」 「なるほどー、おっと、そろそろ試合が始まる時間となってまいりました!」 緩やかなムードの放送席に対し、スタジアムは闘志と緊張が漂い始める… 〜〜

2018-07-18 21:13:25
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〜〜 試合開始のカウントダウンが迫る。日向はカタパルトで待機し、開いたハッチを見つめていた。風が吹き抜け、彼女の短い髪を揺らす。 「にひひ…」 その隣で、伊勢はニヤつきながら日向をからかう。 「今日のお相手は私達と同じ全勝…楽しみだねぇ」

2018-07-18 21:15:55
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全勝の相手とやる、伊勢はそんな事を愉しむ様な者ではない。わざとらしくすっとぼけ、日向の神経を逆撫でしているのだ。 「…フン」 それを分かっている日向は、鼻で笑いスルーする。彼女はかつてないほど怒りに包まれていたが、それをコントロールし、冷静であった。乗せられない様に努めていた。

2018-07-18 21:17:29
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(最上を伊勢と戦わせれば、何が起きるか分からん…奴の相手は私がやらねば) 怒りを抑えた冷静な心で、日向は静かに考える。伊勢にどんな考えがあろうと、最上と接触すればロクな事をしない、そういう疑心があった。 逆に言えば、無関係な人間には興味を示さないという確信もあった。

2018-07-18 21:18:58
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(奴の考えは分からん…だが一つ分かるのは、飄々とした快楽主義者に見えて、きっちり打算で動いている事だ。不要な損を被ってまで、無関係な人間に手は出さない。) 目的や心中は分からずとも、行動の原理を見極めれば対応は出来る。日向は日向なりに、伊勢の対策を練っていた。

2018-07-18 21:20:26
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やがて、外からアナウンスが聞こえてきた。 「ただいまより!Cリーグ4回戦第一試合を執り行います!」 スタジアムに歓声が上がる 「東コーナー!伊勢、日向、なかよし伊勢型!」 目を疑うこのチーム名は、伊勢が勝手に申請したものである。彼女はどこまでも日向を刺激していた。

2018-07-18 21:22:31
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「西コーナー!最上、足柄、Wヴィースト!」 最上と足柄のチーム、beastとvenusをかけたというこの名前は、金剛が決めたらしい。そんなこんなで試合が始まる。 「Cリーグ4回戦第一試合、レディ…」 風が止む、日向は、伊勢は、最上は足柄は、戦士たちは止まった時の中に身を委ねる。 そして

2018-07-18 21:23:58
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「ゴォォォォォォッ!!!」 試合が始まった!時が動き出し、四人の戦士たちはカタパルトで射出!海の上を疾走し始める! 日向と伊勢が言葉を交わす事はない、これまでの試合もずっと、日向は一言として口をきかなかった。だがそれでも、呼吸はあった、適切なコンビネーションがあった。

2018-07-18 21:25:21
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「…にひひっ」 それは伊勢の技量!彼女は自身を嫌悪する相手と組んでも、その動きに合った行動を取れた。飄々としていたが、その合わせる能力が、伊勢の確かな実力を証明していた! (…ザイアンの時もそうだったが、こいつは誰かと組む力が段違いに高い…敵に回ると、どこまでも危険だな…!)

2018-07-18 21:26:39
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認めざるを得ない伊勢の実力に、日向の身体に力が込もる。 それはそうと、徐々に護衛ボールが近付いて来た、大体の場合はここで会敵する。 しかし 「…?居ない…?」 そう、相手である最上と足柄の姿が無かったのだ、速度的にも向こうが先のはずだが、居なかったのである。

2018-07-18 21:27:40
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日向は思案する、偵察に出した瑞雲は、正面で交戦したと記録している。しかしその正面に最上たちはいない。 (つまり、そういう事だな…!) 日向は素早く理解、正面から右に目を向けた!すると! 「最上ッ!!」 「ハハハッ!やっぱり日向さんなら、すぐに気付きますよねッ!」

2018-07-18 21:29:13
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そこにあったのは、全速で突撃する最上の姿! 「では足柄は!」 日向は振り返らずとも、状況が分かった! 「おお〜、来たねぇ〜」 足柄は伊勢の方へ向かっている!最上と足柄は、日向と伊勢を横から挟撃する形を取ったのだ!瑞雲による交戦は、欺く為のフェイク!

2018-07-18 21:30:30
三隈グループ @Mikuma_company

「奇襲とはやるじゃないか!」 「奇襲は戦術の基本…そうなるでしょう!」 賞賛の言葉を送る日向に対し、斜め後方から接近する最上。艦娘の運動性は優れていた、小回りも利く動きが出来た。しかし!それは平時での事、実力者同士、一秒一秒がピンチとチャンスの攻防となる空間では!

2018-07-18 21:31:45
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「そこだッ!」 それは隙になるッ!最上の弾丸は、日向の斜め後方から放たれ、その側をすり抜ける! 最上に対し、日向の位置取りは悪かった。だがそこらの艦娘程度なら、背後を取られても主砲で撃退できた。しかし相手は最上!互いを誰よりも知っている彼女に、そんな片手間の攻撃は当たらない!

2018-07-18 21:33:24
三隈グループ @Mikuma_company

ならば位置を変える、それが必要! しかし、されども! (この状況、方向転換は最大の隙になる…!) そう、ハイリスクだ!その場で方向転換する際、その移動、運動量は限りなくゼロになる!それは熟練者の前では足を止めるも同然、的になる行為!あまりに、無防備!

2018-07-18 21:34:59
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