日向倶楽部世界旅行編第71話「決闘を望むもの」

三隈グループ @Mikuma_company

「いよいよ大会も終盤戦」 「射程に入ったら一気にカタをつける」 「私は騎士だ！この剣と、純白に誓った決闘を望む！」 「騎士道精神って奴なのかな」 「白百合の純白に誓い！」 「黒薔薇の漆黒に懸け！」 「いざ尋常にッ！」 日向倶楽部、この後21:00！ pic.twitter.com/GNvhj7sqIQ

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～おわび～ 昨年度末からしばらくの間、本編の投稿が滞っていた事に関しまして深くお詫び申し上げます。本年度はその様な事が無いよう善処して参りますので、何卒宜しくお願い致します。 三隈グループ

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〜前回の日向倶楽部〜 扶桑です。 皆さんお久しぶりですね、随分と時間が空いてしまいました。強敵、ピンクショッカーズを日向達は打ち破り、準決勝に進出する事となりました。それからそれから…そう、最上さんと足柄さんの試合で、準決勝進出チームが決まるそうです。最上さんの相手は鎧の騎

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〜前回の日向倶楽部その2〜 強敵、ピンクショッカーズとの戦いを、伊勢とのチームワークによって制した日向。その勝利には満足感があったが、伊勢を嫌悪する彼女はそれを否定する。 伊勢は無意識に微笑みを浮かべていた日向を見て、ニタニタと薄ら笑うのだった。

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日向倶楽部 〜世界旅行編〜 第71話「決闘を望むもの」

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〜〜 決勝トーナメント二回戦第四試合。最上と足柄の相手は、Fリーグ1位通過のナイツオブフラワー、鎧の騎士二人組という異色のタッグ。 二人はその試合を目前に控え、母艦にて試合開始を待っていた。 「白百合のリリィレオン、黒薔薇のローズハルト…本当、芝居掛かった名前よねぇ…」

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準備万端の足柄はぼそりと呟く。 ナイツオブフラワーは予選成績6勝1敗で一位通過を果たしている、鎧の騎士という風体こそ突飛だが、実力は間違いなく本物。 戦闘スタイルはその風体通りのもので、リリィレオンは剣を、ローズハルトはハルバードを携え、その一撃で相手の艤装を破壊する。

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実力の高い艦娘同士の戦いは、互いの回避能力故に射撃戦が膠着しやすく、接近戦にもつれ込みやすい。 しかし艦娘広しといえど、彼等ほどの接近戦、もとい白兵戦、格闘戦を仕掛ける者はそういない。理由は簡単、深海棲艦と戦うのには、そこまで極端な接近を考える必要はないからだ。

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つまり、彼等の様に接近戦を磨き上げる者は、初めから深海棲艦と戦う以外の目的を持っているという事だ。 それが何かは分からない。だがそういう者たちにとっては、深海棲艦と戦う事に最早大きな意味などなく、海の上に立ち、戦う事こそが艦娘である理由なのだった。

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「距離取って一方的に取れれば楽ですけど、そうもいかないんだろうなぁ」 飛行甲板を弄り、最上はボヤく。ここまで勝ち上がっているのだから、見え見えの弱点を突く事は藪を突く事にも繋がるだろう。彼女はぽりぽりと首筋を掻き、フーッと溜息を吐く。

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そんな彼女に、足柄は言った。 「とはいえ、距離を取った戦闘を向こうが苦手としてる事に変わりはないわ。基本はしっかり守って攻めていきましょう。」 「そうですね、向こうから切り込まれるのを警戒して、堅実に」 今更多く語る事も無く、二人は軽い調子で示し合わせた。 〜〜

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〜〜 「放送席放送席、いよいよ大会も終盤戦、この試合でベスト4が決まります！」 ケン・ホリウチはマイクに向かって話し始める。 「現在ベスト4進出を決めているのは、利根・筑摩の横須賀利根姉妹、日向・伊勢のなかよし伊勢型、バルバトス加賀・バンドマン吉田のデスメタルピースの3チーム。」

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ホリウチは続ける。 「そしてただいまより始まる第四試合、ナイツオブフラワーとWヴィーストの勝者が、ベスト4最後のチームとなります。三隈さん、武蔵さん、ナイツオブフラワーもWヴィーストも予選は一位通過の強豪チームですが、この試合どの様に見られますか？」

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彼がそう言うと、まず武蔵が答えた。 「うむ。ナイツオブフラワーは、どちらも接近戦に特化している。射撃戦は最低限という非常に思い切った構成だ、なかなかに奇怪だよ。だが懐に入り込んだ瞬間、その奇怪さは脅威に変わるな。」 武蔵の見解に三隈も頷く。

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「彼等は攻めと守りの切り替えが非常に丁寧です。切り込む際は守りを固め、隙を見せずに突き進み…間合いに入った瞬間、怒涛の攻勢で圧倒する。間合いの取り方というのは艦娘の基本ですけれど、その点において彼等は抜きん出ていると言えますわ。まるで物差しが見えている様な正確さです。」

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「なるほど〜」 「だが…間合いの取り方、動き方に関しては、Wヴィーストの二人も劣ってはいない。この勝負、得意な間合いを活かし切れるかどうかが焦点だ。…普通の艦娘同士の戦いと大して変わらんな。」 相槌を打つホリウチに、武蔵は言った。 いよいよ試合開始が迫る… 〜〜

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〜〜 始まった第四試合、最上と足柄は慎重に海を駆ける。 「艦載機は出します？」 「単体で機能させられるか、微妙じゃないかしら。」 深海棲艦相手ならいざ知らず、熟練の艦娘相手に艦載機だけをぶつけても効果は薄いというのは、最早共通認識である。

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故に最上は提案する。 「なら、有効射程に入ったら集中して仕掛ける感じですかねぇ」 艦娘本人の攻撃と艦載機、双方を合わせるのは強力な攻め手である。無論、足柄はこれを肯定した。 「そうね…彼等が白兵戦に特化してる以上、こちらが消耗を待つ理由がないもの」

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足柄の言う様に、艦載機や砲撃戦を主体とする相手なら、牽制を重ね消耗を狙うのは有効な戦術である。だが今回の相手はなんと得物が剣、下手な攻撃はこちらの消耗に繋がる。 仕掛けるなら一気に仕掛け、反撃の隙と消耗を抑えつつ勝負を決めるのが最適だろう。

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「じゃあまあ、射程に入ったら一気にカタをつけるって事で」 「決まりね。機動力や武装構成から見て、狙うのはリリィレオンね。」 二人は示し合わせると、軽くハンドサインを送り合う。まるで熟練のパートナーの様に、息の合った行動である。

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だが、二人は別段多く共に戦って来たわけではない。多く組まずとも、培われて来た艦娘としてのキャリアが彼等に自然とそうさせていた。 どう戦えば、どう組めば高い戦果を上げられるのか、プロフェッショナルである彼等は熟知している、それだけの話だった。 〜〜

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〜〜 「飛行機は来ないみたいだな、静かだ」 スタジアムの歓声を聴きつつ、黒い鎧の騎士、ローズハルトは空を見た。相手には航空巡洋艦娘が居る、故に彼は相手が先制攻撃を仕掛けてくる事を予想していた しかしそれは来ない、彼の進路を阻むものはない。

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「我々に艦載機だけを出しても効果が薄いと踏んでいるのだろう、腕を高く買ってくれている様だね。」 その側を駆ける白い鎧の騎士リリィレオンは、兜の下で笑いながら言った。 予選では近接戦に特化した彼等に、大抵の艦娘が艦載機を放ち、ローリスクな攻めを行なって来た。

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しかし彼等とて素人ではない。海を流浪し、時に深海棲艦や海賊との戦いもこなしていた、艦載機だけでやられる程ヤワではない。生半可な攻めでは、彼等の鎧には触れる事すら出来ないのである。 「ハハッ、光栄だな！なら尋常に、決闘を申し込ませて貰おうじゃないか。なあレオン！」

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ローズハルトがハルバードを薙ぎ払って言うと、リリィレオンも剣を抜いて盾を構える。 「その通りだよハルト！我等の騎士道、存分に見せつけてやろうッ！」 白百合と黒薔薇、二人の騎士はマントをたなびかせて海を駆ける。最上と足柄の姿は視界に入り始めていた！